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まだ「無い内定」学生の親が、今できる就活支援/増沢 隆太

INSIGHT NOW! / 2016年8月17日 6時45分


        まだ「無い内定」学生の親が、今できる就活支援/増沢 隆太

増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

・まだ募集を続けている企業はある?
昨年までと就活時期が変更になったため、一律に月だけでこの内定状況が良いとか悪いとか評価はできませんし、そもそも評価などたいした意味がありません。それよりも今まだ未内定、いわゆる「無い内定」状態の学生にしてみれば、周囲の8割以上が内定をゲットした中、相当な焦りの中で苦労しているはずです。

当然ですが仕事も勝負事も焦りは大敵。ただでさえ緊張を呼ぶ面接など、焦って得することは何もありません。しかし「焦るな」とか「リラックスしろ」というアドバイスがビタ一文本人には役立たないのは、そんな言葉をかけられた経験のある方ならおわかりでしょう。本人は焦りたくて焦っているのではありません。リラックスできるものならとうにやっています。それができなくて困っているのです。

一方こんな出遅れてしまって、応募先企業はあるのでしょうか?
安心して下さい。マイナビやリクナビといったさまざまな就活ナビサイトが今の就活においては欠かせないツールになっていますが、今現在で応募できる企業はしっかり掲載されています。しかも上場企業や伝統ある大企業の募集も見かけます。応募先は絶対にあるのです。

しかしそれでも学生は焦ります。なぜなら今、応募できる会社は「上場」とか「従業員5千人以上(大企業のカテゴリー)」などと書かれていても、社名を知らない、聞いたことがない会社ばかりだからです。つまり今まだ募集をかけている企業は、学生にとって知名度の低い企業、魅力を感じない企業となっている可能性が高いのです。社会人から見れば立派な企業でも、圧倒的に企業知識の無い学生からすれば、テレビでCMを流す、ほんの一握りの会社や、最終製品が店頭に並んでいる会社「しか」知らず、企業選択をするという、きわめて頼りない状態にあります。


・親の関与
極論ですが、私は基本的に親ができることはお金を出すことだけだと思っています。就活にはお金がかかります。まずセミナーや面接などで移動する交通費、特に一人暮らしをしている地方大生は、東京など大都市に頻繁に出かける可能性が高く、深夜バスなど使ってできるだけ費用を浮かせるにしても、他にもクリーニングや身の回りの整備など、正にいくらお金があっても足りない状況でしょう。

そうかといって湯水のごとく与えられる親ばかりではないと思いますが、深夜バスなら片道5千円で東京-大阪間を移動できます。5千円1万円という単位で臨時のお小遣いをあげれば、そのありがたみは特に沁みる時期なのではないでしょうか?

お金ではなく、直接会社選びや就活指導に乗り出す親もいます。ESを子供に代わって代筆したり、面接練習をするという人もいます。しかしこうした直接の関与は基本的に子供の就活を失敗させるリスクが高いのでお勧めしません。特に絶対に避けてほしいのは「素人の関与」です。現役の人事課長だとか、現在の採用システムに精通している親であれば良いのですが、恐ろしいのは現在ではなく昔の就活しか知らない素人の親です。


・バブルは遠い彼方
最悪なのは入社が楽だったバブル期に、しかも人事の経験もなく会社員生活を送った親で、さらにビジネス現場を離れて20年など、ビジネスには素人の学生以下の知識しかない親です。正に混乱をもたらす邪魔以外の何者でもありません。採用市場も採用基準も、何より企業の経営環境が全く異なる現在の就活環境に、昔の知識と経験は無用の長物でしかないのです。

学生はそもそも社会を知りません。そこに学生から見れば社会を知っている「ように」一見、見える親の口出しは大きな影響を与えるでしょう。仮に子供のESを代筆して、非常に完成度の高いものが提出できたとしましょう。実際にES代筆を請け負うサービスもあると聞いたことがありますが、全くもって無意味です。

ESの出来が良ければ、面接につながる可能性は確かにあります。しかし就活はESの試験ではありません。ESに基づいて面接し、もしそこに出来の良いESに対し、あまりにもギャップのある面接だったらどうなるでしょう?当然パクリや代筆が疑われ、面接を突破することはまずありません。結局親の介入で途中まで進むことが仮にできても、成果につながらない以上は単に時間を浪費するだけに終わります。今、困っている学生に浪費する時間などありません。


・親ができることは?
では親は何一つ助けることはできないのでしょうか?
ぜひお勧めしたいのは、ご自分がどんな仕事をして、何によって給料をもらっていたかという話をすることです。キャリア学的に言えばご自身のコンピテンシーを子供に説明してあげるのです。親になる年代です方、新卒後、現在に至るまで普通であればさまざまな職場や部署、中には転職した経験のある方もおられるでしょう。そうした変遷を通じ、ご自身がどんなことを成し遂げ、何が評価され何が評価されなかったのか、その歴史、経験を説明してあげるのです。

特に参考になるのは不本意な就職や不本意な異動、業務のミスなど、失敗談です。学生の知識は社会を知るにはあまりに少なく、また学問的な知識とは別に、実社会におけるキャリア実現というものを体験できません。

特に今、内定先を得られず焦っている学生は、その志望先選択を誤っている可能性が高いのです。最終製品のテレビCMでバンバン打っている超大手、超有名企業を中心に就活を進めてしまった結果、持ち駒すべてを失ってしまう学生は、高偏差値大学でも少なくありません。逆に中堅以下の大学であっても、身の丈に合う企業を志望し、早々と内定を取っている学生はいくらでもいます。

すべてはマッチングです。自分だけが有名企業を望んでも、相手も有名大学の超優秀学生を望む以上、マッチングは成立しません。互いの希望のバランスが取れる時、これを実社会で苦労された親の皆さんならたくさん持っているのではないでしょうか。またそうしたバランスは初めから取れるものでも用意されたものでもなく、偶然だったり、最初不本意と思っていた職場が気付いたら安住の地だったとか、時間の流れによって変化するものでもあったのではないでしょうか。

就職は単に条件と条件の摺合せではありません。マッチングの意味を矮小化して理解してしまいがちです。そこを補正できる最高のお手本は、人生の先輩である親ではないでしょうか。くれぐれも余計な口出しやアドバイスは不要だということを肝に銘じて下さい。

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