ここまで進んでいる!?クルマの自動運転開発の最前線《パート1》/LEADERS online
INSIGHT NOW! / 2017年11月2日 7時30分
LEADERS online / 南青山リーダーズ株式会社
最先端の「センシング×AI技術」が決め手に
21世紀に入り、ドライバーをサポートする運転支援システムは日進月歩で進化を続けています。
たとえば、アクセルを操作しなくても前車と車間を取りながら追走できるオートクルーズ、前方の障害物や衝突の危険を検知して自動でブレーキを作動させるオートストップ、車間の詰め過ぎや車線逸脱などを知らせる警告システム、車庫入れや駐車の操作を自動制御するパーキングアシスト……など、20~30年前には考えられなかったようなサポート機能が次々登場し、すでに市販化されているのはみなさんもご存じでしょう。
そして今、将来の実用化に向けて本格化しているのが、ハンドル・アクセル・ブレーキなどの全操作をクルマが担う、より高度な自動運転システムの開発です。とくに近年は、高精度なセンサーや人工知能を活用した「センシング×AIテクノロジー」の研究開発が急速に進み、完全自動運転の無人カーも技術的には実現可能とされています。実用化にあたっては、事故時の責任を含む法制度の見直しや交通インフラなどの整備が課題となりますが、今後の技術競争力の要になることは確実で、自動車メーカー各社では先を争って開発のペースを上げています。
自動運転には5段階のレベルがある
自動運転の開発段階の基準となるのが、米自動車技術者協会が定めた5段階のレベル(SAEレベル)です。日米欧ではこのSAEレベルに準拠して、自動運転システムの開発が進められています。
現在、部分運転自動化のレベル2までは、米テスラや独メルセデスベンツ、日産自動車などがすでに車載のシステムとして市販化しています。日産自動車は昨年(2016年)以来、日本車初のレベル2システム「プロパイロット」を搭載した「セレナ」「エクストレイル」を計5万5000台販売し、幅広いユーザー層からの支持を獲得。今年(2017年)夏にフルモデルチェンジした新型EV「リーフ」にもプロパイロットシステムを搭載し、高速・自動車専用道路単一車線での自動運転に対応しています。
レベル3では、限定条件での運転操作・安全監視の責任を原則的にシステムが負いますが、国際条約「ジュネーブ道路交通条約」では、公道を走行できる自動車は「常時人間が運転する」と定義されており、日本などの法律でも「ハンドルから手を放したままの運転」は認められていません。また、事故時に誰が責任を負うのか(ドライバーか、システム開発者か、メーカーか?)といった混乱も避けられないため、実用化のハードルは高いとみられていました。
自動車メーカー各社の動向と今後の課題
そうした中、独アウディは今年7月、レベル3のシステムを搭載した新型セダン「A8」を、2018年に市販化すると発表。中央分離帯のある高速道路を時速60km以下で走行する場合のみ、という限定条件付きですが、同社は「市販車では世界初の高度な自動運転機能」と位置付けています。
さらに、限定領域での完全自動運転を可能にするレベル4の搭載車も、市場投入される日は遠くないようです。独BMWやダイムラー、米フォードモーター各社では、2021~2023年を目安にレベル4システムの搭載車を市販化する計画を公表。トヨタ自動車も高級ブランド「レクサス」で、2020年代前半にレベル4のシステムを導入するロードマップを明らかにしています。
しかし、現時点では自動運転の技術開発ばかりがヒートアップして、前述した法律面・インフラ面での整備が立ち遅れているのも事実です。そうした社会的課題を受けて、将来の交通社会に向けた議論が国や民間機関、国連などで進められており、国際的に統一された自動運転の定義や法律、安全基準などの整備が急がれています。
高レベルの完全自動運転に関しては、国などから特別に許可の下りた商用目的(タクシーやバス、運輸など)での運用から実用化が進むとみられていますが、今後、私たちの生活の中でクルマの可能性はどこまで広がっていくのか……大きな期待とともに注目していきたいと思います。
―― 次回の《パート2》では、自動車メーカーとは異なるスタンスで自動運転の実用化を目指す、IT・ライドシェア企業の開発事業や新しい交通社会へのアプローチにフォーカスします。
※参考/朝日新聞
≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。
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