社長自らお店でゴシゴシ ローソンがトイレ掃除に注力している理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2019年10月18日 5時5分

写真

トイレ掃除の重要性を説くローソンの竹増社長

 ローソンの竹増貞信社長がトイレ掃除の重要性をアピールしている。10月9日に行われた2020年2月期第2四半期決算発表会見では、重点的な施策を紹介する際に「笑顔の接客とトイレ掃除を徹底的にすることで、お客さまに気持ちよく店舗を利用していただく」という趣旨の発言をした。

 竹増社長は店舗の実情を確認し、オーナーからさまざまな要望を聞き取るため、年間約500店舗を訪問している。店舗に足を踏み入れるとまずトイレに向かい、自ら掃除をすることもあるという。実際、トイレ掃除をしている写真を見ると、便器の縁の裏まで丁寧にふき取っている姿が確認できる。

 一般的に、店舗経営ではQSCが重要だとされている。QSCは、Quality(クオリティー)、Service(サービス)、Cleanliness(クレンリネス)の略だ。ローソンではService(接客)とCleanliness(清掃)の改善強化を掲げている。「あの店は店員さんが親切だし、トイレもきれいだから何度でも通いたい」とお客に印象付けるのが目的だ。

●お客がトイレを使うたびに掃除をする店舗

 会見では、トイレ掃除に関わる興味深いエピソードも紹介された。ローソンでは、8月から横浜市で深夜省人化店舗を実験的に運営している。午前0~5時まで店舗内を無人状態にするもので、多くのメディアが取材に殺到した。

 竹増社長によると、「注目されている店舗」ということで、店長やスタッフの士気が上昇。お客がトイレを利用するたびに掃除をするようになった。また、その他の面でもサービスを向上させた結果、店舗の売り上げが大きく伸びたという。一般的にトイレ掃除は「1時間ごと」「2時間ごと」と定期的に行うことが多いが、頻繁に行うことでお客の満足度は上がりやすくなるようだ。

●トイレ掃除と経営者の関係を研究

 『そうじ資本主義 日本企業の倫理とトイレ掃除の精神』(日経BP)や『トイレ掃除の経営学』(白桃書房)などの著書がある日本大学経済学部の大森信教授は、日本企業と掃除の関係について研究している。

 大森教授は、日本の経営者がトイレ掃除を重視しているいくつかの事例を過去のインタビューで紹介している。イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏は、「凡事徹底(当たり前のことを徹底して行うこと)」や「率先垂範(自ら手本を示すこと)」といった経営哲学を自分の姿から学んでほしいと考え、10年以上1人でトイレ掃除をしたという。日本電産創業者の永守重信氏も、新入社員や買収した会社の社員にトイレ掃除をさせている。同社の経営理念である「品質第一」の実現に欠かせない、品質維持の習慣を実地で学ばせる狙いがあるという(出所:【仕事を学問してみると】カリスマ経営者はなぜトイレ掃除にハマるのか?)。

 コンビニでトイレを利用する際、室内が汚れていてがっかりした経験のある人も多いのでは。「トイレをきれいにする」という当たり前のことを徹底させるため、竹増社長は自ら率先して掃除しているのかもしれない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング