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「人月って言葉、失礼ですよね」 Rubyの生みの親Matzがソフト開発者に伝えたいこと

ITライフハック / 2014年2月28日 8時0分

「人月って言葉、失礼ですよね」 Rubyの生みの親Matzがソフト開発者に伝えたいこと

「プログラマ35歳定年説なんて間違い! 実時間GCの“生みの親”竹内郁雄」で紹介してきているように、DODAエンジニアITでは、さまざまな業種の著名人が登場してエンジニアたちへハートフルで有益なメッセージを送ってきている。著名人の中には、世界的に有名な人もたくさんいる。

今回紹介する“Matz”こと、まつもとゆきひろ氏(以下、敬称および名前略)も、そうした著名人のひとりだ。同氏はオブジェクト指向のスクリプト言語 「Ruby」の開発者だ。たくさんのプログラミング言語の中でも人気投票で必ず上位に顔を出すほどだ。

■プログラミング言語「Ruby」開発の理由とは?
まつもとは筑波大学第三学群情報学類を卒業し、島根大学大学院博士課程に進学するも、単位取得で退学。そのまま職業プログラマとして就職し、静岡県浜松市に居住していた頃、効率的に記述できるプログラム言語の実現を目指し、「Ruby」の開発をスタートさせたという。

開発の動機だが当初は「プログラミング言語を作りたい」というシンプルな思いだけで損得は考えていなかったという。そして開発を始めた時期、バブルが崩壊したおかげで仕事がほとんどなくなり「暇になってしまった」。

そして目の前にはUNIXマシンが何もせずに遊んでいる。ほかにやることがないから、そのUNIXマシン上で作ったのが、Ruby言語だ。そして「Ruby」は1994年にα版をリリースしたわけだが、それまでRubyユーザーは同じ社内で3人しかいなかったというから驚きだ。

それから20年以上の長い時間を経て、「Ruby」は成長し、世界中に普及していった。今ではWeb開発の分野における主要な開発言語のひとつとして知られるまでになった。

■超えなければいけないハードルの超え方
まつもとは「Ruby言語の開発で飽きたり、辛く感じたりすることはなかった」と言い切るが、もちろん彼にも大きなハードルはあったはずだ。唯一、Rubyが動き出すようになるまでの半年が、そのハードルだったとまつもとは言う。

「あの半年だけは頑張ったと思う」

たとえば「Ruby」はオブジェクト指向言語であるが故に”Hello, World!”という文字列を表示させるためには、オブジェクトを管理する枠組みを作り、最小限必要なクラス群を作り、さらにI/Oライブラリを作る必要がある。”Hello, World!”を表示する準備に半年かかったというのだから、このハードルの高さは相当のものだったであろうことは想像に難くない。

それを黙々と準備し、表示された”Hello, World!”を見て、「すごいことをした!」と感じたと、まつもとは当時を振り返る。プログラムが走るようになれば以降は、短い時間で得られる達成感が開発を支えたという。

このようにゴールを遠くに置くのではなく、短いゴールを意識することで、「Ruby」は20年以上に渡り開発を継続できたといえる。

■「新しい」より「気分がいい」、「言語愛のない言語に魅力はない」
まつもとによるとRuby言語は、新規性や性能よりも「気持ちよさ」や「自由度」を重視して設計されているという。彼の有名な言葉のひとつに「Rubyをキメると気持ちいい!」というものがある。「新しいものを作ろうとは思っていない。気分がよく開発できる言語を作りたい」とまつもとはいう。

もうひとつ重視する点が「プログラミング言語への愛があるかどうか?」だそうだ。「Rubyには目的はない。科学技術計算とかWeb開発とか、特定の目的に偏った言語ではない」。そしてこう付け加えた。

「“言語愛”がない言語には魅力を感じない」

合理の塊とも言えるプログラミングに最も真逆なロマンチシズムとは、まつもとらしい発想だと言えるだろう。

それを象徴するように「“人月”という言葉、失礼ですよね」とまつもとは言う。プログラマの能力差を考慮せずに、労働時間だけを測るやり方が好きではないのだ。プログラミング言語への愛、そしてプログラマを仕事効率だけで測らない点も、まつもとの人柄を表していると言えるだろう。

ここで紹介した以外にも、まつもとの逸話はたくさんある。興味を持った人は、ぜひとも「三年予測」を読んでみることをおススメしたい。

■「三年予測」って、なに?
「三年予測」とは、DODAエンジニアITが提供するWebコンテンツだ。様々な分野で活躍する「トップリーダー」と称される人にインタビューを行い、IT・Web系の企業に勤務している「エンジニア」へ向けたメッセージを発信している。

「トップリーダー」の人物像やご経験にスポットライトを当て、先の見えない昨今においてエンジニアとして魅力のある人物に成長していくためにはどうあるべきか、考え方や姿勢など、日々の業務を行うだけでは思いつかなかった発見・気付きを示唆するコンテンツとなっている。

同コンテンツを読んでもらうことで、より重宝される人材になるためのアクションを起こしてもらうことを目的としている。

■Ruby言語開発者 まつもとゆきひろ氏がソフトウェア開発者に伝えたいこと

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