脱炭素社会に向けた、地域の環境循環ソリューション戦略とは?シナネンホールディングス、新規事業説明会を実施
ITライフハック / 2022年12月22日 13時0分
シナネンホールディングスは2022年12月7日(水)、東京 浜松町SNビルにて、報道関係者向けに新規事業説明会を実施した。同ビルには、同社運営シェアオフィス「seesaw」があり、説明会実施後、希望者はseesawを見学することができた。
■脱炭素化社会の実現に貢献したい
シナネンホールディングス株式会社 代表取締役社長 山﨑正毅氏は、自社グループの新規事業方針について説明した。
同社は1927年に創業し、今年で95年を迎える総合エネルギーサービス企業グループの持株会社だ。従業員は非正規社員を含めて3,500名以上であり、LPガス・石油・電気など、様々なエネルギーの販売事業を中心に住まいと暮らしのサービスなど、様々な事業を展開している。
グループのミッションとして、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで地域すべてのお客様の快適な生活に貢献する」を掲げ、消費者向けのエネルギー卸・小売周辺事業、法人向けのエネルギーソリューション事業、非エネルギー事業(建物維持管理、シェアサイクル等)を提供してきた。
同社は現在、エネルギー関連を柱に、3 つのセグメントで事業を展開している。
1. エネルギー卸・小売周辺事業
LPガス、家庭向け電力
2. エネルギーソリューション事業
石油、法人向け電力
3. 非エネルギー事業
自転車、シェアサイクル、環境・リサイクル、抗菌、システム、建物維持管理
現在、2030 年、 2050 年の国際的な脱炭素目標実現に向けた動きが加速している。同社は、この動きをチャンスととらえ、ビジネスの変革を推進する構えだ。
山﨑社長は「これまでの事業を通じて養った基盤やリソースといった強みを活かし、ほかの企業や団体とも連携をしながら、地域の脱炭素化をサポートしてまいりたいと考えております。これからは様々な企業や団体が自分たちの強みやアイデアを持ち寄って組み合わせて共生していくことで、課題を解決する時代だと考えております。当社グループにおきましてもエネルギー会社として、脱炭素化という大きなテーマに向かって様々な人々を巻き込みながら、共創を通じた総合ソリューションを提供して脱炭素化社会の実現に貢献してまいります。」と語った。
シナネンホールディングス株式会社 代表取締役社長 山﨑正毅氏
シナネンホールディングス株式会社 代表取締役社長 山﨑正毅氏が語る!脱炭素社会に向けた、新規事業への想い
YouTube:https://youtu.be/P8rQtsuzoP8
■グループ全体の事業の成長性を高めたい
シナネンホールディングス株式会社 成長戦略部 部長 高橋大輔氏は、新規事業の取り組みと進捗について報告した。
2050年の脱炭素社会実現に向けた動きがグローバルで加速する中で、エネルギー・住まい・暮らしの総合サービス事業を展開するシナネンホールディングスグループは、現在取り組む第二次中期経営計画において、従来の事業ポートフォリオからの変革を目指し、新規事業への積極的な投資を進めている。
高橋部長は「我々、成長戦略部の目的はグループ全体の事業の成長性を高めることです。」と語った。
シナネンホールディングス株式会社 成長戦略部 部長 高橋大輔氏
成長戦略部は新規事業方針として、下記の2つを掲げている。
・方針1 成長が高い領域での事業創出
・方針2 事業創出の持続性を高める仕組みの創出
〇方針1 成長が高い領域での事業創出
1. 滋賀県における亜臨界水処理技術を活用した水草の有効利活用の開発による実証実験への参画
琵琶湖に大量繁茂する水草は漁業に多大なる悪影響を与えている。その水草を有効利活用する技術の開発であり、亜臨界水処理を用いて、SAF(航空燃料航空燃料)を抽出。余った固形物はモウルド材(紙梱包材)として利用する。地域の循環型社会実現に向けたソリューションの一つとして、多様な利活用を提案することができる。
