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エプソン、三井化学が投資 「100億円」調達した東大発ベンチャーに聞く“タッグの作法”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月25日 11時24分

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エレファンテック代表取締役社長の清水信哉氏(左)とM&Aクラウドの及川厚博CEO

 M&Aと資金調達のマッチングプラットフォームを運営するM&Aクラウド(東京都千代田区)の及川厚博CEOが、スタートアップや事業会社・CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)のリアルな声を伝え、オープンイノベーションのヒントを見いだしていく連載「スタートアップの突破口」。

 4回目はエレファンテック代表取締役社長の清水信哉氏に話を聞いた。

 2014年に東大発スタートアップとして創業し、セイコーエプソンや三井化学など大企業からの資金調達を機にさまざまな協業を行い、事業シナジーを生んでいるのがエレファンテックだ。

 国内外の大企業と取引し、ディープテック・スタートアップの雄として成長を続ける同社だが、この成長ぶりは彼らに出資してきた事業会社の後押しも大きかったようだ。事業会社とスタートアップが抱えるそれぞれの課題、そしてそれを解決する真の「オープンイノベーション」の姿とは――。

●オープンイノベーション×スタートアップ それぞれの狙い

及川厚博氏(以下、及川): エレファンテックさんは独自の金属インクジェット印刷技術を世界で初めて開発し、量産化に成功して成長しているスタートアップです。セイコーエプソンや三井化学など多数の事業会社からの投資を受け、創業以来、累計100億円の資金調達をしています。簡単に御社の技術や事業からうかがえますか。

清水信哉氏(以下、清水): 当社は2014年に創業したプリンテッド・エレクトロニクス分野の東大発ベンチャーです。独自のインクジェット印刷基板製造技術で電子回路を金属に印刷することで、銅板などの材料を大幅に削減し、CO2や水の排出量も大きく抑えられます。50年ほど前からアイデアはあった技術ですが、それを世界で初めて量産化したのは当社です。

 調達した資金の7割がエクイティで、うちVC・事業会社の割合はだいたい5:5です。大企業からの出資の場合でも、出資するだけで終わらず、技術面や生産面での提携をしつづけてくれています。

 例えば、セイコーエプソンさんは世界的なインクジェット印刷の会社です。当社はインクジェット印刷機を作っているので、技術的なシナジーは多数あります。また、株主の1社である三井化学さんからは、彼らの名古屋工場の中の建屋やインフラを当社がお借りして、量産ラインを作りました。

 三井化学さんは空いている場所に、いずれは自分たちの作る材料を使う可能性のある新しいものを入れたいというモチベーションがありました。他にも当社の株主には、信越化学工業さんや三菱電機さんなどもいらっしゃいます。当社は本当の意味で「オープンイノベーション」をやっている会社だと思っています。

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