松戸市にあるパン屋で、なぜお客は1800円も使うのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2019年9月11日 8時15分

 でも、考えてみると、マーケティングのセオリーとは真逆のことをやっているんですよね。コンサルタントは「商品は絞りましょう」「お客さんのピークタイムをつくりましょう」などと言いますが、ウチがやっていることは違う。商品はどんどん増やして、いまは300種類ほど。お客さんのピークタイムは1日中に。

土肥: 店内はそれほど広くないのに、パンがたくさん並んでいる。入店できるのは8人までなのに、なぜ300種類も販売しているのでしょうか?

伊原: 「300種類もつくっている」と聞くと、頻繁に新商品を出しているのかなあと思われたかもしれませんが、そうではありません。年に1~2品なんですよね。たったそれだけですが、一度つくったモノは基本的に販売し続けています。なぜか。「もう一度、あの商品を食べたいなあ」と思って、来店したときに「終売しました」と言われたら残念ですよね。そうなると、「このお店には、もう行かない」と思われるかもしれません。そうした気持ちにさせてはいけないので、原材料が調達できなくなったなど何らかの事情がない限り、一度つくった商品は出し続けています。

土肥: とはいえ、なかなか売れない商品もありますよね。そうした場合はどうしているのですか?

●客単価は、平均の3倍

伊原: 売れるまで、がんばるんですよ(笑)。自分がつくって「おいしいなあ」と感じたモノを販売しているので、売れない場合、なぜ売れないのかを考え続けなければいけません。そして、改良できるところは、改良しなければいけません。

 売れないといっても、店頭に並べると、1個は売れる。そうなると、そのお客さんのために、新商品のパンはつくり続けなければいけません。その結果かどうか分かりませんが、全国のパン屋の購買金額をみると、平均600円前後に対し、ウチは1800円ほど。「このパンを買いたい」という目的買いの人が多いので、単価が3倍ほど高いのかもしれません。

土肥: 最後に、7月にオープンした「カレーパン専門店」の話も聞かせてください。松戸の店以外に出店したのは、初めてですか?

伊原: はい。たくさんのところからお声がけをいただいているのですが、すべて断ってきました。なぜ、断ってきたのか。その場でつくることができなければ、意味がないと思っているからなんですよね。「どこかの工場で焼いて、それを運んで販売すれば?」といった声もあるのですが、その方法ではどうしても味が落ちてしまう。

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