【写真や動画の作例あり】AI機能を搭載!高性能なカメラが魅力の「Google Pixel 9」レビュー
ITライフハック / 2024年10月28日 12時30分
Googleは、AI機能を搭載した「Google Pixel 9」「Google Pixel 9 Pro XL」「Google Pixel 9 Pro」「Google Pixel 9 Pro Fold」を発売した。今回取り上げる「Google Pixel 9」は、Google Pixelシリーズの中でも最もパワフルなチップであるGoogle Tensor G4を搭載している。またGoogle AIにより高性能なカメラ機能や日常生活で役立つ便利機能も充実しており、注目される端末だ。
■Google Pixel 9シリーズが登場
2024年8月に開催されたイベント「Made by Google」で発表されたGoogle Pixelシリーズの新端末は、「Google Pixel 9」「Google Pixel 9 Pro XL」「Google Pixel 9 Pro」「Google Pixel 9 Pro Fold」の4機種だ。「Pixel 9」は、最下位モデルではあるが、直販価格(税込)が128,900円~と、価格的にはフラグシップモデルの分類になるだろう。この4機種の一番の「売り」はAI機能だろう。
ただ、現時点ですべての搭載予定機能が利用できるわけではない。購入後に徐々に使えるようになるはずなので、このあたりはよく把握しておく必要がある。
とにかく、現時点で利用できる機能を中心にレビューし、今後についてはわかる範囲で記述する。
正面
■基本スペックから見ていこう
「Google Pixel 9」は、外形152.8×72×8.5 mm、重さ 198 gと、ほぼ標準的なスマホのサイズ感で、特に画面の角が丸いデザインと、カメラ部分(カメラバー)のデザインが印象的である。
カラーバリエーションは4色、Obsidian(濃いめのグレー系)、Porcelain(白系)、Wintergreen(薄い緑)、Peony(ピンク系)である。今回は、Obsidianをお借りした。
ディスプレイは6.3インチ、1,080 x 2,424ドットの有機ELである。解像度、色再現性ともに優れていて、大変きれいである。最高輝度は2,700nitとかなり明るく、直射日光の下でもある程度の視認性を確保している。
Google Tensor G4プロセッサ、12GB RAM、128/256GB ストレージを搭載し、後述のAI処理が可能な処理能力を持っている。防塵、防水性能はIP68準拠である。
背面
製品パッケージ
パッケージの主な内容
右側面
■通信機能は最高レベル
本端末は5G対応で、nanoSIMスロットに加え、eSIMにも対応している。
SIM用トレイを取り出したところ
無線LANは最新の規格「Wi-Fi 7」対応で、最近普及が本格化している6GHz帯も使える。Bluetooth 5.3、NFC(おサイフケータイ)にも対応している。衛星測位システムについては、GPS、GLONASS、Galileo、Beidou、QZSS、NavICと、主なシステムに対応している。通信機能に関してはほぼ満点と言って良いだろう。
■バッテリーライフと充電機能
本端末は4,700mAhの大容量バッテリーを搭載している。
早速、Youtubeの連続動画再生を行ってみたところ、約26時間再生が可能だった。なかなかの実力である。
バッテリーテストの結果。約26時間Youtubeで連続動画再生できた
本端末はUSB Type-Cポートから、もしくはQi規格のワイヤレス充電器で充電できる。USBからの充電時間を実際に計測した。約60分で空の状態から90%まで充電できた。実測で10~20Wの急速充電だった。
充電時間を計測した結果。0-90% 約60分だった
※充電には手持ちのPD対応のUSB ACアダプタを使い、バッテリー残量のグラフ化にはアプリ「シンプルバッテリーグラフ」を使用した。
■カメラ性能
本端末のメインカメラは2眼で、50メガピクセル(広角)と48メガピクセル(超広角)の組み合わせ、そしてフロントカメラは10メガピクセルである。
実際に撮影した写真とビデオをご覧頂こう。
広角
標準
ズーム2倍
【動画】
