残業が習慣になる4つのメカニズムはこれだ!

ITmedia ビジネスオンライン / 2019年2月19日 6時52分

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長時間労働が一向になくならないわけは?

 「長時間労働をやめよう」というスローガンは、日本の雇用社会を語る上であらゆる場面でずっと指摘されてきた、古くて新しい課題です。課題には一定の共通認識があるのにもかかわらず、なぜ現実は変わっていかないのでしょうか?

 その理由の一つに、長時間労働の「原因」の側にコンセンサスの欠如があります。具体的に長時間労働を是正しようとするとき、経営、管理職、現場と、それぞれの立場で意見がしばしば食い違います。「とにかく業務量が多すぎる」という従業員や管理職に対し、「現場はいつも忙しいと言う」とボヤく経営陣、といった対立はしばしば目にするところです。

 いま必要なのは、職場で起こっている残業発生のメカニズムについてのエビデンスに基づいた冷静な分析です。パーソル総合研究所では2017年より、立教大学・中原淳氏とともに「職場においてなぜ残業が発生するのか」というメカニズムを探求し調査を重ねてきました。

 調査データから導かれた発見を整理すると、長時間労働の習慣は、「集中」「感染」「麻痺」「遺伝」という4つの主要メカニズムによって、組織的に「学習」され、世代を超えて「継承」されてきています。「業務量の多さ」や「個人の仕事の早さ」といった独立の原因にフォーカスしている限り、このメカニズムそのものを解除することはできません。組織内に相互浸透し長く蓄積されたものであり、人が入れ替わっても継承されていく、組織に蓄積された効果です。では、そのメカニズムをひとつずつ説明していきましょう。

●残業は「集中」する

 1点目は、残業は、ある特定の優秀層に「集中」する傾向があり、それが強まっている傾向がある、ということです。個人の業務スキル(オフィスソフトや情報検索スキルなど)を高い層/低い層で分けて差を見ると、明らかにスキルの高い従業員に残業が集中しています。

 これには、マネジャーによるジョブ・アサインメントが大きく関連します。マネジメント層にアサインメントについて尋ねると、「優秀な部下に優先して仕事を割り振る」という回答が6割を超えています。

 これは一見当たり前のマネジメント行動に見えるかもしれませんが、成果主義が広まっていった2000年代に入り、この傾向が高まっていることが確認されています(労働政策研究・研修機構、2006)。つまり、長期的な「育成」のウェイトを下げ、短期的な「成果」を追うためは、「今すでに」優秀なメンバーを中心にジョブ・アサインするのが効率的、ということです。

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