ウクライナ紛争の背景 ロシアは何を欲しているのか【ビジネス塾】
ITライフハック / 2014年3月7日 0時0分
ここ数日間の株式および外国為替市場は、ウクライナ情勢をめぐって神経質な動きになっている。
ソチ・オリンピックの閉会を待っていたかのように、ウクライナではヤヌコビッチ大統領が解任され、新政権が発足した。だが、これを認めない親ロシア系勢力はクリミアを拠点に抵抗、ロシアはこれを支援する名目で、事実上の軍事介入に踏み切った。
なぜ、ロシアは強硬な態度に出たのだろうか。日本への影響はどうだろうか。
■黒海権益をめぐる争い
ウクライナは人口の約2割をロシア系が占め、とくに東南部に多い。同国は、冷戦崩壊後に旧ソ連から独立したが、外交を「欧州より」にして北大西洋条約機構(NATO)などに加盟するか、旧ソ連時代のロシアとの関係を重視するかで、激しい政治闘争が行われてきた。欧州諸国もロシアも、ウクライナを自陣営に取り込もうと争ってきた。
昨年11月、ヤヌコビッチ大統領が欧州連合(EU)との政治・貿易協定の調印を延期して「ロシアより」の態度を鮮明にすると、これに反発する住民が抗議行動を起こした。大統領はこれに血なまぐさい弾圧を行ったため、ウクライナは騒乱状態となった。欧州諸国の「調停」もあったのだが、結局、冒頭に書いたように大統領は議会に解任されてロシアに亡命することになった。
ウクライナは、欧州とロシアの中間に位置し、黒海にも面している。黒海はロシアにとって重要な内海である。ロシアにとって大きな港、軍港は、首都のサンクトペテルブルク、極東のウラジオストク、さらに黒海である。黒海は、中東やアフリカ、地中海方面への重要な拠点で、ロシアの輸出入の約半分がここを経由している。このような地政学的、戦略的必要性から、ロシアはウクライナ、とくにクリミアが「欧州より」の勢力に支配されることを恐れたのである。
ちなみに、2008年のグルジア紛争(ロシアがグルジアに軍事介入した)の舞台の一つでもあるグルジア西端の「アブハジア自治共和国」(ロシアは独立国として承認している)も黒海に面している要衝である。そのすぐ北西にあるのは、オリンピックが行われたソチだ。
ウクライナは旧ソ連時代に核開発の中心地だったこともあり、各国がほしがるような、優秀な核研究家が多数いるともいわれている。
以上のような事情が、欧州とロシアによる「陣取り合戦」の場になっていることの背景で、ロシアが強硬な態度を取っていること理由といえそうだ。
■対応に苦慮する安倍首相
米国が制裁を含む対応策を検討し、欧州諸国もニュアンスは異なりながらも同調する動きの中、安倍政権の対応はなかなか微妙だ。
安倍政権は誕生以来、プーチン大統領と5回も首脳会談を行うなど、「蜜月」を演出してきた。同盟国でもないのに、外務・防衛担当大臣の会合(2+2)も行っている。中国、韓国の首脳と一度も首脳会談ができていないことと比べると、この熱心さは際立っている。その狙いは、首脳同士の関係強化で北方領土問題の解決に道筋をつけることと、中国に対するけん制である。
だが、ここで日本が「対ロシア制裁網」に加わらなければ、最大の同盟国である米国との関係が悪化する。かといって加われば、ロシアは態度を硬化させて領土問題の解決は遠のく(ロシアが北方領土を返還する意思があるとは思えないが)。安倍政権はこのジレンマをどう解決するだろうか。
もっとも、米欧はさほど強硬な措置は打ち出せないと予想する。その理由は、改めて記したい。
(編集部)
※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。
■電子書籍好評発売中(AmazonよりKindle版)
あのファーストリテイリング(ユニクロ)を真っ先に推奨したこ
とで知られる“銘柄発掘のカリスマ”小沼正則の投資・ビジネ
ス塾が電子書籍になりました。第一弾は、最新情報と投資へ
のノウハウを読みやすくまとめ、初心者にもわかりやすくな
っています。スマホやタブレットでいつでも手軽に読めます。
まもなく第二弾、第三弾が登場しますのでご期待ください。
■ITライフハック
■ITライフハック Twitter
■ITライフハック Facebook
■ビジネス塾に関連した記事を読む
・電子部品の雄、村田製作所に注目 注目銘柄を斬る
・「波乱なし」のG20 底流にはより大きなリスク?
・発注者とゼネコンの立場が逆転!収益改善目立つ中堅建設 注目銘柄を斬る
・週末のG20に注目!米「出口」に対する新興国の反応は?
・構造改革で復活?NEC&富士通に注目 注目銘柄を斬る
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ロシアのビザを取得して北方領土の国後島へ行った男性を直撃 渡航自粛の中、いったいなぜ?
HTB北海道ニュース / 2024年11月19日 16時47分
-
独ロ首脳が電話会談、西側の孤立政策に終止符 ウクライナは反発
ロイター / 2024年11月16日 5時11分
-
トランプは威信を懸けてウクライナを停戦させる 「威信」こそがアメリカファーストの根幹だ
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 15時0分
-
アングル:「トランプ外交」再び、戦火の世界が向かうのは混乱か緩和か
ロイター / 2024年11月7日 17時21分
-
ロシアがジョージアで勝利、モルドバも同様に=ウクライナ大統領
ロイター / 2024年10月31日 12時43分
ランキング
-
1「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
ねとらぼ / 2024年11月22日 17時40分
-
2『シャニマス』に武藤遊戯?混乱の声 ショップ「武闘遊戯」見間違い続出でトレンド入り「脳がバグった」
ORICON NEWS / 2024年11月22日 18時32分
-
3旅先での1枚が「Windows10すぎる」と300万表示! 分かる人には分かる“完全一致”に「共感しまくりです!」「マジじゃん」
ねとらぼ / 2024年11月22日 20時30分
-
4自分のスマホが犯罪インフラに? 知らぬ間にSMS大量送信、日本サイバー犯罪センターが警鐘
おたくま経済新聞 / 2024年11月22日 15時0分
-
5イオシス、“あのスマホ”大量入荷 「待ってたぜェ、この瞬間をよォ!!」
ASCII.jp / 2024年11月22日 15時5分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください