スープラはBMW Z4なのか?

ITmedia ビジネスオンライン / 2019年6月24日 7時15分

写真

新型スープラとエンジン、ミッション、サスペンションなどを共通化し、共同開発されたBMWの新型Z4

 先週の記事で、スープラを作った人たちは何を作ろうとしていたのか? そして商品企画や開発に関わる制約条件はどんなものだったのか? それらをどのように解決してクルマが作られたのかについて書いた。

 しかし、あちこちに付いたコメントを見ると、もっとワイドショー的な興味の方が強いことが分かった。それは「トヨタはスポーツカーを作る技術がないからBMWにクルマを作ってもらって、外見だけいじってスープラとして売っているだけだ」というご意見だ。

 まあ一応は“ご意見”と書いたが本音ではノイズだと思っている。エンジニアが数年をささげた仕事をそういう見方でしか見られない人は、自分の仕事にだってどう向き合っているのかと思わざるを得ない。

 さて、本題に入る前にひとつお断りをしておく。筆者は普段チーフエンジニアの名前を書かない。クルマそのものに厳しい評価を下す場合でも、別にチーフエンジニア個人をつるし上げる意図はない。だから名前を入れない。そしてそういう主義を取るなら、褒める時も同様であるべきだと思う。ただし役員以上については、その限りではない。個人として批判されることも含めて経営責任を引き受けるべきだと考えるからだ。

 しかし今回は特例としてチーフエンジニアの名前を書く。今回の記事は、提携準備からの話がどのように進んだかをインタビューで解き明かすインサイドストーリーであり、そのストーリーにとって、誰が言ったかは欠かすことができない情報だからだ。スープラ/Z4共同開発企画の原点は、トヨタ主導だ。そこから書き起こそう。

●スープラ開発インサイドストーリー

 トヨタの内部に、そして特に北米マーケットには「スープラ復活」を強く望む声が長らく響いていた。それについてスープラのチーフエンジニアである多田哲哉氏はこう語る。

 2012年5月に、欧州のジャーナリスト向けに86の試乗会をスペインのバルセロナでやりました。その中日に日本から電話がかかってきて、唐突に「お前今すぐこっそりミュンヘンに行け。BMWに行って、共同でクルマが作れるかを聞いてこい」と言われました。試乗会の後半は、私がどこへ消えたのかも言えずむちゃくちゃになったらしいです(笑)。

 その時は、車種の指定もなければスポーツカーを作るという話でもなかったんです。ただ誰にも言うなと。その唐突な命令に自分自身が一体会社から何を求められているのかを考えると、思い当たる節がありました。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング