中小企業のコンテンツマーケティング 招かざる客をどうするか/猪口 真
INSIGHT NOW! / 2018年4月28日 20時0分
猪口 真 / 株式会社パトス
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中小企業のマーケティング予算は少ない。
大きなキャンペーンもできないし、派手な露出もかなわない。だから、いわゆる広告ではない、Webサイト(オウンドメディア)によるコンテンツ訴求やセミナーなどの小規模のイベントが中心となる。
もちろん、無駄な費用は1円でも使いたくないのだが、そうはいっても当たる企画もあれば当たらない企画もある。少ない予算といえども、経費が無駄になり悔しい思いをすることもままあるだろう。
周辺の中小企業のマーケティング担当者に「どのような結果になったとき、予算が無駄だったと感じるか?」と聞くと、当然もっとも多いのは、思ったほどのリーチ、集客ができなかったこと、つまり、費用対効果が悪かったということだ。
そして次に多いのが、「集客やリーチはできたものの、こちらが来てほしいと思った客ではなかった」という結果だ。
来てほしくない人が来てしまったということなのだが、どういう人かというと、
(1)購入したい気持ちはあるが、予算や規模などこちらの条件に合わない
(2)購入したい気持ちはあるが、本人に意思決定の権限がまったくない
(3)購入に関係のない、単なる勉強
(4)競合
などが一般的だろう。
(1)と(2)は、営業活動しているとどうしてもぶち当たってしまう壁のようなものだが、これらに関しては、最初はわからないため、徐々に情報を増やしていく以外にない。
営業としてアプローチをする際に気を付けなければならないのは、「課題を持つ」「意思決定権を持つ」「予算を持つ」この3つをすべて持つ人以外には、本当の意味での顧客にはなりえないということだ。
ただし、販促活動において接する場合には、これらの人たちを除外するものでもないし、まずできない。そういう意味では、「招かざる客」というわけでもない。
問題は(3)と(4)の場合だ。(4)の競合は、社名を見ればわかることなので、水際ではじくことは可能だ。多くの企業では、当初からそれを見込み、「抽選で100名様」などと書き、申し込み名簿を見て、結果「抽選に外れてしまいましたので、またの機会をご利用ください」などということをしれっとやる。受講票は郵送にすれば、本当のことを書かざるを得ないし、(3)もある程度見極めることもできる、かなり有効な方法だ。
しかし、この方法は、募集定員の倍以上の申し込みが見込まれる場合に限られる。つまり集客段階でかなりの予算が必要となる。中小企業にはほぼ取れない方法だ。
(3)の単なるお勉強客も面倒な相手だ。日本人のビジネスパーソンは基本的に勉強熱心なため、いろいろなセミナーなどの勉強の場に顔を出す。上司にレポートを出せば仕事はしたことになるので、自分の勉強にもなり一石二鳥だ。
ただ、この中にはやっかいな人もいる。無料と聞いて参加する人が多いのも特徴だが、基本的に著作権に対する意識も甘く、おかしなことになる可能性もある。
招かざる客を呼ばないために
招かざる客が増えるとなると、本当に伝えたいキラーコンテンツを出し惜しみしてしまい、セミナー自体にインパクトがなくなってしまうことにつながる。さらに、セミナー自体の意義も問われることにもなってしまう。
Webサイトでもリアルのイベントでもいえることだが、次のようなポイントは押さえておきたい。
〇ターゲットを明示する
あたりまえのことだが、誰に来てほしいのかを明示することが最初にするべきことだ。「Webサーバーのコストダウンが課題の情報システム部門の方」「セールスの生産性を上げたい営業部門の責任者の方」「採用コストを下げたい人事部門の方」など、ターゲットと同時に、ソリューションも明示することで、少なくとも上記、(1)(2)はかなり防ぐことができる。
〇こちらから断る場合があること明示する
Webサイトへのアクセスや資料ダウンロードではほぼ不可能だが、セミナーの場合は、「大変人気のセミナーのためご来場をお断りする場合があります」「○○部門の購買ご担当者に限ります」など、こちらから断ることができる旨を明示することも、招かざる客を防ぐ有効な方法だ。
〇具体的な課題、目的をとる工夫をする
たとえば、セミナーであれば、申し込みの動機記入を必須項目とし、選択肢の場合は、最初から「情報収集(勉強)」などの項目は入れず、商品やサービスが解決できる問題や課題から選択してもらうようにする。
〇顧客の特別感を出す
顧客であることのプレミアム感を出す。これまでのお取引様への優遇や、アンケート記入者へのプレゼントなど、顧客だけにしか与えられないプレミアム感を出す。
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