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なぜ、ビジネス・パーソンは「忙しい!」を連発するのか/フランクリン・プランナー・ ジャパン

INSIGHT NOW! / 2016年6月30日 10時35分


        なぜ、ビジネス・パーソンは「忙しい!」を連発するのか/フランクリン・プランナー・ ジャパン

フランクリン・プランナー・ ジャパン / フランクリン・プランナー・ジャパン株式会社

その忙しさは錯覚!?

「忙しい!」が口癖の人

いつも「忙しい!」と言う人がいます。

そう言う人に、「忙しそうですね」と声をかけると、たいていは「ええ、おかげさまで」と嬉しそうに返事をしてくれます。

もちろん、仕事がなくて業績が上がらない状態よりも、仕事が忙しくて業績も上がっている状態のほうがいいに決まっています。

しかし、「忙しい」を連発する人の中には、忙しい割にはそれに見合った成果を出していない人が少なからずいます。

つまり、忙しいとは、単に急ぎだというだけで重要ではない、些細な仕事に忙しいため、出る結果も小さいのです。

悪いことに、この「次から次に仕事に手をつけてしまい、自分で忙しさをつくってしまう」人たちは、当人がそうとは気がついていないケースがほとんどです。

なにせ、当人にとってはその些細な仕事が重要な仕事なのですから。

たとえば、月曜日の朝会社へ行くと、同僚が困った顔をしながら、「ちょっと手伝ってくれないか。課長にも承認とってあるし、今日これを急いで仕上げなければならなくて」と仕事の依頼をしてきたとします。

些細なことで忙しくなってしまう人は、午前中に会議資料をつくる予定でいたのに、午後に回せばいいかと思いながら、このような依頼を引き受けてしまいます。しかし、仕事の優先順位がついていないと、手伝っているうちに別のメンバーから質問や問い合わせが入ってきたり、違う問題が起きたりして、そちらも手伝う羽目になってしまいます。結局、やりたいと思っていた仕事は何もできないまま、夜遅くまで仕事をすることになります。そしてまた翌日も同じことの繰り返しです。

事の大小を問わなければ、こうした経験は誰にでもあるでしょう。結果的にずっと火消しのような仕事ばかりになり、常に追い回されるような状態で対応することになってしまいます。

また、悪いことに、こうした火消し業務には、通常作業とは異なる高揚感、ちょっとした達成感があります。対症療法的にしろ、問題を解決し、すぐに結果を得ることができると、一種の興奮状態となり、快感すら覚えてしまうのです。

そうなると、次第に自ら緊急事項を追い求め、常に何かないかと探すことになります。こういう人は社内でも目立ちます。問題の火消し役として重宝がられ、次々に声がかかるようになります。本人も満足します。


なぜ人は緊急なことばかり行いたがるのか

なぜ人は重要性とは関係のない、緊急なことばかり行いたがるのでしょうか。

考えられる主な理由を挙げてみます。

やることを自分で考えなくていいから

緊急なことは、基本的に自分の外からやってきます。まれに締切を突然思い出したりすることもありますが、多くの場合は電話やメールなど、外からの刺激によって思い出すものです。

周りからやってほしいとお願いされるから

他人から依頼されたことは断りにくいものです。引き受ければ親切な人だと思われるのですからなおさらです。

すぐに結果が出るから

急ぎのことは、対処すればだいたいすぐに結果が出ます。特に重要性が低ければ、そんなに難しいことではないものが大半です。結果が出るというのはうれしいものです。

他のことをやらなくても誰も文句を言わないから

緊急対応しているのですから、傍から見ても大変そうです。そんな姿を見たら、文句言う人などいないと考えるのが普通です。

ある種の達成感がある

迫りくる締切との時間勝負に勝つ喜びや、やりきったときの爽快感は相当なものです。

・ 周りの人の期待に応える:人から頼りにされて、その期待に応える。こんなに気分がいいことはないでしょう。しかし、それだけでは自分の大切なことは実現しません。

緊張感が心地よい

急かされることによるある程度の緊張感は、楽しいものです。

やることが明解

やってみるとわかりますが、短期間勝負なので、論点が明解です。

いろいろ挙げましたが、共通して言えることがひとつあります。それは「楽」だということです。自分で計画しなくてもいいし、決めなくてもいいわけです。

おまけに周りから感謝される。これはやめるわけにはいきません。


重要さを伴わない緊急事項

忙しいと仕事をしている気分になれますが、必ずしも忙しさに見合った成果を出しているとは限りません。

それは、忙しさは重要性とは関係なく、緊急性にのみ左右される事柄だからです。

緊急度合が大きければ大きいほど、忙しさを感じる度合い(プレッシャーも含め)も大きくなります。

しかし、緊急性と重要性は本来違うものです。多くの緊急ごとは、重要性とは関係なく、ただ時間ばかりを要求します。

ですから、目の前の緊急事項にばかり対応していては、その人が本来果たさなければならない重要事項、周囲の人たちとの人間関係づくり、本来の役割からくる重要な目標はほとんど達成されないことになります。さらに、ずっと緊急対応を行っていることで心身ともに疲弊してしまうことにもつながりかねません。

ビジネスをしている以上、緊急事態は必ず起こります。しかし、どのような仕事や出来事があなたの目の前に現れようと、常にその出来事の重要性を考え、どのように対処すべきかを考えなくてはなりません。いくら緊急でも、重要性を考慮すれば、勇気を持って「ノー」と言わなければならないことも少なくないのです。

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