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ダイブ 増田勇人氏に聞く、集客が困難な非観光地を活性化できた理由

ITライフハック / 2024年2月5日 19時0分

ダイブ 増田勇人氏に聞く、集客が困難な非観光地を活性化できた理由


総務省統計局による調査結果によれば、我が国の総人口は2011年以降、12年連続で減少している。観光地化されていない地域(非観光地)では、人手不足に悩むところが多いのが現状だ。このような背景のもと、株式会社ダイブは2002年から観光施設に特化した人材サービス(リゾートバイト)を基幹事業としており、最近は人材派遣のみならず、集客が困難な非観光地の活性化にも力を入れている。具体的にどのような取り組みをしているのか。同社 地方創生事業グループゼネラルマネージャー、増田勇人氏に話をうかがった。

■非観光地を活性化させたい
株式会社ダイブは、「一生ものの『あの日』を創り出す」をミッションに掲げ、日本経済の成長エンジンである「観光」の大きな課題解決に取り組んでいる。観光施設に特化した人材サービス(リゾートバイト)を基幹事業とし、地方の観光施設が抱える「人手不足」の解決に貢献している。実績として、年間7,845人の観光従事者の創出を果たし、日本人と外国人の人材をあわせて、全国47都道府県、4,600施設以上の観光施設と人材取引を実現した。

また、新規事業として地方創生事業にも取り組み、全国6箇所の非観光地(過疎地・消滅可能性都市を含む)でD2Cの観光事業を展開し、収益の創出、外貨の獲得だけでなく、地域事業者と連携した持続可能な地域づくりを推進している。

インタビューに応じていただいた増田氏は現在36歳。新卒でiモードのデコメ会社に入社した後、ソーシャルゲーム会社に転職し、女性向けゲームのディレクターやプランナーとして経験を積んだ。子どもの頃からの夢だった脚本家としても活動していたが、脚本家のみでの生計が困難であると判断。自分が楽しいと思っていた旅行や観光を仕事にしたいとの想いから株式会社ダイブへ転職する。初めはウェブディレクションを担当していたが、新規事業コンテストで地方創生事業を提案し、見事に採択された。現在は同事業の4年目で、昨年7月からは人材マーケティングやブランディングも手がけている。

Dive_006株式会社ダイブ 地方創生事業グループ ゼネラルマネージャー 増田勇人氏

増田氏は現在、非観光地を活性化させるための事業をいくつか展開している。
具体的には、グランピング施設の運営であり、自然を利用したアウトドアを実施できるホテルを準備中だ。さらにグランピング / コテージ / 貸別荘の検索・比較サイト『GLAMPICKS』の企画や運用、アウトドア宿泊施設の予約システムを開発中だ。

また同社は『ザランタン』というブランドのグランピング施設を運営している。
「特長としては、1.5万円ぐらいの手が届きやすい価格帯で、自然あふれる場所でも水まわりもしっかりしています。子どもでも女性でも安全で安心な時間を過ごせます。この場所をウェブメディアでお伝えしています。」(増田氏)

Dive_005グランピング / コテージ / 貸別荘の検索・比較サイト『GLAMPICKS』
Dive_003
Dive_004

『ザランタン』では、大きく3つのことに注力している。

1. 価格
すでにある施設、たとえば地方自治体の使用されていない公共施設を利用して開発費を削減し、宿泊費を安価に抑えている。豊かな自然や温泉がある場所もあり、足りないところをプラスアルファするかたちで、魅力ある施設に仕上げている。

2. 体験
リラックスだけだと、ホテルや温泉旅館に勝てない。グランピングに来る人は癒やしだけでなく、ワクワク感。とくにアクティブな要素も期待している。とはいえ、キャンプのような手間の掛かるアクティブな要素は求めていない。そこで煩わしいことのない適度な体験をできる施設に仕上げている。

3. 地域性
その土地ならではの体験を重視している。具体的には、その土地の文化、食事を楽しめたり、アクティブもそこでしか体験できないものにこだわっている。

「体験もホスタビリティが大事だと考えています。SUPサーフィン(パドルサーフィン)であれば、ただ用意するだけでなく、『自由に遊べるように教えてから、まかせる』というアプローチまでデザインするのが大事だと考えています。」(増田氏)


Dive_001「ザランタン鹿沼」のサウナでは、星空に囲まれながら、夜風でととのえる
Dive_002「ザランタン鹿沼」の星空

■『GLAMPICKS』が国内トップクラスの情報サイトになれた理由
『GLAMPICKS』は、グランピングに特化した情報サイトとして、2019年7月30日に運営を開始した。新型コロナウイルスによりアウトドア宿泊施設への需要が急増する中、GLAMPICKSの利用UU数も増加。2020年には50万人、2021年には343万人と順調に利用者を伸ばし、2022年には年間利用者数449万人、2023年10月31日には施設掲載数472施設と、アウトドア宿泊施設情報が国内トップクラス(※)で充実しているWEBメディアへと成長した。2023年12月、グランピング / コテージ / 貸別荘の検索・比較サイトへとリニューアルした。※2023年11月30日 同社調査

なぜ、国内トップクラスのサイトになれたのだろうか?

「ひと言でいえば、大手の情報サイトで、できないことをやったからだと思います。」(増田氏)

もともとグランピング施設の情報サイトを運営する予定はなかった。他社のグランピング施設の情報サイトを利用したところ、目的の施設を検索するのが困難だった。調べてみると、手数料が多い施設を優先して紹介していることがわかった。

「良い施設なのに公式サイトにしか情報がない施設も多いです。売上規模がそれほど大きくない施設では、大手サイトに掲載するコストの負担が大きいです。また地域から施設を絞るサイトでは、地域を外れていると、そもそも検索がされません。」(増田氏)

グランピング施設の大半は非観光地にある。安価な平地でなければ、多くの宿泊施設を提供できないからだ。『手数料がとられ、あまり人が来ない』『自社で予約が埋まる』という状況であれば、大手の情報サイトに掲載する必要性がなくなる。必然的に良い場所であるにもかかわらず、『知る人ぞ知るグランピング施設』となってしまう。

「『GLAMPICKS』が最初にやったことは、忖度なく良い施設について情報を充実させて無料で掲載しました。ランキングも忖度なく本当に良い施設を上から並べていきました。当時、ドメインパワーのない状況でスタートしましたが、グランピング関連ワードでは徐々にSEO上位に表示されるようになりました。」(増田氏)

Dive_007『GLAMPICKS』開設当時を振り返る、増田氏

最後に今後の展開についてうかがった。

「現在、オフサイトミーティング(法人合宿)に特化したウェブメディアのアップデートを準備しています。都会の役員クラスが1泊2日ぐらいでオフサイトミーティングできる場所を検索するサイトです。会社の中長期計画を会議室でなく、少し離れた場所で会議して、そのあとはBBQ等で交流して、次の日に会議して帰るというものです。」(増田氏)

増田氏によれば、ホテルや旅館が検索できても、そこに適切な会議室があるのかどうかはわからない。Wi-Fi、コンセント、延長コード、ディスプレイ、ホワイトボード、会議室が個室で分かれているか等、必要な物も網羅的にまとまっているメディアがないことから、そこら辺の情報をまずはまとめたいという。

ゆくゆくは自社でオフサイトミーティングに特化した施設を運営する計画とのこと。ユーザーファーストの同社であるだけに、今後のアップデートが楽しみでならない。

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