トップとボトムの両方から攻めてプロジェクトを前進させる!/泉本 行志
INSIGHT NOW! / 2017年3月14日 7時54分
泉本 行志 / 株式会社アウトブレイン
トップダウン方式では、まず価値判断基準(方針)を設定し、各オプションをその基準で評価して意思決定をします。一方、ボトムアップは、各現場からの要望などを取りまとめ、最大公約数的な決め方でオプションが選択されます。一般にトップダウンは戦略的な重要度、ボトムアップは、現場のニーズ、実現の可能性が重視されている傾向が強い。
これらは、どちらかのアプローチを選択しなければならないということはなく、両方のアプローチから攻めることもできます。その場合、トップダウンで焦点を絞って選んだ選択肢と、ボトムアップから選ばれた選択肢のすり合わせをしていく必要があります。
たとえば、プロジェクトで取り組んでいる新規事業あるいは新しいITシステムで、最初にリリースする商品や機能の順番を決めないとならない場面があったとします。
プロジェクト内では意見がまとまっていたとしても、他の関連部署などの意見も考慮する必要があるでしょう。そういった場合、いきなり意見を聞き回ってしまうと、各々からそれぞれの都合や主張をもっともらしい説明で聞かされ、結局「ほとんどの商品あるいは機能が重要だ」と収集がつかない状態に陥ることがあります。 ボトムアップだけで進めると、結局何も決まらないとなりがちです。
そこで、このボトムアップ方式のアプローチに、トップダウンのからの視点(価値判断基準)を投入します。
例えば、
・売上トップ5の得意先が要望している商品・機能
・戦略的に力を入れている商品群
・情報セキュリティーの向上につながる機能
などといった方針を固めて、商品・機能の優先順位を仮決めします。
このトップダウンの方針案を示しながら、次に関連部署に説明をし、
“この方針に対して”
現場の視点から、商品・機能の選択に違和感はないか、この優先順位付けでは、どうしても現場のオペレーションに支障が出るといったことがあり得るかという質問の仕方をし、意見を聞いていきます。
全くの素の状態で意見を聞くのと、方針を示したフレームに基づいて聞くのとでは、結果は大きく異なります。
トップダウンの軸を意識しながら、ボトムアップで整理をしていく。こうすることで、バラバラの基準・視点から意見が散在してしまうことを防ぎます。
このように、トップダウンそしてボトムアップの両方のアプローチを融合させることで、効率良く意思決定を促し、プロジェクトを前進させていきましょう。
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