中小企業のコンテンツマーケティングのつぼ B2Bのペルソナ設定/猪口 真
INSIGHT NOW! / 2018年4月17日 17時25分
![中小企業のコンテンツマーケティングのつぼ B2Bのペルソナ設定/猪口 真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/insightnow/insightnow_9972_0-small.jpg)
猪口 真 / 株式会社パトス
遅れる中小企業のWebマーケティング
日本の大半を占める中小企業は、Webマーケティングに関して、大企業に比べても非常に遅れていると言われている。
弊社が前に行った調査でも、半数以上の中小企業が、Webマーケティングに興味もないし、取り組む予定にもないと答えており、大企業との差はかなり開いている。
これは基本的には中小企業のビジネスそのものが、大企業を中心とした枠組みの中に組み込まれていることが大きな要因の一つであり、逆に言えば、現状に満足で、新規顧客開拓の必要性も少ないということであり、それはそれで問題ないとも言える。
しかし、実態を見れば、取り組みたいにもかかわらず、人材不足、時間不足、予算不足、ノウハウ不足の「ないないずくし」となっている中小企業も多く、中小企業といえども、新規開拓につながるマーケティング活動は必要だという認識は根底には必ずあり、営業先が無くなる恐怖は、どんな経営者でも持っている。
そういう観点でいけば、ローコスト運用も可能なコンテンツマーケティングへの取り組みが効果的であり、費用対効果を判断しながらも、スモールスタートを切る必要のある企業は多い。
B2Bコンテンツマーケティングでのペルソナ設定
そこで、コンテンツマーケティングを行う場合、B2Bとはいえ、ターゲットとなる対象者のペルソナ設定を、行うことになるのだが、C顧客とはどのような違いがあり、どこに気をつければいいのだろうか。
ありがちなのは、無理やり自社製品のソリューションに結びつけ、「業務システムの入替を検討していて、大手ではなく中堅企業のエンジニアと仕事をしてみたいと考えている」などという、都合のいいペルソナを設定してしまうことだ。
本来コンテンツマーケティングは、ユーザー側からの視点で語る必要があるのだが、企業に商品があるかぎり、プロダクトアウト型のコンテンツにならざるを得ないのは仕方のないことだが、ターゲットを絞るということは、ターゲットが何を課題としているかを顧客視点で探る必要がある。
B2Bのペルソナ設定は、企業としての課題をどう設定するかだ。業界としての全体的な課題もあれば、その企業固有のもの、さらに時間軸で分かれる場合もあるだろう。
また、企業としての課題に加えて、個人の課題意識に対してコンテンツを伝える必要がある。最終的なターゲットは個人であり、意思決定者も個人である。
つまり、B2Bのペルソナ設定で考えられることは、組織として、部門としての側面と個人としての側面がある。
組織・部門として
・業界およびの課題
・担当職種固有の課題
個人として
・担当職種にける課題
・役職における課題
これらの課題を整理しながらコンテンツを開発していくことになる。
たとえば、製造業向けの業務システム系のITシステム開発を販売している企業であれば、顧客企業において、製造業としてのグローバル化や労働力不足などの課題があり、情報システム部門として生産性向上の課題や在庫管理システム、あるいはCRMやSFAの課題もあるかもしれない。
こうした包括的な課題は、通常の営業アプローチや一般的な外部情報からも比較的容易に手に入りやすいだろう。
難しいのは、ビジネスパーソン個人としての課題感の持ち方の設定だろう。
まずひとつは、役職によって課題は変わる。
担当レベルであれば、原則的に仕事は指示されたものが多いが、課長、部長レベルになれば、よりレベルの高い課題となるはずで、できれば製品導入の意思決定が可能なレベルでのペルソナ設定をしたいものだ。
そうすると、たとえば
- XYZ製造株式会社
- 情報システム部 企画開発部 企画課 課長 山田太郎 47歳
- 現在、海外メーカーからの攻勢に押され、コストダウンは喫緊の課題。製造プロセス、社員の労働環境においてもIT化をさらに進め、生産性を高める必要がある。
- 個人的にはクラウド活用への切り替えが必要で、自社用のシステム開発は時代遅れだという認識を持っており、現在の業務システムの延長上での開発には反対している。
- また、新しいソリューションの活用にも積極的で、古くからの付き合いというだけで会社の命運を預けるのはやめたいとも思っている。
などというペルソナが考えられるかもしれない。
こうしたペルソナが明確になれば、配信するべきコンテンツも作成しやすくなっていくだろう。時間がたてば、トレンドや環境の変化によってペルソナ像が変化していくことだってあるだろう。
訴求したい製品が、こうしたペルソナに合うのであれば、重点的にコンテンツを作成し、自社サイト、メルマガ、SNSでの配信を行ってみる。
継続して行っても、効果が出ず、レスポンスも良くないとなれば、提案するソリューションに対して最初に設定したペルソナがずれていた可能性があるわけだ。
また、昇進もすれば担当変更もある。意見や見方が変わることだって頻繁にあるだろう。
状況の変化には臨機応変に対応していくことも大切だ。
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