ダイエットの効果が出ない? それカロリー摂取量じゃなく糖質コントロールが重要ですよ!
ITライフハック / 2015年5月21日 17時0分
ここ数日、夏のような暑さを感じさせる陽気だ。そろそろ夏に向けて肌を露出するためのダイエットなどを考え始める季節になってきた。食事制限や運動などで、夏までに一定のスタイルへ持って行こうと考えている人、最近、太ってきたのでダイエットを考えている人に朗報だ。
サッポロビールが全国の20~60代の男女1000名を対象に「食習慣と糖に関する実態調査」を実施した。監修にあたったのは栗原クリニック東京・日本橋の院長であり、前慶応義塾大学特任教授の栗原毅医師である。調査結果が気になる人が多いと思うので、さっそく調査結果を紹介しよう。
■一日の食事で摂取している糖質が過剰気味であることが判明!
同調査によると、一日に摂取すべき糖質量の基準値(男性250g、女性200g)に対し、実際に一日の食事で摂取している糖質の総量の平均は、男性で309g(59gが過剰、角砂糖約15個分)、女性で332g(132g過剰、角砂糖約33個分)と過剰摂取の傾向にあることが判明したという。
この一日の基準値を超えて、糖質を摂取している人の割合は73.5%で、男性62.4%に対し、女性は84.7%と、女性のほうが過糖質傾向にあることも分かった。食べる量で言うと女性のほうがはるかに小食であるのに糖質の摂取量で見ると男性の倍以上を摂取しているというわけだ。
また、カロリー摂取量を意識している人ほど、糖質の摂り過ぎ傾向にあり、全回答者の中で基準値を超えて糖質を摂取している人の割合は前述したように73.5%。それに対して「カロリーの摂り過ぎに注意をしている」と回答した人のうち、基準値を超えて糖質を摂取している人の割合は83.0%と高い傾向を示した。
※1:糖質とは、炭水化物から食物繊維を抜いたもの。主食であるお米や、パン、麺類に多く含まれる
※2:糖質摂取量の基準値は、栗原医師の提唱する1日あたりの糖質摂取量の推奨値
※3:角砂糖の換算に関しては、角砂糖1個あたりを糖質4gとして換算。
この調査結果に対し栗原医師は「糖尿病や肥満に悩む多くの人たちは、カロリーに関してはある程度の知識があり注意していても、糖質については意外に知らず、注意をしていない場合が多く、ダイエットを頑張っている割に期待するような効果が出ないという傾向があります。実はカロリーより糖質を制限することが重要なのです。」と言う。
それじゃあ、主食を減らせばいいのかというとそうではないようだ。「主食を減らした分を野菜で補おうと、ポテトサラダを選んだり、ダイエットに人気の春雨を食べていいたりする場合も、それらは原料にイモやでんぷんを多く含むため、せっかく主食を抜いても、糖質制限にはなっていません。また、洋菓子は和菓子に比べて脂分が多いですが、脂分が糖の吸収を抑えるため洋菓子の方が糖質の制限という面では優れています。ヘルシーなイメージのある蕎麦やフルーツも実は過糖質な食べ物なのです。」(栗原医師)。納得、気が付かずに糖質を多く摂取してしまうわけはここにあった。
栗原医師は、糖質コントロールの難しさも指摘する。「このように、糖質接種のコントロールには意外な落とし穴が多く、制限が難しいのです。ただ、過度に糖質コントロールをすることはおすすめしません。そこでキーワードとなるのが“難消化性デキストリン”です。食事と一緒に難消化性デキストリンを上手に体内に取り込めば、糖の吸収スピードが穏やかになり、血糖値の急激な上昇が抑えられ、過剰な糖質摂取を防ぐことになります」。時間をかけてゆっくりと取り込まれるようにする方法がおすすめというわけだ。
ということで以下に調査結果のグラフや質問に対する回答のグラフ、それに対応した栗原医師のコメントを紹介しよう。
■一日の食生活で摂取している糖質量
栗原医師コメント:「全体平均の320.23gは角砂糖に換算すると約80個分に相当する量となります。多くの人が知らず知らずのうちに、いかに過剰に糖質を摂取してしまっているのかが分かります。特に50代女性では400g(角砂糖換算で約104個相当!)を超える量です。これはこの年代層の「糖質を中心とした間食が多い」生活習慣が一因と考えられます。
■全回答者の中で基準値以上の糖質をとっている人の割合と「食生活でカロリーの摂り過ぎに注意している」と答えた人の中で基準値以上の糖質をとっている人の割合
栗原医師コメント:「全体回答者に比べ“食生活でカロリーの摂り過ぎに注意している”と答えた人のほうが糖質を過剰摂取している傾向が見られます。これはカロリーと糖質の違いを正しく理解していないためだと思います。もちろんカロリーは過剰摂取しないに越したことはないです。ただし、気にするべきは糖質なのです。カロリー制限に意識を向け過ぎて、食べたいものを食べないより、糖質を少し気にしながらしっかり食べれば太らないのです。
■質問(茶碗一杯のご飯に含まれる糖質は、角砂糖にすると何個分だと思いますか?
