株主総会はオンラインの時代へ!ソニーPCL株式会社に聞く、バーチャル株主総会ソリューション「HALL+」の現状と未来
ITライフハック / 2022年5月16日 22時0分
バーチャルオンリー型株主総会の実施が可能になった2021年6⽉の法改正以降、⾼まる市場のニーズを受け、ソニーPCL株式会社(以下、ソニーPCL)は、バーチャル株主総会ソリューション「HALL+(ホールプラス)」を提供している。
ソニーPCLの「HALL+」は、高品質のライブ配信機能と各種オンラインイベント運営に必要なサポート機能を備えた株主総会の運営支援プラットフォーム。参加型および出席型の両タイプに加え、バーチャルオンリー株主総会にも対応する。
今回、「HALL+」の責任者である同社 クリエイティブ部門 副部門長 ビジネスプロモーション部 統括部長 金子 敏明氏に話しを聞くことができた。
■バーチャルのみでも開催可能となった株主総会
ソニーPCLは、プロトタイプから実用化技術まで、さまざまな先端映像技術を駆使し、多くの映像・音響・UXに関するアイデアを実現しつづけているソリューションカンパニーである。
金子氏はソニーPCLに入社後、フィルム映像のカラリスト助手としてキャリアをスタート。その後、DVDコンテンツのメニューデザインや商品パッケージ制作、アニメ・映画コンテンツの製作配給業務、各種イベントや展示会の制作など、映像ビジネスに多方面から携わる。2017年から大規模株主総会の開催にも携わり、現在は自社ソリューションであるオンライン運営支援プラットフォーム「HALL+」のビジネス拡張を牽引している。
最初に株主総会の現状を聞いた。
金子氏
「株主総会はハイブリッド型(出席型)、ハイブリッド型(参加型)、バーチャルオンリー型と、いくつかの種類があります。三井住友信託銀行さんがまとめた2021年の6月総会の実施状況によると、昨年6月の株主総会でハイブリッド型を活用する企業は305社と、2020年に比べて約3倍になっています。うち出席型は14社で、出席型はまだ少ない状態ですが、参加型は徐々に増えてきています。出席型を採用する企業も今後、増えていくと予想されます。」
2021年6月に法改正がおこなわれ、今までリアルな場所での開催が義務付けられていた株主総会が、法務省・経済産業省の省令要件に該当する必要はあるがバーチャルのみでも可能となった。新型コロナウイルス感染症の影響により外出の自粛が叫ばれるなか、バーチャル株主総会を導入していない企業では、どのようなかたちでバーチャル株主総会を導入すればよいのか、今まさに検討している状況だという。
バーチャル株主総会の現状について語る、ソニーPCL株式会社 クリエイティブ部門
副部門長 ビジネスプロモーション部 統括部長 金子 敏明氏
■株主総会に欠かせない運営機能を備えた「HALL+」
「HALL+」の開発に着手したのは2020年の初頭。ソニーPCLはソニーグループ株式会社の株主総会の運営をしており、それを経緯に多くの企業のリアルでの株主総会運営に携わってきた。昨年の法改正に加え、配信による株主総会への声が高まり、「HALL+」を開発するきっかけになったという。
開発で一番苦労した点について金子氏は、
「個人情報を取扱うため、如何にセキュアな状態で運営できるかに一番注力しました。自社だけでなく、グループ関連企業や弁護士の方にも立ち上げ時に参画していただいて、ベストなかたちを導き出しました。」と語った。
株主総会では、株主番号、住所、会社名、個人名などの個人情報を扱っているため、それらの情報が外部に漏れると、株主に迷惑がかかるだけでなく、企業イメージにも大きなダメージとなる。「HALL+」を利用すれば、そうした株主総会に欠かせないセキュリティレベルも満たすことができる。
株主総会の運営支援プラットフォーム「HALL+」のログインページ
他社のバーチャル株主総会と「HALL+」との違いは、誰しも気になるところだろう。
金子氏