AI機能を搭載!高性能なカメラが魅力の「Google Pixel 9」レビュー 動画作例
YouTube:https://youtu.be/St5W6hdxexk
ご覧頂いたとおり、十分にきれいな写真やビデオを撮影できた。解像感、色再現性など普段使いには十分と言えそうだ。
■AIを活用した先進機能
本端末を含むPixel 9シリーズが発表されたイベント「Made by Google」では、生成AIのGeminiに関する発表が相次いだ。このとき発表になったAI機能のすべてがまだ使えるわけではないが、本端末ではその一部が他社に先駆けて使えるのが魅力である。
それぞれの機能を簡単に紹介しておこう
〇かこって検索
画面上に表示されているものを指でかこってGoogle検索ができる機能である。他社の一部のスマホでも搭載が始まっている。当然本端末でも使えて便利である。
ブラウザで見つけたこの製品、気になるので検索しようとしているところ。まず画面の下、ホームボタンを長押しし、画面全体がやや白く変わったところで対象物を指で囲むか印をつける。
するとGoogleの画像検索画面が立ち上がり、インターネット上から検索した結果が表示される。
〇編集マジック
CMでおなじみのAI機能である。Googleフォトの機能で、写真の一部を選択して消したり、移動したり、大きさを変えたりできる。他社の一部のスマホでも搭載が始まっている。
編集前:コンテナやフォークリフトが映り込んでいるので消してしまいたい。
編集マジックで消したいものを指でなぞって選択したところ。
編集マジックで消した結果。
〇イマジネーション
同じくGoogleフォトのAI機能で、画像の一部を編集し、新しい画像を追加もしくは修正できる。
編集前:手前の手すりを消して芝生の公園にしたい。
操作中の画面。手すりの部分を選択して、プロンプトとして「Green field」と入力した。
修正した結果。生成された4つの候補の中からこれが一番気に入ったので採用した。
プロンプトは現在英語しか使えないようである。また、現状は人物を生成するのは難しく、この例のような風景なら良いようだ。
〇一緒に写る
カメラアプリの機能で、集合写真の撮影時に、写っていないはずの撮影者をあとからAIを使って合成できる。フィルムカメラでいうと2重露光の機能で、AIを使って実現している。「Made by Google」で発表されたAI機能には他に「Pixel Studio」、「Call Notes」、「Pixel Screenshots」などがあるが、現時点では利用できない。搭載時期は未定であるが、簡単に紹介しておこう。
〇Pixel Studio
テキストで所望する画像のイメージを入力するとAIが画像生成するアプリ。
〇Call Notes
電話の内容をテキストで記録。要約もできる機能
〇Pixel Screenshots
保存したスクリーンショットをさまざまに簡単に呼び出せる。記憶の補助として便利なツール。
これらの新しいAIツールはスマホ内部に存在する小さなAI「Gemini Nano」を使った仕組みとのこと。これにより、プライベートな情報や秘密の情報をクラウドに送る必要がなく、スマホ内部で処理を完結させるため、プライバシーやセキュリティに配慮されたものになるようだ。
提供時期が明らかでなく、情報も少ないが、Pixel 9シリーズではシステムやアプリのアップデートにより使えるようになるはずなので、楽しみである。
〇Gemini LiveほかGeminiアプリの新機能
本端末でも、AIチャットアプリ「Gemini」が利用可能だ。人間に近いとても自然な会話能力を持つ話題の最新機能「Gemini Live」も言語を英語に切り換えることで既に利用できるようになっていることが確認できた。
Gemini Live(英語)の画面
本稿執筆時点では残念ながらGemini Liveは日本語では利用できなかったが、近いうちにGeminiアプリがアップデートされ、Gemini Liveの日本語対応に加え、個人なカウントでGmailやGoogle Drive、Googleカレンダーなどと連携できるようになると思われる。楽しみである。
なお、その際には有料のGemini Advancedの契約が必要になる場合もあるので注意が必要だ。
