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がんの対応にもっと「こころ」の面のアプローチを/内藤  由貴子

INSIGHT NOW! / 2017年8月2日 13時53分


        がんの対応にもっと「こころ」の面のアプローチを/内藤  由貴子

内藤  由貴子 /

「がん」なることは、特別なことではありません

6月22日に小林麻央さんが、乳がんで亡くなられた時、改めてがんとどう生きるのかが問われる機会になりました。
多くの人が、そのブログにアップされた精いっぱい生きる姿に共感し、訃報は英国BBCなど、海外メディアでもそのブログとともに報じられました。

国立がんセンターの「最新がん統計」によれば、
生涯でがんで死亡する確率は、男性は4人に1人(25%) 、女性は6人に1人(16%)だそう。
さらに、生涯でがんにかかる確率は、男性67% つまり、2人に1人以上、女性47%、およそ2人に1人。

つまり、誰ががんになっても、おかしくないということです。
私の場合も自慢ではありませんが、軽いもの、大変だったものを取り混ぜて、すでに4回のがん体験があります。

それでも、死亡率と罹患率の数字は離れていますから、私のような生き残りを含めて、がんになっても、必ずしも死ぬわけではありません。

むしろ、がんを経験しても、生きている人が多いのだと、気づかされます。
今の時代、がんになっても、そんなに簡単に命を取られることはないのです。


まだまだ三大治療以外でも、焦点は身体の面

さて、麻央さんが亡くなられた後、西洋医学の三大治療、とりわけ抗がん剤が彼女の命を縮めたとか、だから、西洋医学の治療は間違いだ、という人もいます。

私自身、心理系セラピストとしてホリスティックな癒し(身体だけでなく心や生き方もその人の全体から捉えた癒し)を意図していますから、身体にフォーカスした西洋医学だけでいいとは、思っていません。

それで参考にさせていただこうと思い、某SNSのがん患者のグループページを拝見していました。
そこは、あらゆる方法で、治癒した人たちの体験を語ることがメインだったはず。

ある日、そこで学ぼうとした現在治療中の患者さんが、治療やこれからの不安が高まり、辛い気持ちを投稿されたのをお見掛けしました。
何とか気持ちを落ち着かせたい、辛さに誰か寄り添ってくれないかと思われたのでしょう。
しかし「三大治療はやめなさい」と、どこかのネットの記事のリンクを張りまくられたり、
「○○療法を試してください」と営業?のコメントが入れば「営業やめろ!」と書かれていきます。
患者さんの気持ちはそっちのけで、スレッドばかりが伸びていく。

いつの間にか、その患者さんは、そのグループからいなくなっていて、お役に立てなかった自分に忸怩たる思いがありました。


身体フォーカスから、ホリスティックな視点を持つと

ただ、そうしたものを読ませていただくにつけ、あることに気づきました。

自然治癒力を引き出すのに、体温を上げるとか食事療法や免疫力アップなどの情報は、尽きることなく出てくるのですが、そのほとんどが身体の調整に関わることです。それはそれで大切ですし、「生き方も変えなければだめ…。」という身体意外の意識をもつコメントも、もちろんあるのですが、やはり身体が中心です。その意味では、食べ物も薬のよう。

ホリスティックな考えでは、ボディ、マインド、スピリット全体で人を捉えるし、病もその全体視点からとらえて初めて、見えるものがあります。
ちなみにここで言うスピリットは、魂とも訳せますが、つまり命の在り方です。
だから、スピリチュアルとは、あやしい話ではなく、
その人の本質がどう生きることを望んでいるのか、命の意味を高めるような印象です。

そして、身体にフォーカスすると、がんを「治す」という発想になりますが、ホリスティックな視点では、がんが「治る」というのが適切です。

あるがん体験を読んだ記憶から

これを読んでくださっている方にも、きっとがんを体験された方がいらっしゃるでしょう。
そうした方は、1冊や2冊はがんに関する本、とりわけ誰かの闘病記に類するものを読んだ方は多いのではないでしょうか。

昨年、私は古い本をだいぶ処分したのですが、書棚の半分くらい、がんに関する本がありました。
似たような本も多く、闘病記だけでなく、薬に関する本からがんのメカニズムについての本までいろいろ出てきて、我ながら、こんなにがんにとらわれていたのかと、今更ながら愕然としました。

そんな中に、あるジャーナリストが、がんが治った人を取材した本に、興味深いことが書いてあったはずと思い、探したのですが、見つかりませんでした。
記憶の範囲でご紹介します。(出典不明なので問題があれば申し訳ありません)

