【無料】高品質でリアルな画像を生み出せる!AI画像生成ツール「PicLumen」レビュー
ITライフハック / 2024年9月24日 20時30分
昨今のAI画像生成ツールの進化には、目を見張るものがある。同ツールを使用すれば、テキストから瞬時にアートや写真風のビジュアルを生成することができる。今まで一部のアーティストやデザイナーでしか実現不可能だった品質でリアルな画像を生成して、SNSやホームページ、プレゼン資料など、あらゆるシーンで利用可能だ。
ひとつ問題があるとすれば、高品質なツールを制限なしで使うためには、課金する必要があることだ。そこで今回は数あるAI画像生成ツールの中から高品質でリアルな画像を生み出せる、無料のAI画像生成ツール「PicLumen」を紹介しよう。
■画像生成AIサービス「PicLumen」とは?
「PicLumen」とは、中国のCHENGDU Yile Tech Co., Ltd.が開発した、無料の画像生成AIサービスだ。GoogleアカウントやEメールアドレスでサインアップすれば、すぐに利用を開始することができる。
サインアップ/サインインの画面
現実のような映像、アニメ、水彩画や油絵、線画など、さまざまなスタイルの画像を生成できる。生成したい画像の説明文(プロンプト)を入力するだけで、希望の画像が簡単に生成される。プロンプトの入力は英語だが、日本語で入力したプロンプトをワンクリックで英訳する機能があるため、英語が苦手な人でも戸惑うことなく利用することができる。
画像生成AIサービスとしては、現在、Midjourney、Stable Diffusion、DALL·E 3などが有名だ。それぞれがかなりレベルの高い画像を生成できるが、有料プランに加入していないと、快適に利用することができない。無料のサービスもいくつかあるが、これらの有名なサービスに比べると、生成される画像のクオリティが、やや見劣りするのも事実だ。
ここで紹介するPicLumenは、無料でありながらハイクオリティな画像を生成することができる点で、他社の無料のサービスに比べて優れている。
■無料でも有料サービスに匹敵するクオリティ
PicLumenは独自の画像生成AIモデル3つと、最近、高画質で注目を集めている「FLUX.1-schnell」の計モデルを、目的に合わせてモデルを選択することができる。
早速、PicLumenを体験してみよう。
ログイン後、サイドメニューに表示される地球儀マークをクリックして、メニューの使用言語を日本語に切り換える。サイドメニューの上方、「作成」タブを選択すると画像生成の画面に切り替わる。
「作成」の画面
画面の上部に「何を描きたいですか?」と書かれた入力欄があるので、プロンプトを入力しよう。プロンプトは英語で書くのが本来望ましいが、英語が苦手な人は日本語で入力して翻訳機能で英語に変換することもできる。
最上段には、画像生成に使うモデル、縦横比、一度に生成する枚数を指定するメニューやボタンが並んでいる。まずは画像生成に使うモデルはオリジナルの「PicLumen Realistic V2」、縦横比は1:1、枚数は1枚のままで、画像を生成してみよう。
「ひまわり、ゴッホの画風」とプロンプトを入力し、翻訳ボタンを押してみた。すると、プロンプトが「Sunflower, Van Gogh style.」と書きかわる。続けて「生成」のボタンを押すと、画像が生成される。ゴッホ風の「ひまわりの絵」が画面に表示された。
ゴッホ風の「ひまわりの絵」
■今話題の「FLUX.1-schnell」も利用できる
次に、今話題の「FLUX.1-schnell」モデルで画像を生成してみよう。
「FLUX.1」とは、Black Forest Labsが開発した最新の画像生成AIモデルで、性能や用途の異なる3種類のモデルPro、Dev、Schnellが提供されている。最上位モデルのProは主に企業向けであり、生成画質はMidjourneyの性能を超えたとも言われている。
本サービスで利用できる「Schnell」はFLUX.1の最下位モデルだが、画質が上位モデルと比べて少し見劣りするものの、画像生成が上位モデルよりも高速だ。個人での利用であれば、十分なクオリティと言える。
「FLUX.1-schnell」に切り替えた後、プロンプトを入力して「生成」のボタンを押そう。今回は、下記のプロンプトを入力した。
プロンプト: professional photo of a majestic white horse with a flowing golden mane, galloping freely across the desert under an orange sunset sky.
