人が目視可能な精細さの限界を超える高精細ディスプレイへの期待と怖れ【デジ通】
ITライフハック / 2014年11月13日 13時0分
タブレットやスマートフォンで、肉眼でディスプレイの各ピクセルを認識できる限界は300ppi程度と言われている。ppiは、pixel per inchの略で1インチあたりのピクセル数を示す。300ppiと言えば1インチ当たり300のピクセルで構成されているという意味だ。1インチを300で割れば1ピクセルのサイズは0.09mm以下となる。ディスプレイはこの細かなピクセルが大量に集まって画面を表示している。
スマートフォンなら画面サイズにもよるが、HDやフルHDがこの300ppi程度の解像度となり、必要十分な解像度だ。しかし、最近はこれを超える解像度のディスプレイが続々と登場している。現時点では必要以上な解像度に思えるが、今後の普及が見込まれるヘッドマントディスプレイでの活用が期待される。
肉眼でピクセルを認識できる限界を超える解像度ともなると、画面の立体感が向上すると言われている。実際に300ppi以上の解像度を持つディスプレイを見ると非常に綺麗だ。ただスマートフォンとして使う限りは必要以上に高画質のようにも思える。
もちろん、高画質になったほうが好ましいが、音楽CDを超える音質を実現しているハイレゾのようなもので、個人によっては違いがよくわからない人も出てくるレベルの話になる。
しかし、今後普及が予想されるデバイスの1つであるOculus RiftやProject Morpheusのようなヘッドマウントディスプレイに採用するディスプレイとしては、現行のフルHDクラスでは解像度が足りていない。ヘッドマウントディスプレイは、6インチ前後のディスプレイサイズで視野を完全に覆うような形になるためで、目の良い人であれば、ピクセルを認識できてしまう。ピクセルを目視で認識できないようにするにはさらなる高解像度化が必要だ。
ジャパンディスプレイはディスプレイの展示会「Display Innovation 2014」で、8インチで4Kのパネル、5インチでWQHDのパネルのように、肉眼で認識できる範囲を超える解像度のパネルを出展していた。ジャパンディスプレイのパネルは8インチで4Kの3840×2160ドットの解像度を実現しており、550ppiとなる。また5インチのWQHDモデルでは593ppiだ。
シャープはこれを超える4.1インチで736ppiのパネルを試作したことを発表した。こちらの解像度があれば4K解像度は6インチで実現できるようになる。仮に、ヘッドマウントディスプレイで、このような高解像度のディスプレイを利用すると、臨場感やリアルさがさらに向上する。
だだ、リアルさや臨場感は単にディスプレイの解像度だけではなく、聴覚や触覚といった感覚も影響してくるようだ。たとえばOculus Riftと乗馬型フィットネス機器を組み合わせ、体全体で乗馬体験ができるゲーム「Hashilus」がある。
これまでOculusのデモを何度も実体験し、仕組みを理解している筆者でも体が動き出した途端に、リアルな馬に乗っているような感覚に陥った。あまりのリアルさに驚きを隠せなかった(恥ずかしい話、恐怖すら覚えたほどだ)。このように高精細ディスプレイが、さらに進化することで、今後登場してくる新しいデバイスで得られる体験は、よりリアルな方向に向かって進化するだろう。
ただ、あまりリアルすぎると、今度は怖さが出てきてしまうので、実際とは異なるという感覚を残しておいたほうがいいのではとも思える。テクノロジーの進化は大歓迎だがHMDを使用していて心臓発作を起こすといった笑えない話にだけはなってほしくないものである。
上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]
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