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面接で危ないのは「イケる」と感じた時と「落ちた」と感じた時/増沢 隆太

INSIGHT NOW! / 2017年6月20日 7時30分


        面接で危ないのは「イケる」と感じた時と「落ちた」と感じた時/増沢 隆太

増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

1.「イケる」と思った時の危うさ
何だか今日の面接は調子が良く、言葉もスパスパ出てくる。面接官の質問もほぼ想定通りで、答えはバッチリ、よどみないもの。イケそうな感じがビンビンする時・・・・・・ヤバいです、それ。「イケる」と感じたのに、なぜその面接はうまく行かないのでしょう?

今年度早くも大学のキャリア講座に呼ばれるのは3校目になりました。これから就活をしようという学部3年や修士1年向けキャリア講座の皮切りとして、外部講師の私が話すことはことごとく一般的就活常識と違うと言われることが多いのですが、面接についても同様な感想をもらいます。

先週行った大学ではキャリア講座を通年開催させてもらって2年目になりますが、M1対象の講座に、すでに就活真っ最中のM2やB4学生も大挙来てくれたのでした。やや遅くはありますが、活動を見直す良いタイミングではありました。これまでのやり方が違っていたと認識してもらえればうれしい限り。例えば・・・・

面接はスピーチ大会ではない、面接は話の上手さを競う場ではない、面接用のネタ合戦に参加するなといった、話は初めて聞くという学生がほとんどです。要するに何のために面接を行うのかという採用の仕組みから説明することで、くだらないネタ合戦や「盛り」合戦の愚を避け、また派手派手しいリア充アピールなどしなくとも、企業が欲しいと思われる真のアピールを考えさせるのが私の授業です。

間違った面接のあり方を信じていると、その準備を含め、どんどんおもしろネタやリア充ネタをいかに滔々と話せるかという間違った練習になります。「イケる」と思った時というのは、正にこうした面接で求められることと違う、学生の準備通りの流れになった時が多いのです。それはイケてるのではなく、単に準備がそのまま想定通り進んでいるだけ。あくまで戦略コミュニケーションの立場からすれば目的達成には全く近づいていないことになります。

2.「落ちた」と思った時の誤解
逆にこれはダメだ、全然アピールできてないと思った時の面接はどうでしょう。緊張の余り一言も話せないでは、さすがに評価は得られません。ただ緊張しがちな人が、アレもコレも盛りエピソードを語ろうとする対策自体が自殺行為で、ただでさえあがり症の人が自らアウェイな環境に自分を追い込んでいるだけです。

「言おうと思っていたことが言えない」のは、内容次第です。多くのくだらない自分本位な自己アピールやリア充自慢は、学生にとっては魅力的に感じられても採用する側にはさっぱり関心をもたれないということがごくごく普通にあり得ます。

ここでも戦略コミュニケーションで重視する「目的意識」がズレていることで、どれだけ練習しても採用には近付けていないのです。言おうと思ったことやアピールすべき内容自体が間違っていれば、その出来には関係なく当然ですが評価にはつながっていません。

キャリア相談に来る学生が「先日の面接の反省」を語る時、ほとんど」9割以上、予定していた回答ができなかったというものです。しかしその予定そのものがズレていることが圧倒的に多く、面接の進め方ではなく、そもそもの就活戦略が間違っていることが多いのです。


3.面接ですべきこと
面接は就活のクライマックスだと始めに書きました。面接によって採否は決まるのです。一次面接だろうが最終だろうが、そこでダメの烙印が押されれば採用選考は終わります。よほどのことがなければ二度とチャンスは来ません。

では面接でなすべきことは何でしょう。「採用したい」と思われることに尽きます。当然すぎて答になっていませんか?しかし何万回という面接練習や模擬面接(本面接官経験も山の如し)をやってきて、「採用したい」と思わせる戦略コミュニケーションを実現できている人は数えるほどです。

採用したいと思われる前に、自分の言いたいことを並べ立てるのがほとんどですが、そのトピックやアピールが、どう「採用したい」に結び付くかが練られていません。ネットにあふれる「模範解答」的な、美しい言葉のられつはあっても、ご自分ができる企業貢献につながっていないため、少しも採用したいと思えないのです。

「黙って背中を見て」評価されることはありません。自ら採用するメリットをしっかり伝え、それが説得力を持つよう素材(ネタ)を吟味し、伝えること。いたってシンプルです。上手に話せて損することはありませんが、話が上手いだけで採用はありません。つまりたどたどしく、つっかえつっかえであっても、内容をしっかり戦略的な構成にできていれば、しゃべりが下手であることは致命的マイナスにはならないのです。

連数すべきポイントは上手く、よどみなく話せるかではなく、「採用したい」と思われる内容になっているかという事前準備で9割決まると言えるでしょう。今からでも遅くありませんので、現時点でまだ結果が出ていない人は再度見直してみて下さい。

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