アウシュビッツの話から知る、感情は表現されたがっていること/内藤 由貴子
INSIGHT NOW! / 2016年4月8日 23時41分
内藤 由貴子 /
こんにちは。フラワーフォトセラピストの内藤由貴子です。
さて、今回は、私たちの感情は、表現されたがっているというお話です。
○アウシュビッツのこころの爪痕
「アンネの日記」のアンネ・フランクのことはご存じでしょう。
しかし、同い年で後にアンネの義妹になったエヴァさんのことを知っている人は少ないでしょう。
実は、昨年の朝日新聞ですが、そのエバさんのことで、興味深い記事がありました。
アンネは収容所で命を落とし、彼女は、アウシュビッツの強制収容所から生還し、彼女の母親がアンネの父親と結婚したことで、義理の姉になったそうです。
しかし、「アンネの日記」が売れると、亡きアンネに注目が集まり、生きているエバさんが彼女影のような存在となり、辛い日々になったのだそう。
記事を引用すると…
「アンネが日記の中で「人間の本性は善だと信じている」と吐露するが、エバさんは「収容所での経験をする前に書かれたものだから」と思わずにはいられなかった。収容所には冷酷なナチス将校だけでなく、生き残るためには他人を顧みない収容者もいた。極限状態の「人間の本性」を見せつけられた。」
偏見をもたれることを恐れ、生還した人の多くは、収容所のことを語らなかったのだそう。
エバさんも、特にアンネの影として語ることに抵抗があったそうです
エバさんは戦後、しばしば悪夢に襲われたそうです。それは、自分と母が、ガス室に送られる「死の選別」を受ける場面でした。
しかし、
「 転機は40年以上たった86年。ロンドンで「アンネの日記」のイベントに招かれ、促されるままに収容所体験を初めて告白した。聴衆は衝撃を受け、「アンネの続編」を書いて欲しいという依頼が殺到。迷った末、受け入れた。「アンネの日記は素晴らしいが、収容所のことは書かれていない。それだけでは真のホロコースト(ユダヤ人らの大量虐殺)を伝えることはできない」と考えたからだ。」
その後、収容所体験の話を人前でするようになって、悪夢はとまったのだそう。
このことから、何を思いましたか。
辛い記憶、トラウマになる出来事など「忘れてしまいなさい、時間が解決するから」と言う人は多いです。
それは本当にそうでしょうか。
実は、こころの奥に押し込めて蓋をしても、忘れたことにはならないのです。
それどころか、閉じた蓋を開けないように、自分でこころの奥に重しをしているため、蓋にかけた負荷の分だけエネルギーを消耗します。
そのひずみが心身に何か症状を作ります。
エバさんの例ですと、「悪夢」となって彼女を苦しめました。
だから、忘れたつもりになってはいけないのです。
では、どうすれば…というと表現すること、つまりアウトプットです。
エバさんの場合は、講演で抑えていたことを語り、ようやくアウトプットできました。
その後、悪夢は止まりました。
○感情の表現を助けるフラワーフォトセラピー
東洋医学では、気・血・水のめぐりが良ければ健康で、滞っていれば病気と考えます。
そして、こころの中のめぐりは、知・情・意になります。
知は知識、意は欲求、情が感情です。
ここでは、とりわけ情、つまり感情の流れが滞らないことを取り上げています。
さて、私がしているフラワーフォトセラピーですが、扱っている花の写真は、何かというと、その人が持っている感情なのです。
そして、各々の花の写真はある感情を表現しているのです。抱えておくべきでない負の感情であることが多いです。
もちろん、セラピー用に撮られた写真ですから、どんな花の写真でもいいわけではありません。
一般にカウンセリングが長い間、時間をかけてしているのは、奥に蓋をしたものを開けるように促しているようなもの。
しかし、その時の体験に伴う感情を痛みとして再度味わう可能性があります。だから、蓋を開けたくないのです。
しかし、フラワーフォトセラピーの写真は、味わうかもしれない感情が何か、先に表現してしまうようなもの。
方法は、本人が気になるものとして、その写真を選ぶだけでも可能です。
冒頭に書きましたように、私たちの感情は表現されたがっているのです。
だから、表現を助けられたらいいのですが、ここまで書きましたように、なかなか困難です。
さらに、フラワーフォトセラピーの写真は、その感情を痛みなく表現されるだけでなく、解消するまで行います。
そんな助けとなるフラワーフォトセラピーの役割、もっと活用していただければうれしいです。
朝日新聞 デジタル
2015年6月11日 『アンネの義姉「重荷だった」 日記に書かれなかった苦難』より引用させていただきました
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