格安スマホに豊富なクールジャパンコンテンツを提供する「GOOME JP(グーミージェーピー)」発表会レポート
ITライフハック / 2015年8月18日 9時0分
日本ではSIMロック解除義務化の流れが加速しつつある現在、格安スマホ向けに様々な定額サービスが安価で提供されるようになってきた。スマホ本体についても、これまでの高価格・高機能なものから低価格・限定機能なものまで、数多くの機種が発表されてきており、大手キャリア以外の魅力的な選択肢が増えてきた。
こうした日本の流れ同様に海外でも格安スマホが主流になっており、2015年8月11日にGooute Pte. Ltd.(以下、グート)は都内の会場で発表会を開催し、アジアの低価格スマートフォンメーカーと連携し、クールジャパンコンテンツを海外に配信できるメディアプラットフォームである「GOOUME JP(グーミージェーピー)」を本年8月31日から提供すると発表した。
■低価格スマートフォンメーカーと協業して展開
GOOUME JPのアプリケーション開発は株式会社見果てぬ夢が担当し、同社の戦略的提携先である、台湾のFoxconn Technology Groupの子会社であるPower-All Networks Limitedが、世界最大規模で展開するクラウドネットワークシステム「Inter-Cloud」を提供。これにより、日本のクリエイターやライター、コンテンツプロバイダーが容易に海外で、壁紙、アイコン、動画、音楽、マンガ、ゲームなどのコンテンツや、日本のエンターテインメント情報やファッション、観光情報などのトレンド情報の配信が可能になるとのこと。
■年内に複数デバイス対応および多言語対応を目指す
GOOUME JPは年内までにAndroid OS、iOS、Windowsといった複数のOSやWebブラウザと複数のデバイス(スマートフォン、タブレット、PC)に対応し、日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、スペイン語などの複数の言語で提供される予定。まず8月31日に提供されるサービスは、Android OS向けアプリケーションとWebブラウザに対応するもので、デジタルハリウッドやフジスマートワークなどに所属する複数のクリエイターやライターが、クールジャパンの情報・コンテンツを提供する。
またグートは、低価格スマートフォンを企画・製造する中国や台湾の企業5社と、各社が製造するデバイスにGOOUME JPアプリをプリインストール、または各社の公式サイトを通じて、各社のユーザーにGOOUME JPを提供する。これにより2015年秋以降、アジアを中心とするグローバル市場で年間数千万台規模の低価格スマートフォンユーザーにGOOUME JPを提供することが可能となるという。
発表会の席上、グートCEOである横地俊哉氏は「この1、2年には、日本でもSIMフリーとともに格安スマホが流行するなど、多くのユーザーシェアを取ってきた。ただ海外新興国ではもうすでに格安スマホが主流となっている状態。中国・台湾のメーカーもそのゾーンしか見ていない」と強調。
「2011年と2014年のスマートフォンメーカー別シェアを見ても、各国で低価格スマートフォンメーカーが乱立している状態。中国のメーカーが国内でシェアを伸ばしているだけでなく、東南アジア、アフリカ、南米あたりの新興国に多くの端末を輸出して台数を稼いでいる。日本では名前も知らないメーカーが信じられないような台数を供給している、ということが起きている」(横地氏)。この流れは今年以降も変わらないと横地氏。それどころか「Other(その他のメーカー)」で示されるメーカー群が大きくシェアを伸ばすだろうという予想だ。
しかし利益構造から見ると、圧倒的なシェアを持つAndroidスマートフォンよりも、iPhoneを中心としたiOSを持つAppleの方が利益は出ているとのこと。先進国で見るハイエンド・高機能でないと利益は出せないが、そこはもうAppleの一人勝ちになっている。このため低価格帯でのスマートフォンを出しているメーカーは、低価格+αの何かが必要になっていると横地氏は言う。
そこでグートは、コンテンツを世界に流通させるプラットフォームとビジネスモデルを海外メーカーやキャリアと構築することにしたとのこと。「Google PlayではGoogleにしか利益が落ちなかったものを、ハードメーカーにも利益が落ちるようにするのが我々の事業の骨格」(横地氏)。
ハードメーカーとは、単にプリインストールするだけでなく、表示される位置の問題から仕込み方まで、一つずつ話をしているとのこと。こうした上で、Google Playではない、新たなメディアプラットフォーム作りをしている。ここでチャンネルを作った上で、まずは日本の事業者・コンテンツプロバイダーに協業を呼びかけ、コンテンツ販売もしくは広告モデルで収益を上げるようにしているそうだ。
