裏取りをする/泉本 行志
INSIGHT NOW! / 2017年7月25日 9時29分
泉本 行志 / 株式会社アウトブレイン
もしあなたがプロジェクトをリードする役割を担ったとしても、必ずしも対象の業務やツールなどに詳しい必要はありません。そのために、その分野で知識・経験があるメンバーを揃えてプロジェクト体制を組んでいる訳です。その人たちがうまく能力を発揮できる仕組みを作り運営することが、あなたの推進役としての第一義的なミッションです。
では、その分野で自分より知見のある彼ら・彼女らに全てを委ねてよいでしょうか?
もちろん、各分野の専門家たちの知見・技術を集結してプロジェクトを進めていくことに変わりはありません。ただ、プロジェクト活動に影響度の大きい事柄や、直感的に「何だか怪しいなあ」と思うことは、やはり担当者一人の意見・回答だけに依存すべきでない。必ず可能な限り複数の人にも確認し裏取りすることを心掛けるべきしょう。
ところが、現場に全てを委ね、骨格となる知識・情報を自ら理解することや検証することを完全に放棄し、自分は全体のマネジメントしかやらないと言い張り、専門家の言うことを盲目的に信じて進めていく。そんな態度では、思わぬところで落とし穴にはまります。
たとえば、
・「今回の新規事業では、既存の契約書をそのまま使うことができます」
・「新システムへの移行データは、ベンダー側が用意してくれます」
・「今回の業務プロセスの変更でも、サプライヤーへの影響は全くありません」
こういった報告を受けた場合、そのまま丸呑みして、その前提で先に進めてしまうのは何だか怖い気がします。 少なくとも、もう少し詳細の説明を求めてロジックを追って矛盾がないか確認すべきだし、場合によってはその情報の信憑性も、別角度から検証することも必要でしょう。
また、報告相手の言葉にも嗅覚を働かせます。
たとえば、
・「○○は、基本問題ありません。」
・「○○は、たぶん大丈夫だと思います」
といった言いっぷりの場合、「基本」「たぶん・・思います」という言葉にはやはり自信の無さが垣間見えるので、もう少し突っ込んで確認する必要を感じます。
プロジェクトのリーダーとしては、「特にここを外すとヤバい」という点は、ダブルチェックをすべきです。「それぞれの担当責任者がそういったからそうなんだろう」と逃げてはいけない。
また、ダブルチェックする場合、確認するのに適任な相手が、プロジェクトに対して非協力的な人だったり、気難しく話づらい人だったり、何かと嫌味な感じであまり関わりたくない人ということもあるでしょう。(だからこそ、担当者も確認を省略している可能性がある)
そんなとき、「できれば別の人のルートで確認できないかな」と避けたくなる気持ちになるかもしれませんが、そこは逃げずに敢えてその人に確認すべき。コミュニケーションしにくい相手こそ、答えを持っていることが多いものです。逆に、そういう風に逃げたときに限って、なぜか後でしっぺ返しを食らうことが多い。
クリティカルな情報に関しては、普段から何かしら裏取りの確認をできるルートを確保しておくことがプロジェクトリーダーとして大事になるでしょう。そんな非公式の裏取りチャネルを持つことが、リーダーとしての力量となり、プロジェクトを舵取りするリアルな現場で生きてきます。
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