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ヤバいサークル:人生をダメにしたい田舎者のための新生活ガイド/純丘曜彰 教授博士

INSIGHT NOW! / 2017年4月2日 12時30分

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純丘曜彰 教授博士 / 大阪芸術大学

 さあ、新生活だ。入学式の前からサークルの勧誘がいっぱい。まるで夜の風俗街のAVスカウトのよう。そこで、学校に入って新生活早々、人生をダメにしたい田舎者のために、とってもヤバいサークルの選び方を教えよう。


 おもしろおかしく、楽しく遊び暮らしたいなら、活動目的が明確なサークルは避けよう。囲碁部とか、バトミントン部とか、いかにもつまらなそうじゃないか。合気道やブラバンなど、全国組織があって、全国大会があるようなところも、毎週の練習がとてもしんどい。ましてムダに熱心な顧問教職員がしょっちゅうサークルに顔を出してくるようなところは、監視されているようで、ウザいに決まってる。


 むしろ、斎藤さんだぞぉー、みたいな、ものすごくうさんくさい先輩だけで、なんのサークルだかわからないカタカナ名とか英語三文字名のところは、きっといいぞ。なんでもできて、なんでもやらかし、人生を破滅バラバラ色に染めてくれる。それも、バブルのころの創設で、広告代理店とつながりがあって、なにかボランティアめいた名目を挙げてインターカレッジなイベント(店を借りただけで高額チケットを売る箱屋稼業)とかをよくやっているところは、サカリのついた男の子や女の子の「ヤリサー」として最適。他大学の学生たちともたくさん知り合えるし、ネズミ講式にチケットの上前をはねて、いい「バイト」にもなる。主催者のVIP席にふんぞり返り、タダ酒もいっぱい飲める。法外なチケットを買う頭の悪い子たちも、酔っぱらって記憶も飛んでいるから、簡単に食い逃げ。


 見た目が清楚な田舎のお嬢様で、入った学校の規模が大きくないなら、テニスコートを何面も持っている有名大学の婚活早取りサークルに潜り込むのも、基本的な手。将来有望そうな男を「ゲット」するために、同年代で割り振りを決め、がんがん「体」当たりで「アタック」しよう。ただし、年下狙いの掴み損ね先輩とターゲットが被ると、無いこと無いこと、デタラメなウワサを広められ、サークルはもちろん、自分の学校からさえも叩き出されるので要注意。でも、うまく「体」当たりが成功すれば、どこの馬の骨だかわからないやつをひっかけられる。とはいえ、まともな家柄の男の子は、卒業して就職したら、きみよりもっと家柄のいい子に乗り換えるので、きみは学生時代のいい思い出だけをきれいに残すことができる。


 そういう派手な男女関係は苦手、という人には、政治系・宗教系がお勧めだ。もっとも、これは特別おいしいから、見つけるのも難しい。表向きはボランティアとか、セツルメントとか、憲法勉強会・聖書研究会とか、名乗っている。だが、実際は、そんな難しいことなんかやらないし、先輩もやれない。入部そうそう、大きな旗竿を渡され、顎足付(旅費食費込み)で、日比谷とか、沖縄とか、韓国とか、東南アジアとか、世界一周とか、タダ旅行させてもらえる。おまけに、就職も心配ない。本業がなんだかわからない会社や組織に入れて、結婚相手も当てがってくれ、順番で選挙に出してくれたりもする。こういうサークルをうまく見つけられたら、人生は完全にダメダメの既定路線に乗って、もう地獄の底まで安泰。


 サークルなんか、かったりー、という田舎者は、バイトに明け暮れよう。都会は、田舎と違って時給がいいぞ。それに、うわさに聞く都会のダメダメニートたちと、じかに触れ合える。おまけに、そのうち自分もオーバーワークで学校にも行けなくなって、彼らの仲間入り。だから、その前に深夜まで彼らの様子をよく学んで、人生に希望が無くなっても、絶望せず楽観的に、自信たっぷりに生きていく都会人の生き方を身に着けておこう。


 おもしろおかしく、楽しく遊び暮らしたい人には、もっとも向かない、もっともつまらなそうな新生活も、いちおうは紹介。新生活は、サークルやバイトではなく、学校中心というのが、おそらく「最悪」。とくに「奨学金」という名の、民間よりはるかに取り立てが冷酷非道な借金で学校に通う人は、最初から返済を考えて、節約と勉学、卒業、就職だけに、ひたすら四年の臥薪嘗胆。食事は、朝から晩まで、学食、学食、学食。栄養バランスを考えているから、苦い野菜も山盛りだ。空いた時間さえ、せいぜい図書館で、出たばかりの映画をブルーレイで勉強、勉強、勉強。電算機室で、ヘッドホンを借り、ちょっと怪しいネット映像を見て、世相を学ぶのも大切だ。バイトも、聴力障碍学生のためのノートテイカーとか、オープンキャンパスなどの入試業務補助など、やたら率がいいのを大学の中で探す。これでいったん信用されると、大学の方から嫌でも指名で連絡がくるようになる。うまくいけば、そのまま大学に職員として就職させられてしまうかも。


 学費というバカ高い年間フリーパス。それも年30週だけだから、1日数万円で、そこらのテーマパークや高級ホテルよりはるかに高額。講義にしたって、施設利用を無視すると、単純割りで、おおよそ1コマ6000円。だから、入学早々、いきなりバカサークル、バカバイトに関わって、講義にも出ず、苦労して工面した学費や奨学金をドブに捨てるような救いがたく頭の悪い、世間知らずのおぼっちゃま、おじょうちゃまなら、世に名を馳せるような事件に巻き込まれ、ネットに名前や写真が出て、田舎でも後ろ指をさされ、一生が取り返しがつかなくなる前に、いますぐ仕送りを打ち切り、家に連れ戻した方がいい。


by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka. 大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。著書に『アマテラスの黄金』などがある。)

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