構造改革で復活?NEC&富士通に注目 注目銘柄を斬る【ビジネス塾】
ITライフハック / 2014年2月19日 0時0分
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NECと富士通は「旧電電ファミリー」として成長し、1980年代以降はパーソナルコンピュータやサーバ、インターネット接続事業(プロバイダ)などで成長してきた。
だが、近年の経営環境の激変に対応し、半導体、パソコン、プロバイダ、携帯電話などの事業が不採算化するなど環境が変化し、新たなビジネスモデルが求められる状況である。両社は、システム開発を中心とするサービス事業などの展開を進めつつ、不採算事業の売却などの構造改革を急いでいる。
■構造改革を進める
主なところでは、NECはパソコン事業を中国・レノボとの合弁会社に移行、主導権を移譲した。携帯電話事業ではスマートフォン(スマホ)からの撤退を決めた。最近は、プロバイダのNECビッグローブを投資ファンドの日本産業パートナーズに売却すると正式発表し、システム関連会社であるNECフィールディングの完全子会社化も決めた。富士通も携帯電話事業を東芝と統合させて効率化、半導体事業は売却、パソコン部門は製品数を絞り込んでいる。
こうした構造改革を進めた結果、NECの2013年10〜12月期の営業利益が予想を上回る233億円(前年同期比4%減)。2014年1〜3月期は1000億円程度の営業利益を見通せるところまできた。富士通も、4〜12月期が23億円の最終黒字に転換した。
■クラウドを軸に東南アジアに進出
両社が注力する事業の一つが、クラウドサービスを中心とするシステム開発分野で、とくに東南アジアで展開を進めている。
富士通は、アジア展開する日系企業を主な対象に基幹業務パッケージをベースにしたクラウドサービスを拡販することを戦略としている。マレーシアのソフト会社であるFBICコンピューターズ・サービシズを子会社化して拠点、ミャンマーのヤンゴンには支店を設置、ミャンマー中央銀行の基幹ネットワークを受託した。ベトナム中部のダナンにはソフト開発の拠点を開設、富士通のベトナムでの拠点は4カ所目。
NECも、独ソフト大手のSAPと東南アジア市場で連携し、税制度や商慣習の特徴を織り込んだ基幹システムを開発・販売する。当初は、進出した日系製造業への売り込みを進める。ネパールでは、カトマンズ国際空港の航空管制システムを受注した。また、三菱商事とはサイバーセキュリティサービス分野で協業することを決めた。
■軟調相場で異彩高となる株価
国際展開を支えるため、NECはユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させる狙いから「UXイノベーション戦略室」を新設、ソフトの競争力を高める活動を強める。富士通はクラウドサービス「マイクラウド」を自社製パソコンに搭載するなど、個人向けサービスも強化している。大学向けには「ユニファイドワン・キャンパスクラウド」の提供も始めた。
そのほか、富士通は、拠点のある川崎市を通じて汚染物質測定装置用のセンサー技術を国内の自治体にライセンス供与する。札幌市などの自治体や、全国の信用金庫などとの連携も図っている。NECも日本下水道事業団と共同し、下水道管の破損を診断する自走式ロボットを開発、実証実験を始めている。海外でも、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と連携して、インドでスマートコミュニティー(環境配慮型都市)の実証実験を行う。こうした社会インフラ関連技術も、新しい成長分野といえる。
ただ、両社の構造改革はまだ途上にあり、いちだんと筋肉質の経営に脱皮する可能性がある。ライバル関係にもある両社の完全復活に期待大である。
両社の株価は大きく下落した東京市場において異彩高となっている。今後の株価動向に注目してみたい。
(小沼正則)
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