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経営戦略構文100選(仮)/構文3:アンブレラ戦略/伊藤 達夫

INSIGHT NOW! / 2016年4月7日 18時30分


        経営戦略構文100選(仮)/構文3:アンブレラ戦略/伊藤 達夫

伊藤 達夫 / THOUGHT&INSIGHT株式会社

戦略策定におけるアプローチとしてアンブレラ戦略がある。アンブレラ戦略においては、全体の枠組みをトップマネジメントが定めて、各領域の詳細は現場マネジャーが定め、トップマネジメントがモニタリングしつつ適宜ハンズオンする形にすべきという考えである。こうすることによって、現場の自発性が引き出され、戦略の創発的部分と、意図的部分の良さが引き出される。

相変わらず意味不明な文章ですね。おはようございます。伊藤です。今日も元気です。

今日はミンツバーグのアンブレラ戦略をテーマにして書いていこうと思います。ただ、これは戦略の中身の枠組みというよりは、戦略策定アプローチのお話になります。どういう中身の戦略を立てるか?ではなく、どうやって戦略を立てていけばいいのか?について説明していくわけですね。

この主張はミンツバーグの考えを理解する際に非常に重要なポイントですので、我慢してみていきましょう。一応、ミンツバーグは戦略論では有名な人です。大家です。とても有名です。

まず、なぜに「アンブレラ」戦略なのか?というところから考えてみます。イメージ画像はお姉さんがとてもきれいですが、傘の下にすっぽり入っていますね。このアナロジーで組織を考えてみましょう。

傘のアナロジーで指し示されるものは、トップマネジメントです。いわゆる経営陣が傘にあたる全体の戦略を意図して作る。

その傘の下にいるお姉さんは現場です。現場は創意工夫して試行錯誤して、頑張る。各事業部門のマネジャーなどがここにあたるわけですね。

それを傘はモニタリングしながら、時々、口を出す。そうするとうまくいくんじゃないか、とミンツバーグは言っています。

そんなのほとんどの日本企業でやってるじゃん!という突っ込みが聞こえてきそうです。そうです。やってます。

ただね、米国はトップがけっこう強くて、現場は上の言うことを聞く場所になりがちなので、こういう考え方が必要なんですよね。

あとね、ミンツバーグは戦略なんて意図したところでその通りにならないし、その通りにならない中で意図と違ったパターンも湧き上がってくるよという考え方をしています。いわゆる、意図と創発というやつです。経営戦略のほとんどの教科書で「創発戦略」として引かれる概念ですね。

よく引き合いに出されるのがホンダの米国進出です。

「ホンダは当初、大型バイクを売ろうとしていたが、全く売れず、小型バイクで移動していたら、人々の耳目を引いた。そして、小型バイクを売った。売れた。小型バイクで移動したという行為が正しい」と、都合よく言われるケースですね。

つまり、意図したことが「大型バイクの販売」で、創発したことが「小型バイクでホンダの幹部が移動してたら耳目を引いて売れた」ということですね。創発的要素のお蔭でホンダは米国で成功した!とリソース重視派はよく言い、プランニング派を馬鹿にします。

それで、「これがどうアンブレラ戦略と関わるの?」と思いますよね。ごめんなさい。

再びイメージ画像のきれいなお姉さんを見てみましょう。

するとね、傘がトップマネジメントで傘の下のお姉さんが現場だと考えると、意図するのがトップマネジメントで創発するのが現場だと考えられますよね。傘がトップマネジメントでお姉さんが現場なのです。傘の言うことを聞くお姉さん?とよくよく考えてみるとなんだか怖いですが、気にせず進みましょう。

大所高所から見るべき物事もあるけれど、その方向の中で創発されてくるものも活かして進んでいこうよと言っています。現場が顧客と直接接していますから、顧客のことがよく分かる面もある。そこから出てくるアイデアもある。しかし、そのアイデアを取り込んだ戦略をトップマネジメントが立案するのは難しいのです。

