安定動作で爆速なSO-DIMMメモリー!Kingston「HyperX Impact」をチェック
ITライフハック / 2014年8月29日 17時0分
これまでITライフハックでは『爆速KingstonのDDR3 2666MHzモデルの性能は?「HyperX PREDATOR」を試す』や『高速高耐久な2800MHzメモリーキット「HyperX PREDATOR」その性能に迫る!』といった記事でKingstonことKingston Technologyの高性能メモリー「HyperX」シリーズを数多く紹介してきた。ただし、いずれもデスクトップパソコン向けの製品でモジュールとしてはDIMMと呼ばれる形状の製品だった。
DIMMはmicroATX、ATXといったデスクトップ向けのマザーボードに装着するための形状規格で、ノートPCやUNCと呼ばれる手のひらサイズのミニPC(マザーはmini-ITX)では利用できなかった。いかに高性能なHyperXシリーズであっても、物理的に装着できないのではまったく意味がない。ノートPCやミニPCユーザーは指をくわえてデスクトップ向けのHyperXを見ているしかなかったわけだ。
■ノートPCやミニPCで利用できるSO-DIMM形式のHyperXメモリー
そこで今回は、ノートPCやミニPCで利用できるSO-DIMM形式のHyperXメモリーを2製品紹介しよう。ひとつ目は最大クロック2133MHzで動作が可能なメモリーモジュール「HX321LS11IBK2/8」、もうひとつは最大クロックが1866MHzで動作できるメモリーモジュール「HX318LS10IBK2/8」だ。共にそのパフォーマンスをチェックしてみた。
■動作クロック周波数や予算で選べる、豊富なラインナップ
「HyperX Impact」は、SO-DIMM形状のメモリーにおいて世界最速の動作周波数(2666MHz)を実現した製品だ。製品としては、2133MHz/1866MHz/1600MHzと、動作周波数の異なる3つのラインナップが用意されている。
一点注意してほしいのは、ノートPCで一般的なDDR3メモリーの動作周波数は1066MHzか1333MHzであるということだ。対してHyperX Impactは最低1600MHzで、次いで1866MHz、最高では2133MHzとなっている。明らかにオーバークオリティであると言えるのだが、実はそこの重要なポイントが隠されている。
■高クロック版のメモリーを使うメリットを考える
通常のノートPCやミニPCでは、メモリー動作クロックが1.6GHzや2GHzを超えることはない。あえて高クロック版を利用するということのメリットについて考えてみたい。まず、1.6GHzや2GHz駆動が標準であるということは、それ以下の周波数で駆動させた際の発熱量が低いという点。ノートPCやミニPCは、小型ゆえに内部に熱がこもりやすい。
CPUにとって熱は大敵だ。発熱量が高くなるほど安定動作に支障をきたす。一定以上の温度を超えると周波数を落とし発熱を抑えようとする。つまり処理性能が落ちてしまうのだ。最悪のケースでは危険を回避するために動作を停止してしまう。そうなればWindowsがブルースクリーンを出して止まってしまう。
いわゆるBSOD( Blue Screen of Death)と呼ばれる現象だ。デスクトップPCであれば、内部のエアフローを見直す、冷却ファンを効率の良いものに交換するといった対策が打てるがノートPCやミニPCは、そういったことは難しい構造をしている。
つまり内部に熱がこもらないように高クロックで動作しても発熱量が抑えられたメモリーモジュールであるほどノートPCやミニPCには好ましいメモリーモジュールであるということになる。そしてHyperX Impactはその条件を満たしているというわけだ。
さらに、ノートPCやミニPCの中には、まれにBIOS設定をマニュアル変更することでCPUを定格以上の周波数で動作させることが可能な製品がある。いわゆる「クロックアップ」「オーバークロック」という方法だ。このオーバークロックを行う際にメモリーの動作周波数も連動して上がってしまう。定格でしか動作できないメモリーモジュールの場合、CPUは定格以上でも動作可能なのに、メモリーが追従できずに動作が不安定になってしまうことがある。
HyperX Impactであればそうした問題を気にする必要はない。最低でも1.6GHz(1600MHz)駆動となっているので、HyperX Impactを使ってクロックアップに失敗した場合、CPU周りに問題がある(電圧が足りない、ハズレのCPUだった)と原因を絞り込むことができる。
なお、CPUを定格以上の周波数に設定するクロックアップ行為は、完全なる自己責任における行為となる。ITライフハック編集部でも、Kingstonでも定格設定以上の動作を保証するわけではないので、悪しからずご了承いただきたい。
ということで今回、HyperX Impactの最上位モデルとなる2133MHzのメモリーモジュール「HX321LS11IBK2/8」と、その次に高い動作クロック周波数を持つ1866MHzのメモリーモジュール「HX318LS10IBK2/8」を試してみた。
メモリーモジュールの表面には、「HyperX Impact」の黒いロゴシールが貼られており、タダモノではない雰囲気に仕上がっており、見た目にもカッコイイ。
本製品は接続したプラットフォームを自動的に認識し、最適な動作周波数に自動的に設定してくれるので、基本的にはBIOSを手動で設定する必要がない。
パソコン初心者でも、メモリーモジュールを装着するだけで、難しい設定など必要なくすぐに使うことができるようになっている。
■HyperX Impactの性能をベンチマークでチェック
今回は、別のレビュー用に依頼して借りてあったミニPCであるZOTAC ZBOX Cシリーズ「ZBOX CI520 nano」(Intel Core i3-4020Y)があったのでそこにWindows 8 PRO、および各種デバイスドライバを入れ環境を構築し、メモリーのテストを行った。
またメモリーモジュールの内部情報を知るために、システム情報を表示してくれるアプリ「CPU-Z」を使用してチェックしている。
今回のシステム環境では、メモリークロック1600MHzを超える設定は、システム上設定できなかったため、最高クロックから順に1600MHz/1333MHz/1067MHzに設定にして計測した。なおノートPCであれば、さらに融通の利かないBIOSである可能性が高い。自分が使っているノートPCのBIOS画面の呼び出し方、設定方法をまずは確認しておくことは必須だと言えるだろう。
今回、テストに利用したベンチマークテストはFuturemarkのPCMark7である。
さて、ベンチマークテストの結果を紹介しよう。テストしたパターンは以下のとおり。
・2133MHzモデル「HX321LS11IBK2/8」(1600MHz / 1333MHz / 1067MHz)
・1866MHzモデル「HX318LS10IBK2/8」(1600MHz / 1333MHz / 1067MHz)
結果はグラフを見てもらえるとわかるが、数値的なスコアの差は微小ながらも、動作クロック周波数が高ければ高いほど、よい結果が出ている。やはり高クロック動作を苦にしないHyperXシリーズの面目躍如といったところだろう。
2133MHzモデル「HX321LS11IBK2/8」と1866MHzモデル「HX318LS10IBK2/8」との違いだが、数回計測した中間値を取っているため2133MHzモデルのほうが低いスコアになっているが、全体で1866MHzモデルを超えるスコアのケースもあったので計測誤差の範囲内と見ることができるだろう。ただ、よほど高クロックでのオーバークロックを目指さない限り、1866MHzモデル「HX318LS10IBK2/8」で十分に対応できるとみていいだろう。
以上、Kingstonの「HyperX Impact」を紹介した。たとえば15インチ以上のディスプレイを搭載するゲーミングノートやカリカリにチューンしたミニPCを使いたいというのであれば、「HyperX Impact」が最適なメモリーモジュールであることは、間違いなさそうだ。
■Kingston Technology
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