Synology「DS216se」レビュー第5回:スマホやタブレット以外との連携
ITライフハック / 2016年1月28日 10時0分
前回のSynology「DS216se」レビュー第4回:iPhoneなどのスマホと連携してNASを活用しようまでで、NASのセットアップからスマートフォンとの連携までを解説してきた。
NASとは本来パソコンと連携するために登場してきたものである。昨今のスマホ&タブレットの普及によって、こうしたモバイル系端末との連携機能が強化されてきたのだ。NASをとことん活用するためにはスマホやタブレットだけでなく、パソコンとも連携させることでNASの持つメリットを最大限引き出すことができるというわけだ。
たとえばWindowsタブレット、Chromebook、ubuntuなどのLinux搭載ノートなどは、ストレージにeMMCや容量の少ないSSDが搭載されていて、しばらく使っているとメインのストレージがあっという間に容量不足に陥ってしまう。ノートパソコンもモバイル系の高性能ノートでは256GBといったある程度の容量でなおかつ高速なSSDが搭載されているが、それでも使い続けて行くと、いつかは容量不足に陥ってしまう。そこで大容量データをNASに置いておくことで、容量不足を補うことができる。
さらにデスクトップパソコンの場合、1GbpsのギガビットLAN環境でNASを接続すれば、外付けのHDDと同じ感覚でNASを利用することができる。パソコンのケースを開けてHDDを増設するような手間をかけずにHDDを増設したのと同じような効果が得られるのだ。また、省スペースデスクトップや液晶一体型パソコンのようにHDDを内部に増設できないようなケースでもNASと連携させることでその使い勝手は大幅に向上する。ということで、NASとパソコンとの連携について紹介しよう。
■パソコンの外部フォルダとしてNASを利用する
スマホとは違い、パソコンの場合は家庭内ネットワークで直接NASと繋げることができるのが最大のメリットだ。また無線LAN環境でも最新の無線LAN環境IEEE802.11acで接続することができる。最新の無線LANであるIEEE802.11acは理論上6.93Gbpsとギガビット環境よりも高速なのだ。スマホでは一部の端末以外最新の無線LANには対応していない。パソコンであれば、アクセスポイント(親機)とアダプタ(子機)を変えるだけで最新の無線LAN環境で通信できる。4G回線でインターネットを使ってバックアップするのとは異なり、スピードも猛烈に速い。
PCではNASと同じネットワークに接続できていれば、特に何もする必要がなく、簡単にネットワーク上のNASを見付けることができる。そのままNASのドライブを直接参照することができる。
エクスプローラーを開いたら「ネットワーク」を参照すると、いま家庭内ネットワークに繋がっているコンピューターの一覧が表示されるはずだ。ここの「コンピューター」内にある「DS216SE」というアイコンがNASだ。そのアイコンをダブルクリックすると、NASのフォルダを直接参照することができる。なお、「その他のデバイス」にもDS216SEが見えているが、それについては後述。
たとえばパソコンのログインIDとパスワードを、NASのログインID、パスワードと一緒にしている場合、すぐにフォルダが見える。そうでない場合はIDとパスワードを要求される画面が表示されるので、そこでNASのユーザーID、パスワードを入力すればよい。ログインしてしまえば、あとはフォルダ内のデータへアクセスできる。
ここで表示されるフォルダは、NAS上に作られているフォルダを意味している。それぞれのフォルダをダブルクリックすれば、フォルダ内のファイルが表示されるというわけだ。フォルダを増やしたい場合は、DS216seのDiskStationを立ち上げて、「File Station」から「作成」を選べば追加することができる。
注意点としては、ログインしたIDに対してNAS側で許可されている処理しかできないということ(通常、そのIDに割り当てられたフォルダの読み書きはできる)。他人に割り当てたフォルダは見えないので家族のパソコンごとにフォルダを割り当てておけば、自分のフォルダ内のデータを他人にのぞかれることはないので安心だ。
■パソコンのバックアップとしてNASを活用する
ネットワーク上のフォルダとしてNASを使うだけでなく、せっかく大容量のドライブがあるのだから、大事なフォルダをバックアップするためにNASを活用する方法もある。SynologyのNASには「Cloud Station」という機能があり、パソコン上の指定したフォルダを自動的に同期させることで、大事なファイルをバックアップすることができる。デスクトップパソコンのHDDに不具合が発生してデータが消失してしまってもNAS上のフォルダからデータを戻すことができるというわけだ。
なお、DS216seにはCloud Stationがインストールされていない。これは「パッケージ センター」からダウンロードしてインストールするだけですぐに使えるようになる。インストールしたらにメインメニューから「Cloud Station」を起動して、パソコン側にクライアントソフトウェアをインストールする。あとは同期させたいフォルダを選んで設定しておけば、そこにあるフォルダは自動的にNAS側へも保存されるようになる。
■Windowsシステムのバックアップ先としてNASを活用する
NASへのバックアップはデータのバックアップだけでなくWindowsシステムのバックアップを行うこともできる。具体的にはWindowsの「ファイルのバックアップまたは復元」に用意されているシステムのバックアップ先としてNASを設定することも可能なのだ。これを使えばシステムファイルを保存できるため、万が一パソコンが壊れたときには、ここから復元して元の環境へすぐに戻すことができる。パソコンがクラッシュしてしまいシステムを再インストールしたといったケースでも、ここからシステムを復元することで、元の環境に戻すことができる。
この機能を使うためには、パソコンのコントロールパネルにある「バックアップの設定」画面で「ネットワークに保存」を選び、NASのフォルダを指定すればOKだ。
■NASを便利に活用するする方法はまだまだたくさんある
これまで紹介してきたように、スマホやタブレットで写真や音楽データ、ムービーデータを保存するといったことだけでなく、パソコンのデータの保存先として、また万が一パソコンが壊れた場合の対策としてもNASが十分に活用できるのはお分かりいただけたと思う。こうしたことは実はNASの機能のほんの一部でしかない。高度な活用方法として、たとえばNASをWebサーバーにしてホームページを開設することもできるし、メールサーバーにすれば独自のメールアドレスを使ってメールのやり取りをすることもできる。ただし、こうした高度な活用方法は、NASをとことん使い倒してNAS上級者になる必要がある。
クラウドサービスが乱立し始めた時期は、誰でも無制限にストレージが使えるという触れ込みでユーザーを集めていたこともあったが、GoogleドライブやOneDriveといった大手クラウドストレージも無料で利用できる容量は限定されるようになってきた。最近サービスを開始したAmazonフォトも、Prime会員(3,900円/年)であれば無制限と、一定金額を支払うことで、特定の期間は無制限で使えるなど、永久無料で無制限に大容量ストレージが利用できるサービスは、ほとんど存在しなくなってしまった。
NASは、導入費用はかかるが導入しつぃまえば以降に発生する費用はNAS内のHDD増設程度だ。月額や年額などで一定金額をサービス提供者に支払い続ける必要はない。今回取り上げたSynologyの「DS216se」では2ドライブしか搭載できないが、同社のNAS製品の中には4ドライブまで搭載できるものもあるなど、最大で数Tバイト程度から数十Tバイトの容量まで増やすことも可能だ。
ただ、それにはNASの上級者を目指す必要がある。まずはDS216seなどのように入門用のNASを使いこなしてみてから、自分の用途に合ったNASへとアップグレードしていくことをオススメしたい。
■DS216se製品情報
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