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「優秀な社員から辞める」自業自得──希望退職という名の”企業の自殺”

ITmedia ビジネスオンライン / 2021年4月23日 7時5分

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【画像】「年長者のリストラ」の手段となりやすい希望退職制度

 「希望退職を募ると辞めてほしくない人から手を挙げる。この事態をどう防げばいいのでしょうか?」

 こんな相談を「またか……」というほど聞かされる日が続いています。時には経営者が、時には人事担当者が、あるときは“現場”の人たちが「辞めてほしい人は居座り、優秀な人ほど辞めてしまう」と嘆いています。そもそも希望退職を「年長者のリストラ」の手段にしていること自体が問題なのに──実に勝手です。

 東京商工リサーチが3月31日に公開した「早期・希望退職実施状況」によると、2021年1~3月に早期・希望退職者を募集した上場企業は41社(前年同期23社)で、前年同期の約2倍のペースで推移していることが分かりました。

 人数も既に9505人を数え、前年同期(4447人)の2倍以上。リーマン・ショック直後の09年(1万60人)より若干少ないとはいえ、今後はさらに増えていくことが予想されています。

 今回の「年長者のリストラ」がリーマン・ショック時と大きく違うのは、赤字リストラだけではなく、「コロナを言い訳にしている」企業が少なくないという点です。

 実は、新型コロナウイルスの感染拡大前から「年長者は今のうちに切っちゃえ!」とばかりに黒字リストラが増えていました。「同一労働同一賃金」が法制化され、「70歳までの雇用義務化」も実現を見据えているので、「人=コスト」と考える企業は「コストの高い年長者には辞めてもらいたい」が本音なのです。

 そこに「コロナによる事業再編」だの「コロナの影響が長引きそう」だのという言い訳を得て、希望退職のターゲット年齢を下げ、募集人数も拡大させています。

 思い起こせば昨年、ファミリーマートが40歳以上の社員を対象に800人の退職者を募集したところ、予想を上回る1111人の応募が殺到し、「そのうち86人は業務継続に影響がある」として、制度を利用した退職を認めず、引き留めたと報じられました。

 「86人は業務継続に影響がある」、業務継続に影響がない人は辞めていい、というのはリストラリストの存在の肯定です。もっともそういうものが存在することくらい誰だって分かっているけど、「86人は業務継続に影響がある」という文言が企業側から出るとは……あまりに露骨です。これを「経営」と呼べるのでしょうか?

 経営とは「人の可能性」を信じることなのに、その可能性より目先の「カネ」を優先する企業が増殖している。「人は信頼される」からこそ、その人を信頼するのであって、自分を信頼しない、コストとしか見ない会社を「優秀な人」が捨てるのは、ごくごく自然の摂理です。

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