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個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第五十五回

ITライフハック / 2015年8月21日 15時0分

個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第五十五回

■はじめに
今回はWebで見かけた、マンガ関連のトピックをいくつか取り上げようと思います。特にスルドイ視点からの分析などはなく、とりとめのない雑感程度のものですがご容赦を。

■マンガをめぐる状況
まず1つめはマンガの配信サービス「マンガ図書館Z」について。
「マンガ図書館Z」は元々、マンガ家の赤松建氏が2011年に起ちあげた「Jコミ」を起源とします。「Jコミ」はその後2014年に「絶版マンガ図書館」と名前を変え、あさらに2015年8月にヤフー子会社のGYAOと提携し「マンガ図書館Z」としてリニューアルしました。

赤松さんのお考えでは、「海賊版の撲滅」「既存作家の援助と新人作家の機会提供」を目的とされているようです。ご存知の方も多いと思いますが、「マンガ図書館Z」で扱っているのは絶版になったマンガを始めとする、出版社の管理外となった作品です。

そのような作品に、広告収入を柱として得たものを作家さんに支払うというのが基本です。新人、アマチュア作家のコンテンツも扱うとのことで、既存作家以外にもメリットのある場所と言えます。

また、ソーシャルDRM入りのPDFファイルの販売も行われるということで、既存の多くの電子書店のように、サービスが終了したら購入した作品を読めなくなるということも避けられるとのこと。

作家、読者双方にメリットのあるサービスですが、運営団体にもメリットが出るかどうかが重要なポイントだと思います。これは単にサービスの域を越えて、文化事業といっても差し支えないものだと思うので、末永く継続されることを願います。

2つめは集英社のキャンペーンサイトについて。
たまたま電子書籍情報系のサイトを見ていたら、「うすた京介.com」が期間限定オープン、という見出しを発見しました。

うすた京介氏は、週間少年ジャンプで「すごいよ!!マサルさん」や「ピューと吹くジャガー」などの作品で、独特のギャグセンスを披露したマンガ家さんです。どうやら、うすた京介氏の新作マンガが9月5日に集英社の少年ジャンプ+でスタートするにあたってのキャンペーンを行っているようです。

雑誌名でも作品タイトルでもなく、作家名をこれだけフォーカスしたキャンペーンが珍しかったのでちょっと見てみました。

約1か月間ほどの期間限定キャンペーンサイトで、目的は恐らく「ディープなうすたファンを増やす」ということではなく、どちらかというと「少年ジャンプ+の認知度を広める」とか「少年ジャンプ+への興味を持ってもらうキッカケにする」とか、そんなことだと思われます。

その点を考えると、コンテンツ量は十分ではないかと思います。星座占いやニックネームメーカーなどの、占い・診断系のコンテンツは、その結果をSNSに流せるようにしておくことで、サイトへの集客に大きな力を発揮します。

この系統のコンテンツは3種類ありますが、その見出しに「一気にやると飽きちゃうから、週2くらいのペースで触るのが吉。」とあることから、さほど力を入れて作っていない(期間限定のキャンペーン用と割り切っている?)という様子が伺えます。これはいっそ潔い気がしてしまいます。

個人的にうまいと思ったのは、コミックス未収録の読みきり作品を掲載して、その場で読めるようにしてあることです。

「すごいよ!!マサルさん」や「ピューと吹くジャガー」などのメジャーな作品のお試し版への誘導もありますが、占い・診断系のコンテンツで引き寄せた新規の読者に興味を持ってもらうなら、短い時間で完結できる読みきり作品は訴求力が高い気がします。

また、うすた氏のことを知っている既存の読者にとっても、未収録の読みきり作品は嬉しいものです。物珍しさからアクセスしたキャンペーンサイトですが、案外効果的なものになっているのではないかと感じました。

最後に少し週刊少年サンデーについて。
週間少年サンデーの新編集長が異例の声明を発表したというニュースを見ました。声明文全文を見たわけではありませんが、かなり強い言葉で新体制の構築と運営に関する意志を表明したようです。

少年サンデーは少年ジャンプ、少年マガジンと共に3大少年誌と言われていますが、他の2誌に比べて発行部数の落ち込みがひどく(2015年4月〜6月期 サンデー:約39万部、ジャンプ:約240万部、マガジン:約113万部)、2008年以降の減少率でも抜けています(2008年4月〜6月期 サンデー:約87万部、ジャンプ:約279万部、マガジン:約176万部)。

2008年には作家とのトラブルが表面化して報じられたこともあり、そのことも苦戦に繋がっていたのかもしれません。新編集長は、新人作家の育成に力を注ぐと共に中堅・ベテラン作家の力をバランスよく取り入れるといった方針のようです。今後それがどのように誌面に現れてくるのか楽しみです。

インターネットの登場以降、ネットの高速化、携帯ゲーム機やスマホの登場、SNSの隆盛などに促進された娯楽の多様化により、「コンテンツによる利用者の時間の奪い合い」が苛烈となっています。

日本の特徴的なコンテンツの1つであるマンガ(市場もコンテンツも)がどのように変わっていくのか、大変に興味深いものがあります。

■最後に
8月いっぱい夏休みの小中学校も多いと思いますが、夏休みの宿題がそろそろ追い込みでしょう。学研グループでは自由研究関連本の電子書籍10タイトルが、期間限定で半額だそうです。

・【期間限定半額SALE】自由研究関連本、10タイトル半額キャンペーン開始!!

色々なキャンペーンで電子書籍が安売りされるのを見てきましたが、価格が変えられるということで活発にキャンペーンが行われるものだな、と感心します。

殊に半額ぐらいになると、かなりの訴求力を感じます。

「価格が変えられる」

大きいですね。これ。

以下告知です。

トレーニングスクール ロクナナワークショップにて、電子書籍関連のハンズオン講座を行います。ロクナナの講座は少人数制でしっかり深く理解できます。

■「Amazon:Kindleストア用写真集講座」
日時:2015年09月01日(火)11:00~18:00
料金:29,800円(税込み)
会場:東京原宿(ロクナナワークショップ)

■「Amazon:Kindleストア用電子出版講座」
日時:2015年10月15日(木)11:00~18:00
料金:29,800円(税込み)
会場:東京原宿(ロクナナワークショップ)

■「Apple:iBooksストア用電子出版講座」
日時:2015年10月30日(金)11:00~18:00
料金:29,800円(税込み)
会場:東京原宿(ロクナナワークショップ)

講座内容のご確認などはロクナナワークショップお問い合わせフォームよりお送りください。

■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi

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