FOMCで緩和縮小を決定 最終決着は「見果てぬ夢」か?【ビジネス塾】
ITライフハック / 2014年6月20日 15時0分
米連邦準備理事会(FRB)は6月18日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開いた。
昨年12月以来続けている、資産買取額の縮小は今回も継続され、月額350億ドルとなった。おおかたの予想通りだが、金融政策の先行きはなかなか微妙だ。
米国の先行きは日本市場に大きな影響を与えるだけに、注目したい点なのだ。
■年内に「出口戦略」
FOMCについて、FRBのイエレン議長は「年内に金融緩和の出口戦略の方向性を示す」と表明した。これはどういう意味か。
FRBの金融緩和政策は、大きく分けて2つである。一つは通常の金融政策だが、政策金利(フェデラル・ファンド金利の誘導目標)を0〜0.25%に押さえている点が異例のものである。いわゆる「ゼロ金利政策」である。
もう一つは量的緩和政策で、現在の政策は2012年9月に始まったもの(QE3)。月に850億ドルの金融資産(国債など)を市場から買い入れ、代金の資金を市場に流すものだ。これについては、今回のFOMCでも決まった資産購入額の縮小を続ければ、11月にもQE3が終了することになる。
問題は前者の「ゼロ金利」で、イエレン議長はこの終了時期を明言していない。米国経済は回復基調だが、雇用面ではやや弱さも残っており、議長としては慎重に進めたいのだろう。FOMC理事の中に意見の違いがあることも影響しているかもしれない。
今回のイエレン議長による「出口戦略」発言は、「年内に金利引き上げの時期を明らかにする」という意味である。ただ、この「時期」は「何年何月」ということではなく、失業率や雇用者数、消費者物価上昇率などといった数値目標が達成された時期ということになるだろう。
■まだ「先がある」
米国経済にとって、異常なゼロ金利が終了することは望ましいことだ。適当な金利水準は、経済の成長を意味しているからでもある。
ただ、QE3とゼロ金利の終了で、米国経済が完全に「正常」な状態に戻ったといえるかというと、そうではない。まだ「先がある」のである。
それは、FRBが購入した資産の「後始末」だ。FRBは、リーマン・ショック後の量的緩和政策(現在の政策がQE3と「3」が付いているということは「1」と「2」があったということでもある)で、膨大な金融資産を買い取っている。買い取った資産はFRBの貸借対照表(バランスシート)に記されるが、これは何と、リーマン・ショック前の5倍近くになっている。
しかも、保有する金融資産の中には、怪しげで価格も付けられないようなものが不動産担保証券も混じっている。このような資産を長期に抱えていれば、FRB、ひいてはドルの信頼が低下してしまう。いつかはこれらの資産を売却し、バランスシートを縮小させなければならない。
■本当に出口は想像できない
ところが売却を慎重に進めないと、金融資産の価格低下、ひいては経済混乱につながってしまう。リーマン・ショック後の6年で膨らんだバランスシートを縮小するには、同じ年月では足りないだろう。筆者の意見では、10年以上はかかると思う。
逆に言えば、米国の金融政策が「平時」に戻るのは10年以上先ということになる。ひるがえって、米国以上の緩和政策を行っている日本にとっての「出口」は、想像もできない先ということになる。
ただ、平時でない金融政策の下でも、経済はしぶとく回っている。平時でないということは「イコール経済破たん」でも「イコール株価暴落」でもないことは言うまでもない。
投資家は、「平時でない」ことを忘れるべきではないが、過度にとらわれるべきでもない。むしろ、緩和政策が続くうちは、米株価は全体として上昇機運であり続けるだろう。そのチャンスは逃すべきではない。
(編集部)
※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。
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