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個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第三十三回

ITライフハック / 2014年9月4日 9時0分

個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第三十三回

■はじめに
本ブログのネタを探すために電子書籍ニュースを配信している「hon.jp DayWatch」を見ていたらDRMに関する記事がありました。

「Adobe DRMをやめて電子透かしへ、欧米出版界で電子書籍の脱DRM化の予兆」

この記事を読んで、直近の「電子書籍元年」である2010年からの利便性の変化に思いを馳せました。

2010年の電子書籍元年で特徴的なのは、電子書籍を読むための環境としてスマートフォンやタブレットPCといった新たな携帯デバイス向けのアプリが登場したり、ストアによっては専用の電子書籍端末が登場したりしたことです。

今回はその辺りについて少し書いてみようと思います。記憶違いなどもあるかもしれませんが、ご容赦ください。

■過去からの変化
DRMについてはご存じかもしれませんが、一応簡単に説明します。

DRMは「Digital Rights Management」の略で、デジタル著作権管理を意味します。もう少し具体的に言うと、デジタルコンテンツの違法コピーを防ぐための技術を指すケースが一般的です。

細かく言うと、もっと広い意味がありますが話を簡単にするためにこの程度の簡単な説明に留めておきます。

さて、このDRMですが、著者や出版社の権利の保護を目的としていますが、反面読者の利便性を損なう側面もあります。冒頭にDRMの記事を読んで、利便性の変化に思いを馳せたと書いたのはそういう関係からです。

当時、スマホやタブレットPCなどの電子書籍端末として利用可能なデバイスが登場したことにより、読書に複数のデバイスを利用するケースが増加してきました。

外出時にはスマホを利用し家ではタブレットPCを利用する、といった形はその代表例ですね。まず、思い出したのはダウンロード期限が短いケースです。

電子書籍はデバイスにダウンロードして読みますが、当時のある大手電子書店ではその期限が1年でした。

スマホやタブレットPCは同じメーカーのものでも毎年のように新製品が登場します。毎年買い替える方は少数派と思われますが、2年で買い替える方はさほど珍しくないのではないでしょうか。

スマホを買い替えた場合、その時期が電子書籍を購入してから1年以上経過していたら、新しいスマホに再度ダウンロードすることはできません。その書籍を閲覧するには古い端末を利用しなければなりません。

書籍というのは、ともすれば10年単位で読み直すこともあるので、個人的に購入意欲を大きく削がれたものでした。

また、複数のデバイスで同時に読むことができないサービスもありました。私が経験したケースでは、あるデバイスで読んでいた本を他のデバイスで読む場合、電子書籍をサーバーの領域に一旦戻した上で別のデバイスからダウンロードするという手順を踏む必要がありました。

これもなかなかに残念な仕様でした。こういった制限は、広い意味でのDRMと呼べるのかもしれません。

恐らくは当時、書籍の電子化に今よりも強い警戒感を持っていた著者や出版社への配慮という側面が大きかったのでしょう。

現在では、再ダウンロードの期限が撤廃され、複数のデバイスでの同時利用も当たり前になってきています。現時点でもかなり利便性が向上したことを実感します。

■DRMの変化による期待
さて、元の記事の話ですが、世界最大の出版社グループが、ドイツ国内で電子書籍のAdobe DRM採用停止を検討している、という内容でした。

DRMでもっとも一般的な形態は電子書籍ファイルを暗号化する方式です。あるサービスで暗号化された電子書籍は、それをリーダーアプリで複合化することで正常に読めるようになります。

つまり、ストアに紐づいた専用のアプリでないと閲覧できません。このように暗号化を利用した強固なDRMを「強いDRM」と呼びます。

強いDRMに対するものとして、弱いDRMもあります。弱いDRMの代表は、購入者に関する情報(名前、メールアドレス、顧客番号など)を電子書籍ファイルに埋め込む形のものです。

これは技術的に電子書籍を限られた環境でしか読めなくするようなものではありません。
違法コピーが出回っても、どの購入者のものが出回ったのか調べられるので、技術的ではなく心理的に違法コピーを抑制する効果が期待できます。

記事の表題にある「電子透かし」とは、このような弱いDRMのことです。

さて、強いDRMから弱いDRMに置き換えられると、購入した電子書籍を自分の好きな閲覧環境で読めるようになる可能性があります。

例えば、A店、B店の2つのストアで販売されている電子書籍のフォーマットがEPUBだとします。それぞれが弱いDRMを採用し、販売した電子書籍は読者がEPUBファイルをダウンロードできるようになっていたら、そのEPUBファイルを読者が好きなEPUBリーダーアプリで読むことができます。

以前に比べたらそれぞれの電子書店は格段に利便性が高くなっていますが、それぞれの書店で購入した電子書籍は一元管理できません。著者、出版社、電子書店などそれぞれの思惑もあるのでなかなか難しいでしょうが、弱いDRMが主流になることで購入店に関わらず自分の好みの環境で読書ができるようになるかもしれません。

■最後に
9月9日にはAppleのイベントでiPhone6とiOS8の発表があるものと思われます。個人的に電子書籍関連ではiBooksやiBooks Authorの更新など興味のあるところです。

何か目新しいものがあれば次回の記事で扱ってみたいと思います。

以下、ハンズオン講座のお知らせです。

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ご興味のある方は是非リンク先をご覧ください。

■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi

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