個人でも可能な電子出版 誰でもできる電子出版 第四十七回
ITライフハック / 2015年4月16日 10時0分
■はじめに
個人的な話ですが、メインで使っているMacのOSを先日Yosemite(10.10.3)にアップデートしました。それまでは仕事で使うアプリが確実に使える環境としてMavericks(10.9.5かなんか)を使っていたのですが、案件の区切りがよくなったので遅ればせながら今回アップデートを決行した次第です。
併せてiPhone、iPadのOSもアップデートし、いずれもiOS8.3にしてみました。手持ちのMac/iOSデバイスの環境が2015年4月時点の最新環境になったことで、電子書籍制作に関する環境を少し確認してみました。
■OSのアップデートにまつわるトラブル
OSのアップデートというのは電子書籍的には結構リスクがあるものです。メジャーバージョンのアップデートは元より、マイナーバージョンやビルドのアップデートでも緊張感があります。
MacやiOSの場合、OSに含まれるWebKit(Webブラウザのレンダリングエンジン)も更新されることがあり、WebKitを利用しているiBooksの電子書籍の表示結果が以前と異なることがあるからです。
今回は今のところiBooks上の表示関係のトラブルは確認できていません。
ですが、意外なところでトラブルに遭遇しました。
「Book Proofer」というアプリが使えなくなってしまいました。
Book ProoferはApple製のアプリで、iBooksストアで電子書籍を販売するのに必要なiTunes Connectアカウントを取得すると、iTunes Connectから無料でダウンロードすることができるようになります。
このアプリはiBooksストアで販売するための電子書籍を開発するときに、iPhoneやiPadで表示確認する際に重宝します。iBookを起動した状態のiPhoneやiPadをMacとUSB接続し、Book Prooferを起動するとBook Proofer上にiPhoneやiPadが表示されます。
表示確認の対象としたい機器にチェックを入れてウィンドウ上部にEPUB電子書籍をドラッグ&ドロップすると、対象のデバイスのiBooksに電子書籍が転送され自動的に開いてくれます。
さらに、EPUBにパッケージ化する前のフォルダをドラッグ&ドロップすると、自動的にEPUBパッケージ化して転送してくれます。その場合、フォルダ内のデータを編集・保存すると自動的に再EPUBパッケージ化してデバイス上の電子書籍を更新してくれます。
複数のデバイスを繋ぐと複数のデバイスを選択できたりもして、iBooksストアでの販売を行う制作者にとってはとても便利なアプリです。このBook Prooferが最新環境では問題が出るようになりました。
iOS8.3にアップデートしたiPhoneやiPad(いずれもiBooksを開いた状態)を接続しても、Book Prooferが適切に認識してくれず選択できないのです。
Book Prooferは最新版(1.0.1)を使いました。Book Prooferはしばらくアップデートがなく以前から使っていたものが最新版でしたが、念のためiTunes Connectからダウンロードしたものをインストールして試してみましたが、それでも状況は変わりません。
トラブルと思える状況に遭遇した場合に考えるのは、それが一般的なものなのかどうか、ということです。
もしかしたら自分の環境特有の状況かもしれません。で、ネット検索したら同様の事例がいくつもありました。
私が見たものの1つは2014年の10月初旬にiOS8.0.2を導入したらBook Prooferのトラブルが発生した、という記事です。この記事の時点ではMacOS X Yosemiteはリリースされていないので、iOS8が原因でBook Prooferが使えなくなった線が濃そうです。一応、手持ちのiPad miniがiOS7.0.3だったので、それを接続して試してみました。
なるほど、iOS7.0.3のiPad miniではMacのOSがYosemiteでもBook Prooferが問題なく使えました。
Book Prooferが使えなくなる症状はiOS8が原因という結論でよさそうです。…ということは今回のこの記事、半年前の古い情報じゃないの!?ということになるのですが、ちょっと待って下さい。
今回の記事は、その続報と考えてください。
つまり…。
・iOS8を搭載したiOSデバイスにはBook Prooferが使えない
・それはiOS8.0リリースから半年後にリリースされたiOS8.3でも変わっていない
・このトラブルにはMacOSは無関係と考えられる
・2015年4月8日リリースの10.10.3+iOS7.0.3の組み合わせではBook Prooferは問題なく使える
というのが現状だということです。
冒頭に述べた通り、OSのアップデートはバージョン番号が小さいものであっても思いのほか変化があることがあるものなので、続報というのは案外貴重な情報となります。(震え声
ちなみにiOS8は以下のように結構頻繁にアップデートしています。
()の中はリリース日です。
8.0(2014/9/17)
8.0.1(2014/9/25)
8.0.2(2014/9/26)
8.1(2014/10/21)
8.1.1(2014/11/18)
8.1.2(2014/12/10)
8.1.3(2015/1/28)
8.2(2015/3/9)
8.3(2015/4/9)
これだけアップデートを重ねながらBook Prooferのトラブルが解消されないというのは残念なことです。
一般の利用者には無関係なので優先度は低いとしても、そろそろ対応を期待したいものです。
■最後に
今回はiBoosストアで販売する方用の校正ツールであるBook Prooferのトラブルについて触れました。実は一応代替手段(というには微妙なのですが)がMac版iBooksに用意されています。今回ご紹介するつもりだったのですが、ちょっと個人的な事情により次回に回させていただきます。
例によってハンズオントレーニングのお知らせです!
いずれも原宿のロクナナワークショップのハンズオン講座です。
結構ちょこちょこ各ストアの状況が変わっていますので、随時内容を更新しています。
・「Amazon:Kindleストア用電子出版講座」
Kindle向けの電子書籍の制作とリリースの手順を扱った講座です。
次回は6月2日の予定です。
・「Apple:iBooksストア用電子出版講座」
iBooks Authorを利用した電子書籍の制作と、iBooksストアへのリリース手順を扱った講座です。
次回は6月9日の予定です。
いずれも、電子書籍の制作はハンズオン、リリースの手順はセミナー形式で行います。
是非ご参加ご検討ください!
■著者プロフィール
林 拓也(はやし たくや)
テクニカルライター/トレーニングインストラクター/オーサリングエンジニア
Twitter:@HapHands
Facebook:https://www.facebook.com/takuya.hayashi
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