「レスポンシブメールデザイン」のAtoZ/エクスペリアンジャパン マーケティングサービス
INSIGHT NOW! / 2016年6月30日 7時30分
エクスペリアンジャパン マーケティングサービス / エクスペリアンジャパン株式会社
「レスポンシブメール」が今大事なワケ
昨今の急速なネットワークとテクノロジーの進化、モバイルデバイスの普及により、スマートフォンは、いまや市民生活に欠かせない情報デバイスに成長したと言ってもいいでしょう。このスマートフォン市場の変化は、「メールマーケティング」という世界にも大きな影響を与えています。
スマートフォンが登場する前、モバイル端末といえば、いわゆる「ガラケー」が主流で、モバイル向けメルマガといえば、いわゆる「デコメ」形式が一般 的でした。単なるテキスト形式と違って、絵文字や写真を使えることから、企業も積極的にデコメでのメルマガ配信を行っていたのです。
しかし、iPhoneとAndroidに代表されるスマートフォンが市場に普及すると、様相は一変します。スマートフォンでは、デコメよりも容量が多く、よりリッチなHTMLメールの受信が可能になったからです。
スマートフォンの普及に比例して、デコメでの配信を減らす、あるいは取りやめ、HTMLメールへの切り替えを検討する、企業も増加しました。
ここで問題になるのが、「スマートフォンの普及によってモバイル端末でもHTMLメールを受信できるようになった」という単純な結果で終わらなかったということです。
かつて、HTMLメールといえば、PCユーザーを意識した作りにさえしておけば、事足りていました。ところが、そこにスマートフォンが加わったことで、状況がとても複雑になってしまったのです。
スマートフォンは機種やOS、メーラーなどの組み合わせを考慮すると、PCの比にならないほど多様な受信環境があり、その表示サイズも様々です。また、PCに比べて画面が小さいため、PCと同じデザインでは「ユーザービリティ」を損ねてしまうという課題も出てきました。
このようにスマートフォンの普及により、HTMLメールを受信できるユーザーが増加したことは、メールマーケターにとってコミュニケーションの幅が広がった、というメリットがある一方で、ユーザーの受信環境に合わせた表示の最適化が複雑になる、という課題をもたらしたのです。
そして、この課題から生まれたのが、「レスポンシブメールデザイン」という技術です。
レスポンシブメールデザインの特徴
レスポンシブデザイン自体は、Webデザインでも一般的になってきているので、ご存じの方も多いでしょう。それと同じように、ワンソースで複数のデ バイスに表示を最適化する技術を使って、HTMLメールを作るのがレスポンシブメールデザインです(下の画像)。(Webと同じと言っても、メールならではの対応が必要なため、単純にWeb用のソースをメールに応用しても実現はできないのですが…話がそれてしまうので今回は割愛します)
▼レスポンシブメールデザインとは?
この技術を使えば、ユーザーの受信環境によって表示を最適化することができ、視認性の向上はもちろん、クリックやコンバージョンにも好影響をもたらすことができるでしょう。
また、単に表示を最適化させるだけでなく、「モバイル端末にのみ、このコンテンツを表示させる」といったように、スマートフォンとPCでコンテンツの出し分けも実現できます。
イメージとして分かりやすい例でいうと、「モバイル端末の場合のみ電話にダイレクトにつながるバナーを配置する」といった感じで、スマートフォン特有の機能に合わせてコンテンツを可変させるケースです。
こうしたテクニックを活用することで、単なる表示最適化以上の効果を生み出すことも可能なのが、レスポンシブメールデザインの特徴といえるでしょう。
以下のPinterestページに、海外の最新テクニックが掲載されているので、参考にしてみてください。Campaign Monitorというメールマーケティングツールを提供しているサンフランシスコの会社のエンジニアの方が運営しているサイトです。
▼Pinterest Responsive Email Design
Collection of the best responsive emails from around the world
レスポンシブメールデザイン導入の注意点
1つ注意したいのは、自社のメルマガをレスポンシブメールデザインに対応させるときの判断基準です。
やみくもに、「市場でのスマートフォンの勢いがすごいからレスポンシブにしよう!」と考えるのだけはやめてください。対応を検討する場合は、必ず事前に「自社のメール受信環境」を正確に把握することをおすすめします。
分析の際は、メルマガ内でクリックしたユーザーデータのみではなく、メルマガを開封したユーザーデータを基に分析する方がいいでしょう。クリックしたユーザーデータだけでは、母数が十分とは言えず、ユーザーの受信環境を正しく把握することが難しいからです。
自社のユーザーのメール受信環境を分析して、PC率とスマートフォン率が5:5であれば、レスポンシブ対応は必須でしょう。しかし仮に、PCが9割、スマートフォンが1割であればレスポンシブ対応は必須ではないと思います。
ほとんどがPCユーザーなのに、残り1割のユーザーのためにレスポンシブの対応工数をかけることは、あまり得策とはいえないからです。逆に、PCが 1割、スマートフォンが9割であれば、レスポンシブではなく、スマートフォンを優先したデザイン(スマートフォンファースト)を検討してみるのもいいでしょう。
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