だから、現場の自主性のもとに、自然に湧き上がってきたもの、いわゆる創発的なものも活かすために、アンブレラ戦略のアプローチを取ろうよ、ということです。

これだけだと薄っぺらいので、もう少し先に、もう少し深く行ってみましょう。

ミンツバーグは、意図した戦略と、意図されないものによってもたらされたものが混ざり合って、実際に動いている「戦略」があると考えます。

つまり、意図した内容と、実際に動いている内容は違う。

戦略はギリシア語で統制という意味から来ているわけですが、ミンツバーグ的には組織は統制してその通りになるというものでもない。

どうしても意図せざる要素が出てくる。混ざり合ってくる。

だから、結果をちゃんとモニタリングしていることが大事です。いわゆる「見える化」ですね。ちゃんと効果的にKPIを設定していないと、戦略の実行状況が全く見えなくなります。

そして、意図せざる部分が自社に都合よく出てきてほしい。それは、現場での創意工夫が大きく反映されているといいなあ、と思っているわけです。

日本企業は昔から現場の権限が強くて、現場は簡単には上の言うことを聞かない。「太鼓の達人」は役員会で企画が却下されたにも関わらず、現場は勝手に試作機を作ってプレゼンして通したものだというのはけっこう有名な逸話として聞きますよね。

企画が却下されたのに、試作機を作る予算をどこから調達したんでしょう?統制不足すぎて恐ろしいですよね・・・。

ただ、「こういう創発的要素も企業経営では大事だ」というのは、それはそうだろうと思います。

だから、大枠を決めて、現場は試行錯誤をするというお話が戦略的にありえるということです。私はたまに、「試行錯誤してみては?」と言うのですが、そう言うと「そんなものは戦略ではない!」という罵声を浴びます。

ミンツバーグも一応、戦略の大家なんだけどなあ、と思いながら「あら、そうですか」と言っておきます。そういう人は次から会議にいませんけどね・・・。

1つの企業には、創発的なパターンも一応あるし、意図のパターンも一応あるでしょう。そのせめぎあいが実際の戦略を形作っていくわけです。現場の試行錯誤は創発のパターンを見せてくれますし、もし、意図の戦略が大きな要素を占める会社であったなら、自発的に現場が動いていくきっかけを作るものになるわけです。

ただ、ミンツバーグは創発的要素だからといって、うまくいくことが多いとは言っていません。意図も創発も、それぞれうまくいくこともあるし、いかないこともあるというスタンスです。このうまくいくこともいかないこともある戦略を、トップは現場の創発も踏まえて練り上げて行こうよ・・・、陶芸のように・・・、というのがミンツバーグの主張です。

しかし、バーニーは妙に創発的戦略に肩入れしていて、「創発の方がうまくいくことがあるんだ!」ということを言っています。根拠はよくわかりませんが、バーニーはそう言っています。

私はどちらかというと、ミンツバーグのように、創発に過大な夢を持っていない派です。夢がないですね。ごめんなさい。だから現場から嫌われるのでしょうね。ただ、ケイパビリティ派は時に妙なことを言うので、信用ならんよなあと思うんですよね。ハメルなどもそんな感じがします・・・。日本企業に夢を見すぎですよと言ってあげたい。

ただね、「机上で作ったものがその通り行けばうまくいくんだ!」という青臭いことを言う人がたまにいるわけですが、そうはいかないのは世の常だということをミンツバーグは教えてくれます。上手くいかない要素も見越して、意図した要素にどのような創発要素が加わって、実際に動いている戦略はどのようなものになっているのか?を常に常に見つめて、常に常に新たな打ち手を考える必要があります。

この世界観は、時に傲慢になりがちな戦略を立てていく企画スタッフにとって非常に重要なことだと思います。特に、「営業なんてやりたくない」「私には営業なんて不要だ」「マーケティングプラン通りに営業は売っていればいいんだ!」と営業職を蔑む方々に大事だと思います。前の一文は大事なので斜線は引きません。いつも現場を馬鹿にする傲慢なあなたに言っているんですよ。そんな皆さんは「売りつけたくない君へ」を読みましょうね。

最後にまた下世話になってしまいましたね。いけませんが、キャラですかね。いや、腐った人間性ですね。ごめんなさい。

それでは長くなっていましたので今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。



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