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vmwareとWIREDによる「ITを活用した多様な働き方」セミナー開催【デジ通】

ITライフハック / 2014年5月26日 13時0分

vmwareとWIREDによる「ITを活用した多様な働き方」セミナー開催【デジ通】

仮想PC関連のソフトウェアを提供する「vmware」が、「WIRED」とワークライフバランスに関する調査を行った。その調査結果の発表に合わせ東京で「ITを活用した多様な働き方」に関するセミナーを開催した。その様子をお伝えしよう。

■仮想環境なら情報漏えいのリスクが低く社外作業が可能
vmwareのような仮想PC環境を活用することで、かなりセキュアな環境を保ちながら時間や場所に縛られずに仕事ができるようになる。そして日本では若年のビジネスパーソン層を中心にそうした環境を望む声が高いのだが実際は、あまり利用されていないということが調査結果から明らかになった。

日本では在宅ワークやノマドといった多様な働き方に対し、表面上はわかったような顔をしているが、実際はそうした働き方に“偏見”を持っているという人が管理職以上の中高年層に多いためだろう。

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■日本は、いつの間にか仕事を持ち出さない国に・・・そしてブラック化
vmwareはアジア太平洋地域の14カ国で調査を行い「社外で仕事をすることはあるか?」という質問に対して「Yes」と答えた人を見てみると日本は17%だが、タイは52%、中国は53%、ベトナムは60%と日本が最も少ない結果になっている。

また「通勤時に自己所有の端末を使うBYOD(Bring your Own Device)で仕事をするか?」という質問に「Yes」と答えたのは、日本では37%だが、ベトナムは97%、中国は93%、インドは93%となっている。

これだけを見て「日本は遅れている」と考えるのは早計だと筆者は考える。なぜなら90年代の後半、日本人は「仕事を家庭に持ち込み、休日は自分PCで自宅作業」というのがごく当たり前に見られた光景だったからだ。

しかし、2003年のローソン、2004年のYahoo!BBによる顧客情報漏えい、そして2005年における情報漏えい事例の多発によってコンプライアンス意識が向上した結果、無許可端末の社内持ち込み厳禁、外部から社内ネットワークへのアクセス遮断ということが徹底されるようになった。それが理由で「社外で作業したくてもできない」「自己所有の端末で仕事がしたくてもできない」という環境がカッチリと整ってしまった。

ただ、セキュアを維持したまま、社外での作業、BYODによる仕事が可能になった現在、日本は安全に社外での作業ができる環境が整っているにも関わらず、YESマンの優等生タイプが多いため社外での仕事は諸外国に比べて行われなくなってしまったと見るのが正しいと思われる。

正直、ベテラン社員は、勤務時間内に社内作業だけで十分に成果を出せる仕事をするが、新人や一部の若年層は「できるなら仕事を持ち帰って作業したい」「通勤時間にBYODで最低限の準備だけはしておきたい」という声が上がるのは、非常によく理解できる。実際に筆者が新米時代は、そうした作業が推奨されたし、ほとんどの新人が自宅作業を行っていたからだ。

それらが禁止された結果どういうことが起きるかというと「社外で作業できないので、作業完了まで、ひたすら会社に居続けて作業する」という、まさにブラック企業へまっしぐらということになる。

■安全に社外作業が可能になれば生活環境も改善される
自宅でも仕事が可能であれば、会社にいる必要もない。休日に友人たちと遊んでいる最中に緊急の作業が入ったとしても中座して1時間程度端末で処理を行い、残りの時間遊ぶといったことができる。このように働き方に対する意識調査では、日本でも場所や時間に縛られない仕事を望む声が多いのだ。

特に若年層は80%以上がそうした柔軟な仕事環境を望んでいるという。また、仕事の打ち合わせもチャットや通話などを利用したリモートでいいと思っているビジネスパーソンが多いそうだ。

■経営者の意識がなってないと言い切れるのか?
しかし、2020年頃に世の中がそうなっているかという質問では、ややそう思うという回答を入れても30%程度にとどまっている。この原因は「経営者の意識」が問題という答えが40.3%でトップとなっている。ただし、先述したように経営者をひとくくりに「仕事環境整備の意識が低い」と言うのは早計だと筆者は考える。

