サグラダファミリアは3000円、日本のお寺は400円 日本は安い旅行先なのか?

ITmedia ビジネスオンライン / 2019年8月19日 13時25分

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京都最古の禅寺建仁寺の公式オーディオガイドなどを手掛けた。QRコードからアプリをダウンロードすれば、オーディオガイドが利用できる。機材のコストや管理コストがかからない点も特徴だ

 昨今、観光で日本を訪れる外国人数はうなぎ上りに増加している。2018年は3100万人を超え、5年前の3倍。19年に入っても、昨年に比べて6%増のペースと好調だ。政府も、観光立国を目指し、2020年には4000万人超の目標を掲げている。

 一方で、訪日外国人という”量”は増えているが、来日時に支払った額は必ずしも増えていない。観光庁の調査によると、18年実績で一人当たりの旅行支出は平均15万3029円。これは前年比で-0.6%だ。

 「客数自体を上げる必要はない。日本の戦略としては、どうやって体験価値を上げるかにフォーカスすべきだ。日本の資産は、歴史文化にある」。そう現状に警鐘を鳴らすのは、観光地向けのオーディオガイドを製作するON THE TRIPの成瀬勇輝社長だ。

●サグラダファミリアは3000円。でも日本のお寺は400円

 日本の観光資産として重要な、お寺などの入場料は、適切な価格設定がされておらず、機会損失となっている。

 「安いという認識がない。サグラダファミリアは入場料が3000円以上だが、日本のお寺は400円、500円。日本は量を求める方向に舵(かじ)を切っているが、マネタイズができていない」(成瀬氏)

 同社は、美術館の入り口にあるようなオーディオガイドを製作し、スマホにダウンロードして利用できる仕組みを提供している。新たなビジネスモデルとして取り組んでいるのが、無料でオーディオガイドを製作し、利用者にも無料で提供するモデルだ。その分、入館料を値上げし、値上げ分を施設側とシェアする。

 小豆島にある妖怪美術館では、同社がオーディオガイドを製作。それに伴って美術館の導線を再設計し、ブランドロゴの変更などCI(コーポレートアイデンティティ)も手掛けた。これまで2000円だった入館料を2900円に値上げ。入館者数は3倍以上に増加し、売り上げは11倍以上に増加したという。

 「入館料がなぜこの価格なのか? と聞くと、もう20年この金額でやっているという言う。ロジックがなく、横並び意識が高い」と成瀬氏は、観光施設の価格設定の現状を話す。

 適切な価格設定をすることで売り上げを増やすことが、質の向上にもつながる。「売り上げが小さいと設備投資ができず、質が下がってしまう。関西のお寺では、去年の台風でけっこう屋根が飛んでしまっている。でも直すのに数億円規模の費用がかかる。お金がかけられないので、そのままになっていたりする」(成瀬氏)

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