「バイトテロ」は訴えても抑止できない、3つの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2019年2月12日 8時27分

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アルバイトが不適切な動画をSNSに投稿したことで……

 社会のルールを知らぬバカどもにはこれくらい毅然とした態度でのぞむべきだ、と拍手喝采をしている人たちも多いのではないか。

 調理中の魚をゴミ箱に捨てるなどの様子を撮影した、いわゆる「不適切動画」を投稿したアルバイト従業員2人に対して、雇用主だった「くら寿司」を運営するくらコーポレーションが法的措置をとると高らかに宣言した。

 同社のリリースによると、この決断にいたった理由は主に2つで、「全国で働く33,000人の信用回復」と、「全国で起こる同様の事件の再発防止につなげ、抑止力とする為」だという。

 他社にも同様の動きが出ている。おでんのしらたきを口に入れて出すなどの動画を投稿した従業員2人に対して、セブン-イレブンも「法的措置を含む厳正な処分」を検討することを明らかにしたのだ。

 これを受けて、これらの「厳格な対応」を支持する声も多く寄せられている。この手のバカは痛い目に合わせないと分からないというのだ。

 これは企業危機管理のセオリーからすると、かなり画期的な対応だ。

 これまでこの手の不祥事が起きると、企業側はいろいろと言い訳をしたい気持ちをグッとこらえて、「従業員の管理・教育がなっていませんでした」とわびるのがお約束だった。高校生バイトだろうが、オッサン正社員だろうが、その人間を雇用して職場での立ち振る舞いを指導していたのは、自分たちなので法律的には被害者であっても、社会通念上は「同罪」としていたのだ。

 が、今回はそういうタテマエをかなぐり捨てて、「うちも被害者です」と訴えるだけではなく、元従業員を「見せしめ」として「断罪」するほうに回ったからだ。

●事態をさらに悪化させてしまう恐れ

 この方法論が通るならば、これまでは企業側が「我々の指導監督不足でした」と頭を下げてきた、横領、情報流出、パワハラ、SNSトラブルなどの「社員犯罪」も、入社する際の契約違反だなんだと言って、「個人犯罪」として「断罪」して、企業側の責任問題を矮小化することができるのだ。

 謝罪会見を見れば分かるように、日本の企業危機管理は、有名企業の対応を踏襲する「前例主義」となっている。くら寿司、セブン-イレブンという有名チェーンが採用した以上、同様の問題を抱えた他社も次々と「問題バイトは訴えろ」と追随していく可能性があるのだ。

 ただ、報道対策アドバイザーとして、この手の不祥事が発生した企業のサポートを行うこともある立場で言わせていただくと、損害賠償をちらつかせるなど「厳罰」は、今回のようなトラブルの抑止・再発防止にはあまり効果がない。というよりも、事態をさらに悪化させてしまう恐れもあるのだ。理由は以下の3つである。

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