レスリング栄氏が溺れた「権力の罠」 根源にある“構図”とは

ITmedia ビジネスオンライン / 2018年6月22日 7時30分

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権力を手に入れるのは悪いことではない。なぜ「権力=悪」というイメージが付きまとうのか

 「全く期待外れでまだ分かっていない。反省できていないと思わざるを得なかった」――。

 全日本選抜選手権終了後に行われた緊急会見で、至学館大学の谷岡郁子学長は、選手へのパワーハラスメント行為が認定された栄和人氏のレスリング部監督解任を発表。現場にいた記者らの話では、「試合中に友人と昼食を食べに出た」ことが逆鱗(げきりん)に触れたとのこと。

 「選手ファースト」を何度も口にしていた谷岡学長にとって、「試合中」というのは我慢出来なかったのかもしれません。ただ、その一方で、数カ月前には栄氏を圧倒的なパワーで擁護していただけに、突然の手のひら返しに驚いたのも事実です。

 いずれにせよ、「権力」を持った人たちの不祥事が続く昨今。権力とカネ、権力とセクハラ、権力と暴力など「権力=悪」といった具合に、権力には常にマイナスイメージが付きまといます。

 でも、権力って、そんなに悪いものなのでしょうか?

 健康社会学的な視点では、「権力」は決して悪者ではない。むしろ、人の生きる力を高める、プラスの要因です。「自分で自由に決めることができる権利があるという感覚」をもたらす権力は、ストレスの雨に対峙するための大きな傘となり、職務満足感や人生満足感を高める効果を持つことが多くの調査結果で示されているのです。

 しかしながら、プラス要因であるはずの権力が、リアル世界ではなぜか「悪」になる。

 ビジネスマンの中には「自分のやりたいことをやるための手段として、出世するのは悪いことではない」と、権力を手に入れることを良しと考える人たちが多いにもかかわらず、です。

 そこで今回は、ある中小企業のトップになった男性が体験したリアルストーリーから「権力」について考えます。

●彼が社長の座を追われた理由

 その男性とは彼が部長時代からのお付き合いです。当時の彼はとてもクレバーで、部下たちからの信頼も厚く、組織をドンドン元気にし、チームの業績も向上させていました。ですから、彼が社長になったと聞いたときは、なるべくしてなったのだな、と思ったのを覚えています。

 そんな彼が「社長の座を追われた」と風の便りで知ったのは数年前。実にたわいないことが大問題となり、社長を辞めざるを得なくなってしまったのです。

 社長退任から半年後、彼から連絡をもらい、会うことにしました。そのとき彼が話してくれた内容が実に示唆に富んでいて、皮肉にも「権力」を失った彼が、「権力を悪にする根源の正体」を教えてくれたのです。

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