確か、仕事仕事で生きてきた男性が、倒れて入院したときには、既に末期。余命いくばくもないと宣告され、自暴自棄になって深夜、病室を抜け出し、病院の屋上に佇んだ時の体験が書かれていました。

今となっては本が見つからず、確認できませんが、たぶん死にたいと思ったのだと思います。
屋上の闇の中にいると、やがて夜が明けはじめ、太陽が昇り始める直前に、空気がふわっと動き出し、それに呼応するように小鳥が啼き始める…

これは、この地球で、太古から繰り返されていたことかもしれません。

そんな体験をした瞬間、彼は「一体自分はこれまで何を見て生きてきたんだろう。ようやくこんな素晴らしことに気づけたのに、もう命がないのだろうか…」と思います。

その男性は、大げさでなく、宇宙と地球の流れの中にその瞬間に自分もあることを、一瞬にして悟らされたのだと思います。

一方で、病室にいなくなった彼を探して、病院は大騒ぎになっていました。
ようやく戻ってきた彼に主治医は「すごいことしてくれたね、もう帰っていいよ」と言われ、「望むところ」と家に戻ったら、がんは消えたのか、治ってしまったそう。

その男性は、その後、生き方を180度変えたという話だったかと思います。

なぜこんなことを書いたかと言うと、こういうことが、いわゆるスピリチュアルなメッセージであり体験なのだと思うからです。

仕事人間だったその男性、単にワークライフバランスを見直しました、という話ではありません。

その人が、自身の命の意味を真に直感した時、奇跡のようなことが起こった。

そんな話は、時々、聞きます。

私自身、懲りずに何度か、がんを体験しましたが、38歳の時の2度目のがん体験で、
この男性の体験のようにわかりやすくはないものの、ちょっと不思議な体験をしたことで、助けられたと思っています。

具体的には、どんな不思議かは書くのを避けますが、実は私も当時、ワーカホリックでしたが、なぜか病の後、人生の流れがその仕事を辞めるように変わり、気づいたらセラピストになっていました。

心理的なアプローチはがんを予防するのでは?

さて、もっとわかりやすく、大切にしてほしいもの、それは、「こころの面」。

心理面からのアプローチは、もっと大切にされていいはずです。

サイコオンコロジー(精神腫瘍学)という、がんの患者さんとその家族の精神的なケアに関わる学問があります。

私が期待しているのは、精神的なストレスを始め、こころの面が、がんを作るのではないかということが、もっと明らかになってくるのではないか、ということです。

私がかかわるフラワーフォトセラピーでも、「すべての病気は心身症」の考えが基本にあります。

過去の思い出したくない記憶を 無意識のこころのつぼの奥底にしまい込み、蓋をして鍵をかけても、封印した思いは、外に出ようとします。
人はそれを見たくないので、蓋が開かないように圧力をかけます。もちろん無意識のうちに。

そんな圧力は、強烈な負荷になるわけですから、その分、エネルギーを消耗します。
エネルギーの消耗は、身体やこころの不調和となって現れ、支障が出ます。

それががんではないと言いきれません。

私自身、それを身をもって体験しましたから。
以前、このInsitht Nowの記事でも書いたことが参考になると思います。

ストレスと言っても、ライトなものからハードなものまであります。
今の時代は、社会や環境から、いろいろな刺激が複合的なストレスにもなっています。

その中で、何が原因かわからなくても、心理セラピーをしていただくことが、そのこころや身体のエネルギーの消耗を減らし、結果、がんが減る機会になればと思っています。

こころへのアプローチで、がんが予防できたとしても、、エビデンスの取りようがありませんが、役に立たないはずはありません。

また、そのがんの遠因となるストレスがわかってきたら、その解放によって、自然治癒力が引き出される可能性があります。エネルギーを消耗させていた強烈な負荷が消えるのですから。

私自身、何度もがんになりながら、こころの奥に潜むものを解放する対応をしたおかげで、再発もせず、生きて来られました。

実際、ある80歳を過ぎて末期がんになった女性が、ある心理療法で自分の気持ちを抑圧していたことに気づき、解放したらがんが消えたという話をあるシンポジウムで聞きました。

だから、がんは、身体だけでなく、こころのSOSの可能性があります。その声をちゃんと拾ってあげましょう。

だから私も、現在闘病中のかたはもちろん、病気になる前の、些細なことのうちに、もっとご相談にのって差し上げたいと思います。



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