■ハイレゾ・ワイヤレスイヤホンの対応を調査
筆者は最近ハイレゾ対応のワイヤレスイヤホンに凝っており、好きな音楽を良い音で楽しんでいる。
ハイレゾとはCDを超える高音質のデジタルオーディオのことをいう。本端末でハイレゾが楽しめるか気になっていたのでさっそく試してみた。ワイヤレスイヤホンはBluetoothで接続するが、そのときに音声データを圧縮して送る技術がコーデック(もしくはBluetoothコーデック)だ。コーデックの中で高音質対応のものはハイレゾコーデックと呼ばれており、「LDAC」と「aptX Adaptive」が代表的である。
「Bluetooth Codec Changer」というアプリで調べたところ、本端末は、Opus、LDAC、aptX HD、aptX、AAC、SBCの6種類のコーデックに対応していると確認できた。ハイレゾコーデックに注目すると、本端末は「LDAC」には対応しているが「aptX Adaptive」には残念ながら対応していない。
本端末に筆者の手持ちのワイヤレスイヤホン Nuarl Next1(LDAC対応)を接続したら、無事、ハイレゾで音楽を楽しむことができた。音楽の楽器ひとつひとつが解像度高く、高域から低域まで自然な音で広がり感がある。自然な音なので長く聴いていても疲れない。まさしくハイレゾの音だ。
試しに本端末にもう1台のワイヤレスイヤホンDenon PerL Proをつないだところ、このイヤホンは本来「aptX Adaptive」対応のところ、ランクを落として本端末が対応している「aptX」で接続できた。コーデックのランクは落ちたものの、ヘッドフォン自身の地力もあり、十分良い音で音楽を聴くことができた。aptXも悪くない。
ハイレゾの音楽音源は、たとえばAppleMusicやAmazon Musicで楽しむことができる。ハイレゾコーデックについて詳しくはこの記事でわかりやすく説明したので参照してほしい。
ハイレゾ対応で音質抜群!スマート充電ケースも魅力の「JBL LIVE BEAM 3」レビュー
URL:https://itlifehack.jp/archives/10780483.html
Apple Musicでハイレゾ音源のChicagoの新譜を聴いているところ
ワイヤレスイヤホン Nuarl Next1(右)、Denon PerL Pro(左)
Bluetooth Codec Changerの画面 ワイヤレスイヤホン Nuarl Next1を接続。LDACを確認。
接続先(イヤホン)とスマホの両方の対応コーデックが確認できる。
「aptX Adaptive」ワイヤレスイヤホンDenon PerL Proを接続。aptXでの接続を確認。
接続先(イヤホン)とスマホの両方の対応コーデックが確認できる。ただし、スマホが対応していないのでイヤホン側の「aptX Adaptive」は表示されていない。
■魅力的な製品に仕上がった「Google Pixel 9」
本端末は、Google Pixel 9シリーズの中で最も買い求めやすい価格ではあるが、それでも10万円をかなり超える。スマホ全体では高価格帯と言って良いだろう。カメラを始め、基本端末能/性能も充実しており、魅力的な製品に仕上がっているのが確認できた。ただ、メインカメラについては2眼であり、より望遠が必要な場合は上位機種のPixel 9 Pro等を選択するのも良いだろう。
本端末の目玉機能であるAIだが、残念ながらまだまだ本来の実力の半分以下しか利用できていない。今後のリリースに期待をする形である。AI関連では各社がしのぎを削って開発を進めており、新機能の発表を急ぐためか、実際に使えるようになるまでに何ヶ月もかかることが当たり前のようになってきた。ライバルより少しでも早く印象づけたいという競争になっているせいだろうか。また、この待ち時間を長く感じる理由のひとつに、最初の段階では英語圏でしか使えない機能がとても多いことがある。
逆に言えば本端末は購入してからも機能が大幅に進化する、そんな楽しみもある。ユーザとしてはこうした点も考慮しつつ賢い買い物をしたいものである。
テクニカルライター 鈴木 啓一
■「Google Pixel 9」詳細情報
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