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物価は上昇しても「給料」は上がらない、根本的な問題

ITmedia ビジネスオンライン / 2021年4月13日 7時44分

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コロナ後も給与は上がらないのか

 4月から公共料金や食品など多くの商品が値上がりしているが、一方で給料はまったく上がる気配が見えない。コロナ後の景気回復を期待する声もあるが、今後、賃金をさらに下落させる新しい制度が始まっている。収入を増やすには、副業などに積極的に取り組むしなかさそうだ。

●日本は事実上の生涯労働制へ

 日本ではデフレが続いているとされてきたが、実際はそうではない。物価の上昇率こそ低く推移してきたが、物価そのものは着実に上がっている。しかも、インフレやデフレというのは、多数の商品価格を平均した消費者物価指数を基準に判断される。高額商品など不景気で値下がりした商品があると、それに引っ張られて指数も下落しがちだが、生活必需品は価格が上昇しているケースが圧倒的に多い。つまり多くの人にとって日本社会はデフレでも何でもなく、インフレというのが現実である。

 生活必需品が値上がりしても、給料も上がっていくのなら何とか生活は維持できるが、日本の場合、賃金だけは上がらない。それどころか賃金下落のダメ押しとも言える制度が4月からスタートしている。それは企業に対して70歳までの就業機会確保を努力義務とする「改正高齢者雇用安定法」の施行である。

 これまで、企業は希望する社員について65歳まで雇用することが義務付けられていたが、4月1日以降は、70歳までの就業機会の確保が努力義務となる。これは雇用ではなく就業機会の確保なので、再雇用とは限らず、フリーランスとして業務委託契約を結ぶといった形態も可能となる。加えて、現時点では「努力義務」なので、企業は順守しなければいけないというものではない。

 だが大手企業にとって努力義務というのは、限りなく義務化に近いものであり、コストという点からいっても、雇用を延長したことと大きく変わるわけではない。つい最近まで企業の定年は60歳だったが、それが事実上、70歳まで伸びたようなものである。

 近い将来、70歳までの雇用が完全義務化される可能性はそれなりに高いと考えられるので、今回の法改正によって日本は事実上、生涯労働時代に入ったと考えてよいだろう。

●社員数が多すぎる最大の理由は雇用制度

 とりあえず70歳まで働けるということは、年金減額が確実な状況において朗報といってよいかもしれない。だが賃金という面で考えた場合、この制度は、日本のビジネス社会に致命的な影響を与える可能性が高い。

 日本企業はもともと大企業を中心に終身雇用と年功序列の雇用体系となっており、ビジネスの規模に比して社員数が多すぎる。日本企業の生産性データなどから計算すると、日本企業は米国やドイツなど諸外国と比較して、同じ収益を稼ぐために投入する社員数が1~2割多い。

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