縦横比: 19:6
ここでは、画像を比較するため、PicLumen Realistic V2、Midjourney V6.1でも、同じプロンプトを入力して、画像を生成してみた。
FLUX.1-schnellで生成
PicLumen Realistic V2で生成
Midjourney V6.1で生成
3枚ともかなりの出来栄えで、白馬が生き生きとした迫力で描かれた素晴らしい絵だ。プロンプトをチューニングすれば、3つのモデルの差が、よりはっきりしてくるだろう。
なお、PicLumenに搭載された「FLUX.1-schnell」は、後述する画像の一部を描き直す機能(インペイント機能)は利用できない点に注意したい。
■美しい日本人女性の着物姿の生成に挑戦
次は、美しい日本人女性の着物姿を描かせてみよう。
プロンプト: 美しい日本人女性、20代、着物姿
翻訳後: A beautiful Japanese woman in her 20s, wearing a kimono.
FLUX.1-schnellで生成
PicLumen Realistic V2で生成
画像生成モデルの違いにより、雰囲気の異なる絵が生成されたが、それぞれ良さがあり、どちらも魅力的だ。
■インペイント機能で、不自然さを回避
同じプロンプトを入力しても、生成される画像は異なる。今回、「PicLumen Realistic V2」を生成した画像の中で、女性の指が不自然に表現される画像があった。現在のAI画像生成では、とくに指の表現が難しく、他社のサービスでも不自然に生成されることは決して珍しくない。
PicLumenでは、こういったトラブルを解決できるために、インペイント機能がある。早速、同機能により画像を部分的に再生成させてみよう。
インペイント機能を使うには、「作成」タブの作品一覧のページから修正したい絵を選択しよう。拡大表示画面に切り替わるので、画像の右にいくつかアイコンが縦に並んでいる中から「インペイント」を選択してクリックする。
「編集」の画面が開くので、画像の修正したい部分を塗りつぶす。対象より少し広めに塗るのがお薦めだ。塗り終わったら「確認」をクリックすると、部分的な画像の再生成が実行される。
画像の一部を描き直す機能(インベント)
結果、気になっていた指が着物で隠れた絵が新たに生成された。もちろん気に入らなければ何度でもやり直してかまわないが、今回はこれで良しとしよう。
こうして着物美人が完成した。
さらにPicLumenでアニメ風や線画専門のモデルを使用して生成した画像の例をご覧頂こう。プロンプトは、同じだ。
プロンプト: 美しい日本人女性、20代、着物姿
翻訳後: A beautiful Japanese woman in her 20s, wearing a kimono.
「PicLumen Anime V2」で生成
「PicLumen Lineart V1」で生成
■ほかにも便利な機能が充実
PicLumenには、ほかにも便利な機能があるので、ここで紹介しておこう。
ここまで説明したテキストから画像を作る機能(Text to Image)のほかに、画像を参照して画像を作る機能(Image to Image)もある。さらに、画像の一部、髪の色や服の色を入れ替える機能(AI Replace)、画像のキャンパスを拡大し、追加された面積を生成画像で埋める(AI Image Extender)などの機能もある。
これらの機能は「Tutorial」というコーナーでわかりやすく説明されているので、ぜひ試してほしい。
「Tutorial」のコーナー
サインイン直後のページで左に並ぶメニューから「探索」を選択すると、さまざまなユーザが生成した画像作品を多数一覧で見ることができる。
「探索」のページ
この中のどれか作品を選んでクリックすると、画面いっぱいに大きく表示され、画像生成に使用されたプロンプトやパラメータが表示される。プロンプトやパラメータを工夫することで、さらに画像生成の結果はより魅力的なものになる。面白いので、いろいろ研究してみると良いだろう。
なお、PicLumenで生成したAI画像は基本的に商用利用できるが、注意点もある。「よくある質問(FAQ)」に詳細な説明があるので、商用利用する人は確認しておくことをお薦めする。
■無料でも高品質な画像生成ができる「PicLumen」
世の中には、さまざまな種類の生成サービスが存在するが、PicLumenは無料で提供されるAI画像生成サービスなので、興手軽に利用することができる。プロンプトを日本語で入力して翻訳できるうえ、様々なスタイルの生成モデルを選択できるので、他社のサービスに比べて魅力的だ。MidjourneyやStable Diffusionに迫るクオリティなので、今後はさらに人気が高まるだろう。興味を持った人は、ぜひ、この機会に体験してみよう。
テクニカルライター 鈴木 啓一
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