騒動がなくても阿波踊りの観光客は減少した、根深くて単純な理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2018年8月21日 8時36分

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騒動の阿波踊りはどうなる? (写真提供:ゲッティイメージズ)

 先日、徳島の「阿波おどり」をめぐるバトルが世間の注目を集めた。

 1000人以上が一斉に踊って、イベントのラストを飾る「総踊り」を、阿波おどり実行委員会の徳島市長が中止すると宣言。それに踊り手たちが猛反発の末、強行したのである。

 総踊り自体はつつがなく行われたが、終わってみれば来場者数は昨年より15万人減の108万人。一部のメディアやジャーナリストは、事前に目玉である総踊りをやらないと触れ回ったことや、市と踊り手の対立が観光客の足が遠のかせたのでは、なんて分析されている。

 ただ、個人的には、そのような総踊りバトルがあってもなくても、どちらにせよ今回の来場者数は大きく減少していたのではないかと思っている。根拠はズバリ、阿波おどりがもはや時代遅れといっても差し支えない「昭和の見物型観光」だからだ。

 「なんじゃそりゃ?」という方のために説明しよう。これまで日本の観光は「祭り」だろうが「神社仏閣」や「史跡名勝」だろうが、基本的に以下のような理念のもとで進められてきた。

 「よそ者のお前らにも特別に見学させてやるから、矢印に従って行儀よく見学しろよ」

 そのような見学スポットの周囲に、宿ができて、観光物産店や飲食店が立ち並び、祝日や休日にマイカーや観光バスでわっと押し寄せる客たちがお金を落とす、この見学型観光こそが日本では長く当たり前とされてきた。

 「有名連」の熟練の踊りを間近で見学できる有料桟敷席のチケット代が収益の柱となってきた阿波おどりは、まさにその代表的な存在といえよう。

●阿波踊り問題の正しい知識

 そんな「昭和の見物型観光」が残念ながら今の時代に通用しなくなってきているのは、阿波おどりを見れば明らかだ。

 実はワイドショーなどが総踊りをめぐって大騒ぎするはるか前から、この日本の夏を代表する祭りにはさまざまなケチがついていた。

 2016年4月に就任した遠藤彰良市長は、阿波おどりの主催団体である徳島市観光協会に累積赤字が4億3000万円あることを問題視。今年はいよいよ補助金も打ち切り、破産手続きを申し立て、開催自体が危ぶまれていた。一方、『週刊現代』が6月に、観光協会とともに長年、主催社として名を連ねてきた徳島新聞社が、「チケットの買い占め」や「看板広告の利権独占」などのスキャンダルを報じていた。

 そんな醜い争いに加えて、日本中の「祭り」が直面している大きな問題の影もちらつく。「高齢化」と「人口減少」だ。

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