水準訂正が期待される大手都銀株 注目銘柄を斬る【ビジネス塾】

ITライフハック / 2014年6月4日 9時0分

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大手都市銀行5グループの2014年3月期決算が出揃い、純利益でリーマン・ショック前(2007年3月期)を上回った。3メガバンクは、三菱UFJ FGの最終利益が9848億円、みずほFGは6884億円、三井住友FGは8353億円だ。

アベノミクスによる株高の恩恵、また企業のM&A(合併・買収)や不動産投資信託(REIT)関連の大口融資は伸びていることが好調の要因だ。

■本来の貸出はこれから
一方、銀行としての本来業務である貸出は、中小企業向けを中心にさほど伸びていない。このため、貸出分野は今期もほとんどのグループが減益を見込んでいる。とはいえ、2013年度の銀行の平均貸出残高は前年度比2.3%増で、増加率としては5年ぶりの大きさ。日銀による異次元緩和の効果が、徐々にあらわれてきたといえるだろう。みずほは、東京都の動産・債権担保融資(ABL)制度で、売掛金を担保とする融資の取り扱いを始めるなど、融資拡大に向けた取り組みも目立ち始めている。

■加速する国際業務
メガバンクを中心に海外進出も盛んだ。すでに、世界のプロジェクトファイナンスにおける3メガバンクの存在感は高まっており、世界シェア約5.7%の三菱UFJを筆頭に、三井住友が4位、みずほが5位にランクインしている。

海外でのM&Aも意欲的だ。三菱UFJはタイのアユタヤ銀行を買収し、アジア市場強化の足がかりにする。邦銀として初めて、香港市場で人民元建て債券(点心債)を発行する計画も明らかにした。米国でも、リーマン・ショック後の米モルガン・スタンレーとの資本提携に続き、新たに法人向け信託部門を強化するためのM&Aを行う予定。モルガンとの提携も、世界的に進める。三井住友も、3カ年の中期経営計画で「アジア・セントリック」を掲げ、アジアでの業務拡大を打ち出している。みずほは、中国の大手国有複合企業、中信集団(CITIC)の上場をめぐって、資本参加する計画を進めている。

■金融機関の課題は
一方、国内事業には「逆ざや」状態にあるものもある。「定番」であった国債による運用は、日銀の緩和策で困難になっている。前期は功を奏した株高効果も、今期はどうなるか、今の環境では心もとない。この状況を打開し、次世代の成長モデルを描くことが都銀の課題といえる。

国内事業では、非金利収益の強化と、傘下の証券やリース、消費者金融などの子会社の強化である。三井住友はこうした子会社を強めることで、グループ連単差(連結当期利益から銀行単体当期利益を差し引いた額)を拡大させる戦略をとっており、2014年3月期には2000億円と、2011年3月期の2倍以上に拡大させている。2020年に向けたオリンピック需要も期待できる。

併せて、おう盛な新興国を中心とする資金需要に応えることも成長軌道の一つとなろう。この方面で、都市銀行の展開はさらに進むと予想される。

これらを首尾良く進めるには、企業統治(ガバナンス)の整備、規制の異なる新興国事情への対応、さらに世界的なインターネット・セキュリティの強化への参画などが必要となりそうだ。

3メガバンクの株価はいずれも年始以降、日経平均株価と同じく低迷を余儀なくされたが、ここにきて底入れの動きとなっている。下値は高い利回りが支えており、動意するかどうかは各社の成長戦略にある。万年割安株返上か、期待がかかるところである。

(小沼正則)

※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。

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