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「GeForce GTX 1080は単に半導体の性能が上がっただけではない」ジャスティン・ウォーカー氏インタビュー

ITライフハック / 2016年6月6日 10時0分

「GeForce GTX 1080は単に半導体の性能が上がっただけではない」ジャスティン・ウォーカー氏インタビュー

先日発売されたばかりの「GeForce GTX 1080」。これまでよりも高速な処理ができるようになっただけでなく、VRにもフォーカスを当てている製品であるのが特徴だ。このGeForce GTX 1080について、NVIDIAでGeForce製品を担当するジャスティン・ウォーカー氏に話を聞いた。


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GeForce GTXには4つの違いがあります。新しいPascalアーキテクチャには重要な投資を行いました。20億ドルの資金と1万人以上の技術者を投入しました。3Dトランジスタによってもたらされた16ナノメートルの製造プロセスは、スピードも速く効率的な動作を実現しました。

16ナノメートルの技術に加えて、周波数も1.7GHzにまで引き上げられました。そして2.0GHzまでオーバークロックが可能です。スピードと効率的なパワーをもたらすことに技術者たちは力を入れました。

同時に新しいメモリテクノロジーであるGDDR5Xを導入しました。GeForce GTX 1080と同時に開発をしてきたものです。さらにメモリ圧縮を取り入れたことで、実行メモリ帯域幅がこれまでよりも多く利用できるようになりました。より速くなったスピードと、圧縮により効率的になったメモリの活用により、GeForce GTX 980より17%速くなりました。

そして、私たちが「SMP(Simultaneous Multi-Projection:同時マルチプロジェクション)」と呼ぶ新しい技術を開発しました。3Dグラフィックスでは、3D空間にある物体のジオメトリを2Dに投影することになりますが、これまでは1つの視点から1つの方向への投影だったのが、複数の平面に対して投影できるようにして、新しいディスプレイにも対応できるようになりました。

たくさんのアプリでSMPを利用できるようになるのですが、一番いい例はバーチャルリアリティ(VR)です。それには2点あって、まず1つですが、今までは1つの目から見た世界と、もう一つの目から見た世界を作り上げる必要がありました。しかしSMPでは左目と右目の両方で見た世界を作り上げることができるのです。

もう1つの要素ですが、イメージをレンダリングする際により効果が出ます。VRでは、イメージはレンズを通して見ることになります。しかしレンズはイメージをゆがめてしまう。これまでのやり方では、長方形に描いたイメージを、樽状に歪ませて見せていました。しかしこれでは周辺部分の画像データが圧縮されてしまい、十分に利用できない。しかしSMPでは、レンズを通して描くべき形に合わせて平面を配置して描くことができます。これにより、同じイメージを描いたときに50%速く描画できるようになりました。

GeForce GTX 1080とSMPにより、これまでの製品よりもVRでは力を発揮します。ゲームをプレイするときにも、これまでの世代の製品より30%速くなっています。SMPを利用すれば、VRではよりよいブーストパフォーマンスにより、2倍のスピード効果が得られます。電力効率では3倍です。

もう1つSMPの効果をお話ししましょう。例えば3つのディスプレイを利用したとします。普通、3面ディスプレイでゲームをしているときに見えているのは、1枚の平面を3つに分割したイメージです。同じ視点で投影しているだけなので、正確な投影とは言えません。3つの画面を利用するのは、より広くゲーム画面を見るためですよね。SMPでは正面のスクリーンに投影したイメージと、両サイドの画面に投影するイメージを変えることができるので、正確な投影が可能なのです。この調整はユーザー側で可能です。ディスプレイを設定したあとキャリブレーションをかけることができますので。そしてSMPのSDK(開発キット)はゲームデベロッパーに配布していますので、どのメーカーでも利用できます。

新しいPascalにおけるSMPとともに、このほかに「ANSEL」プロジェクトについても公開しました。ANSELはゲーム画面のキャプチャに大きな変革をもたらしました。ゲーム画面のきれいさが増すに従って、これまでよりもさらに美しくアーティスティックなシーンがプレイできるようになっています。しかしこれまでキャプチャをするとしたら、「Prt Screen」機能を使っていましたよね。これは賢いやり方ではありません。なのでANSELを作ったのです。

設定したボタンを押すと画面が止まり、どのアングルからでも見られるようになります。まるで写真家のように、上下に動かしたり、見ている画像を広げてみたりと、視点を変えられるのです。

あとはフィルターも使えます。Instagramのように、アーティスティックなフィルターをかけられるのです。そしてローイメージでの保存も可能なので、Photoshopなどでライティングやカラーを変えたりすることもできます。今見ているスクリーンの32倍のサイズをキャプチャできるほどハイレゾです。一眼レフカメラで撮影したような画像サイズですよね。

最後に、カメラができないことがANSELでは可能です。それは360度の写真を作ることができることです。そしてこれはVRにも使えます。ユーザーとのシェアも可能です。

GeForce GTX 1080は、単に半導体が進化したから性能が向上したわけではありません。重要なのは、異なるタイプのディスプレイにも対応できるSMPの技術が加わったことです。VRについても、これのよい例であることは間違いありませんが。

ちなみにANSELはゲームデベロッパーに非常に好評です。ゲーマーがイメージをシェアすることで、そのゲームが美しいと評判になり、マーケティング上でも効果があると(笑)。

なおVRへの対応ですが、「VR Works」というデベロッパー向けのキットを提供していますが、サンプルをゲームとして仕上げ、それはオープンソースで提供しています。ソースコードもオープンです。ゲームデベロッパーは同じようなことをしたい場合に、どのようにしたらよいのか分からない部分もありましたが、ソースを見てそこから利用してもらって作れるようになるので、よりリアルなVRのゲームを作ることができるでしょう。これらの取り組みはまもなく始まります。

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