グートがこれまで提携してきたのは下の写真に挙げた5社。ほとんど日本では知名度がないが、この上の4社だけでも年間5000~6000万台のスマートフォンを生産しているとのこと。「日本のどのメジャーメーカーも台数的には既にかなわない」(横地氏)。
同社の予想によると、2017年には4000~6000万台のスマートフォンにGOOUME JPが搭載されると予想しているが、コンサバな数字であるとのこと。「第1弾で発表したメーカー以外とも交渉しているので、おそらくもっと増えるだろうと考えている。あくまでも目標値だが、2年の間に1億台以上には搭載したい」(横地氏)。
今回の発表ではGOOUME JPのサービスを発表するだけだったが、今後はスマートフォンの企画、デザインについても手がけると横地氏は言う。「中国や台湾には数多くのOEM・ODMメーカーがあり、作っているメーカーは同じなので提供されるデザインの金型も似ており、どこのスマートフォンも差別化ができない状態。そこで年末年始あたりには海外市場に向けて、日本で企画・デザインされた低価格スマートフォンを複数のメーカーと共同で発表する予定」だそうだ。なお、これらのスマートフォンは新興国向けが中心となる。
今後について横地氏は、低価格スマートフォンメーカーと一緒に展開をしていくが、インフラ周りは見果てぬ夢とPower-All Networksと連携して展開。まずはアジア、台湾、香港をターゲットとし、あとは低価格スマートフォンが売れるような地域に広げていくとのことだ。
■GOOUME JPのサービス概要
引き続いてGOOUME JPの概要について、プロダクト事業本部グーミィ事業部のAki Tsaiマネージャーから説明された。
「GOOUME JPは日本の最新情報を海外に発信するサービス。日本のクリエイターやライター、コンテンツプロバイダーが持っている情報である日本のエンターテインメント、ファッション、観光、イベントなどを発信していく。それに加えて音楽やマンガ、動画コンテンツや壁紙、アイコンといったイラスト系のものまで取り扱っていく」(Tsai氏)。
GOOUME JPには、キュレーション記事と独自の記事を掲載する情報配信サービスである「GOOUME JP」と、音楽や電子書籍、動画などのデジタルコンテンツを配信する「GOOUME JP+」の2コンテンツが用意される。
GOOUME JPは低価格スマートフォン向けのサービスとして提供されるが、それだけでなくiOSやWindowsなど、幅広い環境に対応するとのこと。8月31日にはAndroidとWeb版がリリースされるが10月にはiOS向け、11月にはWindows向けにも提供される予定だ。
GOOUME JPへは、法人でも個人でも自由に登録可能。なお事前に審査されることとなっており、コンテンツが重複しないか、また宗教的な問題をクリアしているかなどを調整。スムーズなコンテンツ展開を目指すという。
GOOUME JPにコンテンツを登録した人を同社では「クルー」と呼ぶそうだ。クルーには専用のページが用意され、発信したいジャンルについてボードを立て、その下にワークと呼ばれる記事を追加していく。ユーザーは、お気に入りのワークを登録したり、ボードに参加したりしていくことで、好きなコンテンツを閲覧できる。そしてコンテンツは日本語、英語、中国語にも対応。日本語で作った記事を随時翻訳チームが各国語に翻訳していくほか、クラウドソーシングにより現地でのネイティブチェックも行い、違和感の無いようにしていくという。
なおコンテンツだが、最初の段階では海外に配信したい個人のクリエイターの作品を集め、いわゆるインディーズのものを提供するとのこと。企業パートナーについてはライトコンテンツを配信することになるそうだ。
また今後は、コンテンツをリメイクする権利を同社が獲得し、それを海外にいるコンテンツプロバイダーに提供することで、現地にあったコンテンツを提供するという計画もあるとのこと。「最終的には人気のある海外のコンテンツも集めて配信していく」(Tsai氏)。
企業クルーとなるのは下の写真にある5社だが、インターFMとはラジオ番組を同社と協力して制作。10月から新番組の放送に合せ、GOOUME JP上でコンテンツを配信していく予定とのこと。
低価格スマホをフックにアジア市場へ日本のコンテンツを提供していこうとする同社の取り組みは非常にスケールの大きいものとなっており、今後の成長が期待される。1億台超のスマホで日本のコンテンツが様々に利用されていくシーンを作り、GOOU ME発の日本旋風を巻き起こすことを期待したい。
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