Intel XMP対応でHaswell-Eをきっちりぶん回せるKingstonのDDR4メモリー「HyperX FURY DDR4」
ITライフハック / 2015年3月31日 17時0分
以前『Intel X99システムでオーバークロックを簡単に実現するKingstonの「HyperX PREDATOR DDR4」』という記事でメモリーメーカーであるKingstonことKingston Technologyの「HyperX」シリーズで新登場した最新規格のDDR4メモリーを紹介した。
この「HyperX」シリーズは、同社の製品の中でも特に高品質・高性能・高耐久・高信頼性といったように高い次元で性能や安定動作を持つ製品だけに付けられるシリーズ名だ。そのため同社がリリースしているメモリー関連製品に加え、前回『高性能ゲーミングヘッドセットHyperXシリーズが7.1ch対応へと進化した「HyperX Cloud II」』で紹介したようにゲーミング用のヘッドセットにも「HyperX」の冠が付けられている。ほかにもゲーミングマウスパッドやSSDでもHyperXの冠が付く製品が用意されており、PC使いでなおかつパワーユーザーであれば、「HyperX」と付くだけで「高性能」といったイメージが自然と頭に浮かんでくるほどだ。
そのHyperXシリーズの中で、特にゲーム向けのモデルとなるのが「HyperX Fury DDR4」シリーズだ。今回はFuryシリーズのDDR4メモリーモジュール、8GBのモジュールが4枚で合計32GBとなるキット「FURY Memory Black – 32GB Kit(4×8GB) DDR4 2666MHz CL15 DIMM」を紹介する。
同製品の部品番号は「HX426C15FBK4/32」。Intel XMPに対応しており、BIOS設定でXMPを有効にしていると最大2666MHz/CL15まで自動でクロックアップして動作する。もちろんそれ以上も自己責任となるがオーバークロック動作が可能なモデルである。
■性能に加え安定動作を重視する「HyperX Fury」
なお「HyperX Fury」の位置づけはゲーミング用となる。以前に紹介した「HyperX PREDATOR DDR4」は、何よりもパフォーマンスを追及したいユーザー向けの製品であり、限界ギリギリまで性能を追求できる仕様となっていた。そのためXMP設定で3000MHzのプロファイルが用意されるなど、かなり尖がった位置づけとなっていた。
対してゲーミング用となる「HyperX Fury」は、性能追及はもちろんのことだが、ゲーミング用途なので長時間の安定動作を、より重視する。プレイ中にPCが落ちてしまうなどのトラブルに遭遇してしまうと対戦中であれば負けてしまう。またはチームプレイ中なら、メンバーに迷惑をかけてしまう結果となる。高性能さは維持したまま、長時間稼働させても抜群の安定性を発揮するのが「HyperX Fury」というわけだ。
安定稼働は何もゲーム用途に限った話ではないので、多少のリスクは承知で純粋にPCの性能追及を優先するなら「HyperX PREDATOR DDR4」を選び、若干性能は落ちるかもしれないが長時間動作させてもビクともしない安定性を重視するなら「HyperX Fury」を選ぶといいだろう。
■4GBと8GBモジュールと動作クロックの組み合わせで10製品がラインアップ
「HyperX Fury DDR4」は、8GB、16GB、32GB、64Gbのキットが用意される。ただし、用意されるモジュールは4GBと8GBで、最大動作が2133MHz/CL14、2400MHz/CL15、2666MHz/CL15の3種類となる。8GBモジュールでは「2133MHz×1、2133MHz×2、2133MHz×4、2133MHz×8、2400MHz×4、2666MHz×4」という6製品が用意される。
4GBモジュールでは「2133MHz×1、2133MHz×2、2400MHz×4、2666MHz×4」の4製品が用意されており、全部で10種類の組み合わせから選択できるようになっている。
Intel XMPに公式対応しており、BIOSでXMPを有効にしてプロファイルを選択するだけで自動的にクロックアップを行ってくれる。今回の「HX426C15FBK4/32」は最上位モデルにあたり、XMPを有効にしていれば最高2666MHzで動作する。
