「好きな日に働き、嫌いな仕事はやらなくていい」――“自由すぎるエビ工場”が破綻しない理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2019年5月27日 11時12分

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社員のモチベーションを高めた取り組み

●いつ出勤するのも「自由」で、パート従業員の働きやすさを追求する

 大阪のパプアニューギニア海産は、南太平洋のパプアニューギニアから輸入した天然エビを、工場でむきエビやエビフライなどに加工して販売する会社です。

 2016年の夏、工場長の武藤北斗さんによる朝日新聞への投書が話題になりました。「『好き』を尊重して働きやすく」と題したその文章には、工場のパート従業員が「好きな日に連絡なしで出勤・欠勤できる」「嫌いな作業はやらなくてよい」という制度を導入し、働きやすい職場づくりに取り組んでいること、その結果、効率も品質も向上していることがつづられています。

 はじめはインターネット上で話題になり、その結果、同社の工場のユニークな取り組みがテレビにも何度も取り上げられ、武藤さんは『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』(2017年 イースト・プレス)という本も著しました。

 「好きな日に連絡なしで出勤・欠勤できる」「嫌いな作業はやらなくてよい」と言われても、たいていの方は「え? どういうこと?」という反応をされるでしょう。この2つの取り組みは、それくらい、私たちが仕事をする上で当たり前だと思っていることと懸け離れています。

●事前連絡なしに好きな日に出勤できる「フリースケジュール」制

 パート従業員というのは、「パートタイムで働く従業員」のことですから、働く曜日や時間について、雇う側と雇われる側であらかじめ合意しているのが通常でしょう。人手不足に悩む飲食店などでは、パートやアルバイトの希望と店の必要人員とを照らし合わせて、誰がいつ働くかを決める、いわゆる“シフト調整”に大変苦労しているという話をよく聞きます。

 ところが、パプアニューギニア海産の工場では、誰がいつ働くかをあらかじめ決めることをしません。彼らは、それを「フリースケジュール」と呼んでいますが、つまり、その日になってみないと誰が来るかは分からないということです。パート従業員が一人も出勤しない可能性もあります。

 最近では、出勤する日だけではなく、出退勤時間も、いつ休憩を取るかも自由になりました。もちろん、工場を操業している時間内(月曜から金曜の8時30分~17時)で、という制限はありますが、極端な話、毎日フルタイムで働いても、月に1回数時間だけ働いても構わないのです。

 この制度を導入するに当たり、武藤さんは、「出勤、欠勤の事前連絡は禁止です」と“口をすっぱくして”伝えたそうです。それは、そもそもこの制度がパート従業員の多くを占める「働くお母さん」たちにとって働きやすい職場に、という意図をもって導入されたものだからです。

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