ゲリラ豪雨対策へ都市ダム化の提案、エコ建材「greenbiz」とは?
ITライフハック / 2015年6月25日 15時0分
関東地方も梅雨入りし、本格的な夏に入るまで不安定な天気が続く。しかもここ数日は、神奈川・東京・埼玉・千葉といった関東各所で雷雲が発生し、いつ大振りのゲリラ豪雨が来てもおかしくないような天気が続いている。6月11日は、九州地方において活発な梅雨前線の影響で非常に激しい雨となり、土砂崩れや浸水が相次いだ。
そして、今年は梅雨明けが遅くなると見られている。そこで、発生回数も含めて懸念されるのがゲリラ豪雨である。近年では、短時間に大量の雨が降るゲリラ豪雨による被害が各地で相次いでおり、中でも都市部での影響は甚大なものになりやすい。
■1時間での降水量が50mm以上の短時間強雨発生回数が毎年増加中
たとえば気象庁では、1時間に50mm以上80mm未満の雨を「非常に激しい雨」、80mm以上の雨を「猛烈な雨」としている。アメダスで見たこの短時間強雨の発生回数は、統計期間1976~2014年にかけて、毎年増加しているという。
そして「記録的短時間大雨情報」と気象庁が発表した際に用いられるケースが多い、いわゆる”ゲリラ豪雨”というのは1時間に100mmといった大雨が観測された際に発表される事後情報だ。局地的に大量の雨が降り、降水後に最終的にデータをまとめたら”ゲリラ豪雨”と呼ぶにふさわしい規模だったという結果論なのである。
このゲリラ豪雨により、道路の冠水、住宅地下部、地下街、駅への冠水といった被害が発生するようになった。
こうした情報を発信し始めた1983年からの5年間は平均33回程度を記録。”ゲリラ豪雨”がその年の流行語にもなった2008年は129回を記録。4倍以上へと跳ね上がっているのである。
そして、この”ゲリラ豪雨”による被害が日本各地で発生。2014年8月20日(水)、広島県で発生した”ゲリラ豪雨”による土砂災害において、土砂災害発生件数は166件、全壊133戸、土砂災害発生当日の最大時間雨量は87mmを記録した(※)。
※:気象庁調べ
局地的な豪雨は、2013年夏(7月23日~9月30日)の期間中に日本全国で2,923回発生。地域別に見ると、面積の広い北海道が最多で200回。その他では茨城県173回、埼玉県163回、千葉県158回、東京都116回を記録し、東京周辺の自治体が軒並み上位を占める結果となっている(※)。
※:ウェザーニュース調べ
また、気象庁の最近30年間のデータ分析によると、東京都心の夏期の夕方の降水量は周辺地域より30%以上多くなっていることが発表されている。地下鉄や地下街など地下建築物がある都市部では、ゲリラ豪雨による大きな被害が発生してきた。
こうした地下鉄や地下街など地下建築物への雨水が入ることで発生する内水氾濫は、都市型水害の典型的なものだ。1999年7月には東京・新宿区の住宅地の地下室が水没し死者が出る事故も起きている。こうした都市型水害対策として、雨水管や排水機場の整備、地下空間への浸水の対策が急がれている状況だ。
■水害対策は、排水との戦い
過去、都市部にも自然が多く残っていた時代では、大雨や台風が来ても、緑地部分、土などが水を吸い込んで分散することで水害の発生を防いでいた。しかし、地下街や地下鉄が都市部の地下部分を網の目のように張り巡らされることにより、水を吸い込んで分散することが不可能となってしまった。結果、様々な浸水被害が発生するようになってしまったわけだ。
つい先日である2015年5月13日、ゲリラ豪雨による都市部の浸水対策を強化する「改正水防法」が、参院本会議において全会一致で可決、成立した。洪水による被害が想定される河川周辺を指定している浸水想定区域を、地下街や建物の浸水が想定される市街地などへの拡大が決定した。
近年、豪雨が影響し下水道による排水が追い付かず、雨水が市街地にあふれ出す内水氾濫による被害が多発している。こうした背景を受け、改正法では新たに内水氾濫によって市街地で生じる被害も想定し、市町村に浸水想定区域指定の義務化が決まった。該当する区域では、市町村が避難ルートなどを盛り込んだ住民向けのハザードマップの制作や地下街管理者による避難計画策定が義務付けられた。
もちろん、こうした水害が発生しないように排水を良くして水害の発生を押さえるための努力も必要になってくる。しかし、都心部のコンクリートジャングルを、どんな形で緑化していけばいいのか?といった対応に対して、あまり有効な答えは見つかっていなかった。
■染色産業の廃棄物から生まれたエコ建材「greenbiz」
そこに目を付けた小松精練株式会社によって、研究の結果完成したのがエコ建材「greenbiz」(グリーンビズ)である。
greenbizは、染色産業の廃棄物(余剰バイオマスケイク)を有効利用し開発された超微多孔性の発泡セラミックス基盤。小松精練が、地球環境の保護・保全に対する企業の姿勢として、環境保全、環境づくりを経営の最重要課題の1つとして挙げ2009年より販売を開始。
2015年5月時点で屋上及び屋上緑化材として39,000㎡、駐車場等の路面材として75,000㎡の導入実績を達成。2013年「グリーンビズ」、2014年「グリーンビズG」と2年連続グッドデザイン賞を受賞するに至った。
■雨水流出抑制・透水貯留によるゲリラ豪雨への対策
greenbizは従来型の保水性ブロックと比較し、その保水量は1.5倍を誇る。greenbizを敷設することで、その表面吸水能力により水溜りが生じにくくなるという。吸水した水はgreenbiz内部に保水され、飽和含水率いっぱいに達することで路盤、路床へ透水される仕組みだ。さながら、吸水性および保水が可能な人工の土のようなものと考えるとわかりやすい。このgreenbizを上手に使うことで雨水流出抑制や透水貯留により“ゲリラ豪雨”の被害を防ぐ対策として有効であることが確認されている。
■greenbizを使った都市ダム化でゲリラ豪雨による浸水災害対策
例えば、greenbizを1,000㎡の範囲に敷設した場合、14t以上の貯水が期待できるという。貯水量のシミュレーションとして、東京ドーム(46,755㎡)にgreenbizを敷設した場合、655tの水を貯水。さらに、東京23区(621,000,000㎡)の面積分に相当するgreenbiz を敷設した場合は、8,694,000tもの貯水量という試算結果が出ている。
小松精練は、一時間に100mmといった莫大な降水量のゲリラ豪雨による浸水災害対策に貢献するべくゲリラ豪雨に対抗するためgreenbizを用いた”都市のダム化”を行うこと目指すとしている。
先述したように2015年5月時点でgreenbizを屋上及び屋上緑化材として39,000㎡、駐車場等の路面材として75,000㎡の導入実績を達成している。ほぼ上野の不忍池と同程度であり、1,540tの貯水が可能となっている。
今後、都市部にgreenbizが広まって行くことで緑地化に加え、貯水力を高めることができるわけで、こうした社会貢献や自社ビルの地下部分や1階部分を水没させたくないと考えている企業は、小松精練に連絡を取ってみるといいだろう。
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