「HyperX Fury DDR4」は、DDR3モデルが赤/青/黒/白のカラーバリエーションが用意されるのに対し黒のみとなっている。HyperXシリーズではおなじみの冷却用のヒートシンクが装着されているが、大きさは、バルクのDDR4メモリーより多少大きくなる程度だ。もちろん放熱は考慮されているが、たとえば小さなPCケースで、メモリーを装着する余裕がないようなPCケース、巨大なCPUクーラーのためにメモリーモジュールと干渉してしまいそうな場合でも、きちんと装着できるようになっている。
■動作にはDDR4環境であるIntel X99 Expressが必要
HyperX Fury DDR4は、当然ながらDDR4対応のシステムでしか利用できない。CPUソケットはLGA 2011-v3であり、これが利用できるのは、Haswell-Eに対応するIntel X99 Expressチップセットのシステム(以下、Intel X99システム)となる。編集部にはHaswell-EのIntel Core i7-5820Kを搭載したIntel X99システムがあるので それを使って検証している。DDR3の環境なのにDDR4を購入してしまった場合、物理的にメモリーソケットに装着できないことに注意してほしい。
DDR4のメモリーモジュールだが、登場当時から品質にバラつきが見られるようで、無印のメモリーだと定格動作では問題ないが、クロックアップを行った際にシステムが不安定になったり、特定のマザーボードでは動作するが、別メーカーのマザーボードだと動作しなかったりというような話も聞こえてくる。メモリーモジュールによっては、動作確認したマザーボード以外の利用ではメーカー保証はされないといったこともあるようだ(代理店保証、ショップ保証となるケースがある)。
Kingstonは、何よりメモリーメーカーなので自社で検証している上に自社で確認された動作するマザーボードの情報を公表している。さらにIntel XMP 認定メモリーとなっているので、現在DDR4メモリーのシステム構築を考えているのなら、同社のメモリーを選んでおくのが安心だ。
■ベンチマークでメモリー性能をチェック
それでは早速、HyperX Furyの性能チェックに移ろう。まずはメモリーの内部情報を知るために、起動時にBIOSをチェックし「Intel XMP」を有効にして、システムを立ち上げる。XMPがメモリーからプロファイルを読み込んで起動してくる。BIOS上で確認すると「XMP DDR4-2667-15-17-17-35-1.20V」という表示になっていた。
自動的にXMPによってメモリークロックは2666MHzで動作していることがわかった。CPUクロックはどうなっているのかシステム情報を表示してくれる「CPU-Z」を使用してチェックする。
なお、今回CPUは定格3.3GHz(最大3.6GHz)のIntel Core i7-5820Kだ。定格は3.3GHz駆動のはずだがTurboBoostが有効になっており、3.6GHz動作となっていた。XMPを有効にしただけで、自動的にここまでクロックアップできるのは便利だ。
ということで、この状態でベンチマークテストを回してみた。テスト時の組み合わせは以下、ノーマル動作時(3.3GHz駆動)、XMP有効(3.6GHz)、CPUをクロックアップして4.1GHz駆動といったパターンだ。
1) ノーマル動作(3.3GHz)
2) XMP有効(3.6GHz)
3) クロックアップ(倍率変更4.1GHz駆動)
今回利用したベンチマークテストはFuturemarkのPCMark7とPCMark Vantage(x64)の2つだ。結果を見れば明らかだが、動作周波数が高いほどスコアも良い結果となっている。4.1GHz駆動はリスクを承知の上でのオーバークロック設定となっているが、3.6GHz駆動はIntel XMPによる安全マージンが含まれたパフォーマンスである。安全性といった点で言えば、Intel XMPによる3.6GHz駆動での利用がおススメということになる。
以上、「HyperX Fury DDR4」を紹介した。ベンチマークからもわかるように、安定性と高性能を高い次元で両立した同メモリーは、ゲーミングPC用途だけでなく、3DCG作成や4K解像度の動画編集といった用途でも、安心しておススメできるDDR4メモリーであると言える。
明日から4月に入り、その先に大型連休が控えている。この際だから、高性能で安定動作が見込めるPCを「HyperX Fury DDR4」を使って自作してみるというのはどうだろう? または、既存のDDR4環境を「HyperX Fury DDR4」に置き換えてみるというのもおススメだ。
■Kingston Technology
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