中小企業が見直すべき福利厚生とは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2018年8月8日 6時36分

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企業が従業員の確保や定着をうながすために必要なのは賃金政策だけではない(写真提供:ゲッティイメージズ)

 深刻な人手不足の中でいかに人材を確保し定着させるか、企業はその対応に迫られている。

 東京商工リサーチの「2017年『賃上げに関するアンケート』調査」(※1)によれば、2017年4月に賃上げを実施した企業は約8割であり、「従業員を定着させるため」を目的として賃上げを実施した企業は資本金1億円以上の大企業で46.7%、1億円未満の中小企業で53.8%と、中小企業の方が従業員の定着のための賃上げに積極的であった。

 また、賃上げを実施した結果、7割強の企業は「従業員のモチベーションが上がった」「従業員の離職率が低下した」「入社希望者が増えた」など効果を実感する一方、2割程度の企業は「効果はなかった」と回答した。だが、「効果はなかった」と答えた企業でも、その約7割が今後も引き続き賃上げを「実施する予定」と回答しており、中小企業でその傾向が強い。

 このように従業員の確保や定着を考える際に、第一義的には賃金政策が重要である。しかし、人々は賃金だけで勤め先を決めているわけではない。賃金以外にもさまざまな要素があるが、本稿では、企業の福利厚生に着目し、近年の働き手の多様化やライフスタイルの変化に対応した制度を目指すことの重要性について指摘する。

※1 本調査は2017年5月12日~23日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答5913社を集計したもの。

●働き手の多様化とライフスタイルの変化

 福利厚生について検討するにあたって、まず制度を利用する従業員の変化について整理しよう。

 図表1では1987年と2017年における世帯構造や女性・高年齢者の労働力を比較した。かつては「男性が外で働き女性は家庭を守る」といった性別役割分業意識のもとで主に男性(夫)が働き続け、60歳を過ぎれば年金を受給することが一般的であった日本社会は、この30年間で大きく変化した。

 専業主婦世帯と共働き世帯数を比較すると、専業主婦世帯は3割ほど減少する一方、共働き世帯は6割ほど増加した。これは、15~64歳女性の労働力率がこの30年で約1.3倍に上昇したことと整合的である。

 特に、出産や子育てと仕事のいずれをとるのか葛藤が生じやすかった25~44歳の女性の労働力率が上昇したのは、女性が仕事と家庭の両立を図りながら男性と同じように働くことが、社会の中で当たり前であると認知されるようになり、働きやすい土壌も整備されてきた証であるだろう。

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