90年代後半から2000年頭までは、自宅に作業を持ち帰ることが推奨されたし、社外でメールのやり取りやビジネス文書の作成や編集が可能な情報端末が、それこそ各メーカーから、豊富にリリースされており、爆発的に売れまくっていた時代があったからだ。

年代が前後してしまうが、筆者が覚えている記憶をたどってみるとNECの「Mobilegear(モバイルギア)」、名機LX200の流れを汲むHPの「HP Jornada(ジョルナダ)」、同じくHP(旧コンパックコンピューター)の「iPAQ(アイパック)」、シャープ「Zaurus(ザウルス)」、富士通「InterTOP(インタートップ)」、日立「PERSONA(ペルソナ)」、カシオ「CASSIOPEIA(カシオペア)」、そしてApple「Newton(ニュートン)ことMessagePad(メッセージパッド)」、Palm「Palm Pilot(パイロット)」といった端末たちだ(失念している端末もあるかもしれない・・・)。

特にNECのMobilegear(通称:モバギ)は大人気でハードウェアはモバギながら外観をゼロハリバートンのデザインに変更したドコモの「sigmarion(シグマリオン)」などという変わり種もあった。またWindowsマシンでは、東芝のLibretto(リブレット)、SONYのVAIO C1、NECのmobio(モビオ)といった超小型Windowsマシンなどもあり、こうした超小型PCに作業環境を構築して自宅で作業していたというビジネスパーソンも多かった。

以降、Atom搭載の初代NetBookを経てSONYのVAIO TypePや富士通のLOOXシリーズなどが、生き残っている程度だ。

WIREDの若林編集長

WIREDの若林編集長

日本では社外作業やBYODが推奨されるようにならない思っていることに関し、WIREDの若林編集長は「新しい働き方に関してストーリーが描けていない」ことが原因であると指摘した。働くと言う意味は、従来の時間ベースから、その人がどのような価値を生んだかということに変わりつつある。

今後は、世の中と、働く人の意識のギャップをどう埋めていくかが世の中の課題となっているとした。それも原因の1つであるだろうが、それに加えて過去に起きた情報漏えい事故による億単位の莫大なコスト的損失を経験した中高年層の、あのガッチガチに固くなった頭を、柔らかくすることも必要だろうと思う。

vmwareの三木社長

vmwareの三木社長

■仕事意識の改革による働き過ぎの懸念
さて「自宅に仕事を持ち込まない」という風潮から「むしろ持ち込むべし」という考え方が浸透し、どこでも仕事ができるようになると、休日の一部ではなく、休日の全部を仕事に費やしてしまう不届きな輩が出てくる。それがモチベーションの低下につながるなどの懸念もある。

vmwareの三木社長は「海外では評価基準をしっかりと決めているが、日本では基準が曖昧」であると指摘していた。正直、休日返上で仕事するよりも、オンとオフを適度に切り替え、就業時間内で仕事を完了できる人材のほうが優秀と評価されるわけだが、仕事に不慣れなため、まだそこまでのレベルに到達していない人も少なからずいるわけだ。

会社で完了できない分、休日返上で自宅作業で終わらせ、周囲と足並みを揃えるという姿勢を、どう評価するのか? といった判断は難しい。「良い」とも「悪い」とも言えるからだ。まさにワークライフバランスに思い切り関わってくる部分だ。日本におけるテレワーク推進の第一人者といえる田澤由利氏は、政府が2020年に向けて法律面での規制緩和も進んでいることを紹介した。

ワークライスバランスの意識や環境を整えることは、働く人のメリットになることばかりか、良い社員に長く働いてもらうためにも今後はさらに重要になっていく。仕事ばかりでは人としてダメになってしまうが、遊んでばかりだとビジネスパーソンとしてダメになってしまう。そのバランスを上手に取って、仕事も生活も豊かになる日本が実現されることを期待したい。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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