「ソニーPCLでは、リアル株主総会の運営を25年以上実施しており、株主総会の特性や、株主総会ご担当者が開催までにどのような準備をしているのか、運営に携わっている方々が現場で何をしているのかを理解しているので、実務を踏まえたノウハウをシステムに組み込めるのが一番の違いだと考えています。」
競合他社のオンライン運営支援プラットフォームは配信機能を重視する傾向にあるが、「HALL+」は配信だけでなく、株主総会の中身も重視している。同社は映像技術に加え、株主総会の運営も熟知しているため、「HALL+」は他社のプラットフォームに比べて利便性に優れている。
具体的には、視聴環境に最適化した映像視聴を実現するアダプティブビットレート配信、低遅延、大量同時接続時の安定回線供給、そして運営面での質疑・動議・質問管理機能、採決集計機能、事務局チャット機能など、バーチャル株主総会で欠かせない機能をすべて備える。
「HALL+」が提供する事務局画面。株主総会の運営に必要なすべての機能を実装する
金子氏
『ロゴやデザインのカスタイマイズもできますし、式次第に合わせたシステム構築もできます。「この型にはめてください」という制約がありません。ユニークなID、パスワードの設定、なりすまし防止などにも対応しています。たとえば、同じID、同じパスワードが不特定多数の人に知られてしまったとしても、それを利用して不特定多数の人が参加・出席できない状況を作っています。』
「HALL+」はグループ関連企業の知見を集めて現在のセキュリティを実現したという。現在、金融・IT・電機・外食・飲料業界など、幅広い分野の企業に「HALL+」が採用されているという。
金子氏
「バーチャル株主総会が世の中に浸透していない状況であると思います。パートナーの企業様と協力して、如何にバーチャル株主総会を浸透させるのかが課題だと認識しています。リアルでもバーチャルでもハイブリッドでも、株主総会を最適に開催することで、新しい時代の株主総会を実現したいと考えています。」
「HALL+」による株主総会の視聴(サンプル)
■「バーチャル株主総会のきょうかしょ」を無料公開
ソニーPCLは、株主総会のオンライン開催を検討したことのある上場企業の株主総会担当者100⼈を対象に「バーチャル株主総会に関する実態調査」を2022年1月に実施した結果、全体の95%が「何かしらの課題を実感したことがある」との回答を得た。「情報収集が⼤変」「⾃社にあうタイプがわからない」など、検討初期での課題が多いことも判明した。
また約3人に1人が「周りに相談できる人がいない」と、導入にむけてのハードルを感じている現状も明らかになった。企業によっては少数で担当していることのある株主総会担当者だからこその悩みが浮き彫りになった。
そうした状況を踏まえ、同社は「バーチャル株主総会のきょうかしょ」を作成し、2022年2月16日(水)より無料で公開している。
「バーチャル株主総会のきょうかしょ」は、バーチャル株主総会の導入検討から実現までを、図解入りでわかりやすく解説したものだ。バーチャル株主総会を実施したい企業は、本書により、実務で必要な内容を把握することができる。
・Webサイト:https://www.sonypcl.jp/hall-plus/shareholders.html
・バーチャル株主総会のきょうかしょDL:https://www.sonypcl.jp/hall-plus/request.html
「HALL+」は株主総会だけでなく、IRイベントや新卒採用イベントなどのインナーイベントでも採用されている。現在、グループ企業や信託銀行の協力のもと、徐々に認知を広めている状況だ。日々改良を加えており、日本国内の株主だけでなく、海外在住の株主への対応も検討している。
インターネットが繋がっていれば、どこに居ても株主総会に参加できるのがプラットフォームの特徴だ。バーチャル株主総会の導入を検討している企業にとって、「HALL+」は魅力的なプラットフォームと言えるだろう。
■オンラインイベント運営支援プラットフォーム「HALL+」
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