個人が実行し、バリューを生み出すプロセス、パーソナル・バリューチェーン/猪口 真
INSIGHT NOW! / 2016年4月23日 10時36分
猪口 真 / 株式会社パトス
実行によって成果を出す、つまり、仕事をする(結果として売上と利益につながる)ということは、仕事のアウトプットの質、量が優れているということだ。
そして、そのアウトプットの質、量を増やそうとするならば、当然、その前のインプット(結果、現状分析からくるイシューを含めて)を増やさなければならないし、アウトプットのための思考力やスキルも必要となる。
つまり、インプットからアウトプットに至るまでの、自分なりのルーティン、プロセスを持っていなければならないことになる。
どのような問題、課題、突然の指示にぶつかったとしても、状況を自分なりのプロセスにあてはめることができれば、何らかのアウトプットは出るだろう。そのアウトプットの質と量が十分なのかどうか、これが仕事の成果として評価されるのだが、その質と量を決めるのが、アウトプットを生むプロセスがしっかりしているかどうか、ということになる。
企業が競争戦略を描き、企業としてのバリューをいかに生み出すかを考えるうえで必要なフレームに、マイケル・ポーターが提唱した「バリューチェーン」がある。
バリューチェーンとは、「調達→生産→物流→販売」といったサプライチェーンに代表される、企業活動(技術開発や人材育成、組織、財務なども含む)が、段階を踏むごとにそれぞれに付加価値(バリュー)を生み出していくプロセスを概念化した言葉だが、企業の持つ宿命として、それぞれの段階で、付加価値を生み出し続けなければならない存在であることを説いたものでもある。
このバリューチェーンのひとつでも欠けてしまったり、ボトルネックになったりすると、組織として市場に通用する製品を生み出せなくなってしまう。
また、市場の中で競争力を持つ製品を提供し続けていこうとするなら、このバリューチェーンをリニューアルしながら、バリューを生み出す各プロセスをいかに改善、進化させていくかがカギとなる(しかもうまく連動できるように)。
企業全体でのバリューチェーンがあるということは、当然、ひとつの部門でもこのバリューチェーンは存在する。
たとえば、商品企画部門であれば、「調査・分析」→「仮説」→「検証」→「プロトタイプ/仕様決定」→「修正」→「製造」といったバリューチェーンになるかもしれない。
営業部門でも生産管理部門でも、同様に存在する。
普通に考えれば、組織が機能している限り、各組織が付加価値を生み出しているのは当たり前の話であり、もし生み出していないならば、それはそもそも業務が果たされてないか、業務プロセス構築の不備としか言いようがないのだが、実際の組織では、いたるところにボトルネックが存在している。
ここでは、組織論としてのバリューチェーンについて語ることは控えるが、ボトルネックに悩まない経営者はほとんどいないし、少なくとも私は見たことない。
バリューチェーンは、組織を構成する部門やプロセス上の組織ということになるが、この「チェーン」という考え方を、「実行プロセス」に応用してみたいと思う。
組織のバリューチェーンとは違い、「思考や行動」のプロセスとなるが、それぞれのプロセスにおいて、しっかりとバリューを生み出さなければならないことには間違いない。
個人にもバリューチェーンがあるという考え方だ。これを「パーソナル・バリューチェーン」と呼ぶことにする。
たとえば、ひとつの「パーソナル・バリューチェーン」として、次のようなものが考えられるだろう。
私たちのビジネスにおいては、まず、ある結果に対して何が問題だったのか、何が課題なのかをまず考える。この問題意識、課題意識が的確であればあるほど、そのあとの戦略の質が高まる。そしてその戦略の質が高いほど、行動計画の立案も優しく、実行への障壁も減るだろう。そして実行すれば結果もついてくる。
これは、市場性、商品・サービス、長期・短期、職種など、組織活動のさまざまな特異性を無視しており、営業部門、企画部門、開発部門、サービス部門、経営管理部門など、職種は限られるかもしれないが、基本的な個人としての実行~成果までのプロセスはこのようなプロセスを踏むだろう。
また、このそれぞれの項目と、実行するための思考、スキルを合わせると、以下のようなプロセスとなるだろう。
課題・問題のプロセスに、「役割意識・モチベーション」としたのは、役割意識とは、解決すべき問題や課題を持ち、その問題を自分が解決するという意欲ではないかと仮定したからだが、ビジネスにおける役割意識やモチベーションは、自分たちの問題の重大さを十分に感じ、解決するのは自分だという意識を強く持つことにほかならない。
その意識が強いほど、モチベーションも高くなり、戦略の策定に必要なスキルや知識の習得にも積極的になる。
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