全回答者の平均が4.3個だった。実際はご飯一膳(150g:大人用普通茶碗に8割盛った量)に含まれる糖質量は角砂糖に換算すると13.8個分に相当し、認識と実際の差が3倍以上という結果になった。この勘違いが糖質の過剰摂取に直結しているわけだ。
栗原医師コメント:意外と多いのが主食であるお米に対する認識の間違いです。日本人の主食である白米にはお茶碗1杯あたり55g強もの糖質が含まれています。ご飯の量を控えれば効果的に肥満予防やダイエットをすることが可能です。また、ご飯を食べる時のポイントがいくつかあります。まずは、かまずに飲み込むような食べ方はNG。一口30回を目安に、ゆっくりかんで食べること。1回の食事に最低でも15分くらいかけることです。そして、食べる順番を変えること。野菜やきのこ、海藻などの食物繊維が多く含まれる食事を先に食べ、ある程度おなかを満たしてから、肉・魚、そしてお米へと食べ進むのがコツです。さらに油や酢を味方に付けるのもいいでしょう。こうしたポイントを守りながらご飯を食べれば急激な血糖値の上昇を抑え、満腹感も得ることができ、糖尿病や肥満の予防・改善につながるのです。
■質問(どちらに多く糖質が含まれていますか?
これも糖質が少ないと思っているほうが実は多く、糖質が多いと思っているほうが実際は少ないという逆の結果になっている。特にロールケーキ1切れより塩せんべい2枚のほうが糖質が多いというのは、驚きだ。
栗原医師コメント:春雨はイモや豆のデンプンから作られているため、実は糖質が高い食べ物なのです。そしてお米が原料となるせんべいも、糖質が高い食べ物なのです。このように一見糖質が低そうな食品にも、思わぬ落とし穴があります。食品に含まれる糖質は、その結合数によって単糖類、少糖類、多糖類に分類され、結合数が少ないものほど吸収が早いので、単糖類である果物等も摂り過ぎると太りやすくなる食品のため要注意です。
以上のように「糖質をコントロールできている」と思ってダイエットに励んでいた人でも、実際は糖質をコントロールできていないことのほうが多いということが理解できたことと思う。糖質を正しくコントロールするには、正しい知識を持ち、栗原医師の指摘したようなポイントに気を付けて適切な食事を取るように心がけたい。
栗原 毅(くりはら たけし)
栗原クリニック東京・日本橋院長。前慶應義塾大学特任教授。前東京女子医科大学教授。脂肪肝の改善こそがメタボリックシンドロームの予防・改善に役立つと提唱。治療だけでなく予防医療にも力を入れている。血液サラサラの提唱者の一人でもある。
■「食習慣と糖に関する実態調査」概要
回答数 : 1000名(有効回答数1035名)
男女比 : 男性50%・女性50%
年代比 : 20代:男性85名、女性83名
30代:男性114名、女性111名
40代:男性106名、女性103名
50代:男性101名、女性102名
60代:男性112名、女性118名
調査期間 : 2015年2月
集計方法 :
1)値は小数点第二位で四捨五入
2)「過糖族」は、栗原医師より提言いただいた1日あたりの糖質摂取量の推奨値(成人男性:250g成人女性:200g)を超えた回答者の総称として使用。
3)推奨値の計算方法として1日の摂取必要カロリー男性1800kcal/女性1600kcalを糖質:タンパク質:脂質=5:3:2として算出された糖質のカロリー男性900kcal/女性800kcal1g=4kcalに換算し導き出す。
4)食品に含まれる糖質量の算出については、管理栄養士 松原郁実による監修のもと作成。
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