ここまで進んでいる!?クルマの自動運転開発の最前線《パート2》/LEADERS online
INSIGHT NOW! / 2017年11月16日 7時30分
LEADERS online / 南青山リーダーズ株式会社
完全自動運転の開発をリードする米グーグル
ここまで進んでいる!?クルマの自動運転開発の最前線《パート1》
自動運転の技術開発は自動車メーカーにとどまらず、国内外のIT業界からも次々と大手企業が参入。その最大の強みとなるのが、自動運転のカギを握るAI(人工知能)+情報通信の最先端技術と、制約にとらわれないIT企業ならではのスピーディーなアプローチです。
米グーグルの自動運転車開発部門「ウェイモ」では、レベル4以上の完全自動運転技術の確立をめざし、2009年以来、約500万kmにおよぶ試験走行を実施。人間が一生かけても得られないような運転経験や、周囲の膨大な画像をAIに学ばせ、自動運転システムの設計や改良に不可欠なデータを収集してきました。
そして2014年、その成果を集約した自社設計の自動運転車「ファイアフライ」を発表し、ハンドルやアクセルペダル、ブレーキペダルもない完全自動運転車として話題を集めました。
しかし今年(2017年)6月、同社はファイアフライによる走行試験を打ち切り、今後はフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)など、提携する自動車大手の市販車をベースにした自動運転車の開発に集中すると発表。ウェイモのプロジェクトチームは「量産車に集中することで、完全な自動運転技術をより多くの人々に、より早く届けることができる」とコメントしています。
ソフトバンク×仏ベンチャーによる新形態の交通システム
日本企業ではソフトバンクが今年4月、過疎地などでの自動運転サービスを目指す「SBドライブ」を設立。その3ヵ月後の7月には、東京都内のホテル敷地内で、無人の自動運転バスを使ったSBドライブの実験走行が公開されました。
この無人バスは仏ベンチャー「ナビヤ」が開発した電気自動車で、ハンドル・アクセルペダル・ブレーキペダルがなく、液晶パネルで行き先を指定すると自動で発進。GPSで位置を把握しつつ前後左右のセンサーで周囲を検知しながら走行し、緊急時にはゲーム機のようなコントローラーを使って人間が操作するシステムとなっています。
ナビヤの自動運転バスは、仏リヨン市やボルドー市、米ラスベガス市のイノベーション地区など、すでに複数の都市で導入されており、スイスの公道実験やロンドン・ヒースロー空港でもデモンストレーション走行が行われています。さらに今後、ソフトバンクとの提携で日本市場への本格参入を見込むナビヤは、「自動車メーカーが開発中の自動運転車とは異なり、ショッピングセンターや空港、大学の敷地など決められたルートを低速で走る計画」を打ち出しています。一般公道での自由走行よりハードルが低いことから、日本国内での早期導入に大きな商機を見込んでいるようです。
自動運転サービスを目指す欧米のライドシェア業界
近年、欧米で急成長するライドシェア業界でも、自動運転サービスを目指す動きが活発化しています。
米配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズは、2016年から完全自動運転によるライドシェア事業(相乗りサービス)を試験的にスタート。本格導入が実現すれば、都市の渋滞や事故などが減少すると期待されていますが、自動車メーカーからは消費者のマイカー離れ(=販売台数の落ち込み)を懸念する声も上がっているようです。
そうした中、欧米では自らライドシェア事業に乗り出す大手メーカーが相次いでいます。米ゼネラルモーターズと英ジャガー・ランドローバーは、ライドシェア大手の「リフト」に多額の資金を出資し資本提携。米フォードモーターも、通勤用ライドシェアサービスのベンチャー「チャリオット」を買収・子会社化しました。いずれも、自社の自動運転車をシェア事業に向けて開発・提供することで、新たな活路を見いだそうという狙いです。
多業種参入で自己変革が迫られる日本の自動車業界
欧米の自動車メーカーで異業種との提携が広まる一方、日本のメーカーに同様の動きはあまり見られません。目立ったところでは、ホンダが2016年末、米グーグルの「ウェイモ」と自動運転の共同研究に向けて検討に入ると発表しましたが、両社の方向性の相違などから停滞しており、具体的な進展はまだ見られないのが現状です。
また、ライドシェアが規制され、クルマが堅調に売れている日本では、メーカー側も「自前主義」へのこだわりを捨てきれない一面もあるようです。ライドシェアについて政府は「2020年までに過疎地などの限定地区で、完全自動運転のサービスを実現する」と掲げていますが、世界における自動運転サービスは、先行する欧米や中国の企業がすでに主導権を握りつつあります。
これまで日本の自動車メーカーは、低燃費・手ごろ感・汎用性など総合的な技術力で国際市場をリードしてきましたが、多業種が参入して世界的に自動運転の開発競争が加速する中、今後はこうした強みが通用しなくなる可能性も考えられます。そうなれば、自動車産業は日本経済の屋台骨だけに、社会経済に大きな波紋が生じることは間違いありません。
今後、日本のメーカーは業界・業種・国境を超えて、他社とウィン・ウィンの方向性を探っていくことも重要となってくるでしょう。そして、行政もインフラやルールを早急に整備し、スピード感を持ってバックアップしていく―― そうした構図を官民一体で描いていくことが、日本の自動車産業や交通社会の新たな展開に不可欠となるのではないでしょうか。
※参考/朝日新聞
ここまで進んでいる!?クルマの自動運転開発の最前線《パート1》
≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。
【記事元】
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【転載元】
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