水草から作られたモウルド材(紙梱包材)
2. 農業と発電を両立させるソーラーシェアリング事業への進出
農業と太陽光発電は、両立が難しいとされていた。ノータスソーラージャパン社との協業により、農業と太陽光発電を両立できる国際特許技術を有したソーラーシェアリングシステムを国内で展開する。これにより、地域の再エネ普及と農業の発展の両立を目指す。
いずれも地域の脱炭素化に資するソリューションとして、今後の活用が期待できる分野だ。
〇方針2 事業創出の持続性を高める仕組みの創出
2020年より稼働している同社運営のシェアオフィス「seesaw」を、地域の脱炭素化を支援する企業・団体等が集う“脱炭素支援コミュニティ”としてリニューアルした。
成長戦略部による新規事業方針
■国内耕作地上空利用率約1%を目標にしたい
ノータスソーラージャパン株式会社 代表取締役社長 高橋隆造氏は、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の仕組みについて説明した。
同社は営農型太陽光発電を行っている事業者の中で、農地所有適格法人をツールに持つ会社だ。「営農と発電の完全両立を可能とする」新しい発電システムによる営農型太陽光事業を通じて、農業者には金銭面の負担なく事業に参加して儲かる仕組み、電力消費者には安くグリーン電力の安定確保を提案している。
太陽光発電は、政府の第6次エネルギー基本計画(2021年10月)にある2030年までの再生可能エネルギー確保において、再び注目されている。しかし、日本の国土では、太陽光パネルが設置できる用地に限りがある。そこで農地上空を利用する営農型太陽光発電に期待が集まっている。
営農型太陽光発電の課題としては、次の3つがある。
・作物の栽培の制限
・大型農業機械の利用難
・柱の列に作付けできない雨水の集中による生育問題
同社が提供するソーラーシェアリング「ノータスソーラーシステム」では、広い営農空間による高い栽培性を実現した。社効率は30%以下で、国内作物のほとんどが生産可能だ。ソーラーパネルを移動させることで影を操り、高い収穫力を実現する。これにより収量減によるパネル撤去リスクがゼロになる。
加えて、太陽を追尾することで、パネルの使用率が高まり、リサイクル問題を軽減できる。農地の向きに問わないことから、日本の農地の大半に設置が可能だ。
風の抵抗を防ぐ角度にパネルを自動調整したり、積雪を防ぐ角度にパネルを自動調整したりと、災害を自動回避する高い安全性も備える。
営農地の上空に太陽光パネルを設置し、営農と発電を両立させる仕組みだ。
同社が設計、コーディネートするノータスソーラー自己託送スキーム(独占使用契約)は、「地方・投資家・電力需要者」の全員が利益をシェアする新しいエコノミーだ。シナネンホールディングスには、同事業を新しい投資事業として提案したかたちだ。
高橋社長は「我々、2050年度までの目標として、国内耕作地上空利用率約1%を目標にしたいと考えております。これを実現すると、約22GWの発電となり、国内電力消費量の約4%の電力を供給できるようになります。」と語った。
ノータスソーラージャパン株式会社 代表取締役社長 高橋隆造氏
■脱炭素化サポートコミュニティとしてリニューアル!共創型シェアオフィス「seesaw」
発表会終了後、希望者は脱炭素コミュニティとしてリニューアルした共創型シェアオフィス「seesaw」を見学することができた。
共創型シェアオフィス「seesaw」の利用者同士でコミュニケーションがとれる
本物の炎が見られる暖炉
さまざまなジャンルの書籍があり、ビジネスのアイデア出しの手助けとなる
国際的な脱炭素目標実現に向けた動きが加速している中、シナネンホールディングスグループが目指す地域の脱炭素化を中心とした新規事業は、環境問題を解決しながらエネルギーを生み出す事業であるだけに、今後も注目のビジネスと言えるだろう。
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